はじめに

2010年から10年以上にわたり、累計1406人の学生の挑戦を見つめてきた「キラリと輝く学生 +Rな人」が、ついに1000回目を迎えました。 1000回という節目を迎えた今回、特別記事として、過去に紹介した4人の「+Rな人」に再びインタビュー。強い信念をもって、挑戦し続けてきたそれぞれの思い、そして卒業を控えた彼らのこれからの挑戦をご紹介します。ぜひご覧ください。

“楽しい”にこだわる。だから勝てる。

ウェディシンハ・ジュンさん(国際関係学部4回生)

「フェンシングを楽しむことが何より大切。そのために努力は惜しまない」そう強く語る彼は、「2019ジュニア男子エペワールドカップ」で優勝、「いきいき茨城ゆめ国体2019」のフェンシング男子団体エペで初出場ながら、優勝に輝いた実績を持つ。卒業後は銀行員として働きながら、地元の三重で2021年に開催される「三重とこわか国体」での連覇を目指す。

「勝つことが楽しさにつながる。だからこそ試合に向けて厳しい練習も頑張ることができた」と常に“楽しむこと”を意識して努力を重ね、闘い続けてきたという。もちろん納得できない結果になることも数えきれないほどあった。しかし、「勝ちにこだわることも大切だが、楽しめなくなったら終わり」と言い切るほど、“楽しむこと”にこだわりを持つ。「だからこそ、ここまで続けてこれた。社会人になっても続けたいと思うのは、今でもフェンシングを楽しめているからこそ。苦しいことよりも、楽しいことの方が多いから」と笑顔をみせる。高校生の頃は「フェンシングが人生の全て」というくらい、ひたすら練習に打ち込む日々に苦しさもあったが、大学生になり「フェンシングは、人生の全てではなく一部なのだ」と考え方が変わり、気持ちも楽になったそう。競技に対する意識が変わったことで、楽しむことの大切さに気づき、それがジュニアワールドカップや茨城国体での優勝という大きな成果につながった。

フェンシングに打ち込む傍ら「フェンシングしかできないと思われたくない」と、学業にも手を抜かなかった。「一つのことを追い求めると他のことがおろそかになってしまいがちだが、それを仕方のないことだと自分に妥協しないでほしい」と在学生にエールを送る。

卒業を目前に控え、「社会人になるからこそ変わることも必要。それでもアイデンティティーは崩さない。今まで培ってきたものを守りたい」と語る。その言葉の通り、自分を貫く芯の強さを持つ。「国体連覇」という偉業を成すべく、闘志を燃やす彼のさらなる挑戦は続く。

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「強い向上心で技術を磨き、国民体育大会フェンシング団体優勝に貢献」

チャンスと可能性を信じ、挑戦を続ける

黒田優里香さん(文学研究科博士課程前期課程2回生)

「“挑戦し続けること”そうすれば道は拓ける。夢のために行動してきたこの2年間で、人生が大きく変わりました」。4年間の中学教員経験を経て大学院へ進学し、小さな頃からの夢であった「絵本の出版」を果たした彼女。一見、迷いなく着実に目標を成し遂げてきたように見えるが、学部生の頃には一度、夢を諦める道を選んでいたという。「文学部4回生の頃の私には『教員』『大学院へ進学』『絵本作家』という3つの夢がありました。教員の採用が決まったことで大学院進学は諦め、趣味の一つだった絵本も、それで生計が立てられるほどではなかったため、作家になることも諦めたのです。その時の自分は『夢は一つしか選べない』と思っていた」。

一度は諦めた夢。それでも「チャンスは必ず巡ってくる」と信じ、教員として働く間も絵本を書く手を止めなかった。そして教員を休業しながらも大学院に進学できる制度(大学院修学休業制度)を知ったことで、4年越しに大学院進学を決意。進学が決まると、今度は「先生の絵本をたくさんの人に読んでもらいたい」という教え子たちの言葉に背中を押され、ついに絵本の出版に挑戦することに。「一つの挑戦をきっかけに、次のチャンスが訪れたのです。そして1年前、絵本を出版したことがきっかけで、メディア出演や取材の依頼、新しい出会いがあり、人生が目まぐるしく動き出しました」と、彼女に起きた劇的な変化を振り返る。

「『自分はだめだ』と思ったら何も始まりません。その時は上手くいかなかったとしても、自分の可能性を信じ、生涯を通して挑戦してほしい」と在学生に向けてエールを送る。春からの教員復帰を前に「私は、どんな形であっても生涯、教育に携わっていきたい。これからの目標は、大学院での学びを国語の授業に生かすこと。絵本を使って私の経験を生徒たちに伝え、教育の場に還元していくこと。そして、チャンスが巡ってくる度に絵本作家として挑戦を続けること」そう力強く語った。夢を叶え、成長を遂げた彼女の新たな人生が始まる。

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「人を支える絵本をつくりたい~世界中のあなたへ、愛を込めて~」

“面白い”を大事に、できることからまず行動を

多田宙史さん(経営学部4回生)

新しいサービスを開発し、ビジネスコンテストへの登壇・受賞経験を持ち、さらにはイベントの企画・運営、SNSを活用した広報に携わるなど、さまざまなことに挑戦してきた。学生最後の年も、企業と共に新規事業のコンセプト企画や市場調査の仕事をしてきた彼だが、決して「熱い思いや大きな夢」があったわけではなかったという。「大学生活を経ても、今もまだそういった明確な思いは見つかっていません」と言い切った。「それでもこうやって行動し続けるうちに、楽しいこと、面白いことが仕掛けられるようになりました」と静かに語る。

「4年間を通して、私の行動は『1年ずつ目標を立ててやっていくこと』そして『何となく面白いことをして生きていきたい』この考えに沿っていることに気が付きました」と、これまでを振り返る。その時々で自身に足りないものを分析し、海外大学での研修や、正課外のプログラムへの参加、企業先で出会う人の意見を積極的に聞き入れるなど、常に行動を起こし努力と経験を積み重ねてきたという。ゼロから物事を生み出すなかで、常に関係者と協力し、自身は縁の下の力持ちとして動くこと成長を続けてきた。

「『大きな夢は何か』『情熱を持っているか』を問われる場面はたくさんありますが、世のなかには、そのような考えを持っていない人も多いのではないでしょうか」と彼は問う。「大きな夢やビジョンがなくても行動して良いはず。『夢がないことがダメだ』という考えが障壁となって、何もしないのはもったいない。やりたいことに対して、もう少し気軽に挑戦してもいいのでは」そう自身の経験をもとに語った。

卒業後は情報通信企業の企画職へ。「『日本全体を盛り上げ、グローバル視点で日本の立ち位置を少しでも上げる』それが長期的な目標ではあります。そのために、また春から新たに一つずつ目標を定め、行動していきたいと思います」と今後の抱負を言葉にした。気を張らず、やりたいことに着々と取り組んでいく、彼の新しいステージでの活躍が楽しみだ。

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「先を見据えた視点で新しい仕組みを生み出す~ビジネスコンテストで特別賞受賞~」

世界の舞台を目指し、今できることを懸命に

浦田果菜さん(政策科学部4回生)

彼女が所属する女子ホッケー部は、2020年11月の「全日本学生ホッケー選手権大会(インカレ)」で大学日本一に輝いた。「1回生の頃から、チームでどんなことも言い合える環境づくりを大切にしてきたことが今回の優勝につながったと思います。4年間の積み重ねを感じ、今回の優勝で得た達成感は一番大きかったです」と、喜びを語ってくれた。

日本代表「さくらジャパン」のメンバーとして公式戦に出場するなど、日本代表チームと大学チームで活躍してきた彼女。大切にしている言葉は、コーチの言葉でもある“enjoy and play hard”。初めての代表候補合宿で、ひたすらホッケーと向き合うなか、他の選手たちの高い技術を前に、自身の未熟さや思うようなプレーができない悔しさから落ち込んだこともあったという。しかし、国際大会での合同練習で、フィジーの選手のホッケーを楽しむ姿勢に大きな影響を受け、楽しむ大切さに改めて気づいた。「思い通りにいかないとき、ミスをしたことばかりを考えて悲観的になっていました。しかし、そういうときこそ‟楽しむこと”を意識するようになりました。もう一度挑戦しようと気持ちの切り替えができるようになり、今の積極的なプレーにつながっています」と、楽しむことがホッケーの世界でチャレンジし続ける原動力となっている。

卒業後は、実業団で競技者としてホッケーを続ける予定で、2021年1月に行われた選考会では日本代表候補選手に再び選出され、継続して活動することが決まった。日本代表として世界の舞台を目指す。「立命館で学んだ‟自分で考えること”はプレーする上で重要な要素です。監督の言われることに対して受け身にならず、深堀りすることをこれからも大事にしたいです」と抱負を語る。

「つらい経験や挫折もあるかもしれません。そういうときこそ、落ち込んで下を向くのではなく、今自分にできることを一生懸命やってほしいです」。さまざまな困難を打ち破り、挑戦を続ける彼女からの在学生に向けた熱いエールだ。

前回の記事はこちら▼
「世界の舞台で、挑戦を恐れずフィールドを駆ける~女子ホッケー日本代表候補に選出~」

おわりに

私たちは、これまでさまざまなフィールドで挑戦する学生の姿を追ってきました。
「+Rな人」が、みなさんにとって新たな一歩を踏み出すきっかけや挑戦し続ける原動力となってほしい、そう心から願っています。そして、これからもみなさんの挑戦を応援し、その活躍を追い続けていきます。
立命館大学生、一人ひとりの“キラリと輝くストーリー”を、引き続きどうぞ楽しみにしていてください。

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