学部長メッセージ

Toshio ASAKURA 朝倉 敏夫

立命館大学 食マネジメント学部長

日本で初めての
「食」の総合研究が誕生します

食マネジメント学部の教学理念は、「経済学・経営学を基盤としながら、食科学の深い知見を培い、高度なマネジメント能力と実践的な行動力を備え、食の人類的な課題の解決に寄与できる人材を育成する」ことです。

食べる。これは毎日のことです。だから、ふつうはあまり深く考えない。でも、毎日のことなので、とても重要です。毎日の「食」は、生活や健康といった身近なことから、政治、経済、外交、環境、エネルギーだけでなく、資本主義のからくりや、格差、貧困といった問題ともつながっているのです。

こうした食をめぐる問題を人文科学、社会科学、自然科学の三つの分野から総合的に研究する学問が「食科学(Gastronomic Arts and Sciences)」です。食マネジメント学部では、この食科学を、社会科学としての経済学・経営学(マネジメント領域)をベースとした上で、人文科学に関する学び(カルチャー領域)と自然科学系の一部(テクノロジー領域)の三つの領域から、広い視野と教養をもって総合的に学びます。これら三つの領域をコースや学科ではなく学部としたのは、食の世界のすべてを複眼的な視野をもって幅広く思考する力を培ってもらいたいと考えたからです。

食マネジメント学部の英語名称は、Gastronomy Managementとしました。「どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言い当ててみせよう」「国民の盛衰はその食べかたの如何による」。これらはフランスの食通、ブリア=サヴァランが1825年に著した『味覚の生理学』(邦訳は『美味礼賛』)にあるアフォリズムの一部です。食を通して、個人だけでなく、国家・国民のことも見えてくるというのです。そして彼は、ガストロノミー(Gastronomy)とは、「ものを食べる存在である人間に関わるあらゆる知識を、体系的に理論づけたもの」と定義しているのです。

マネジメント(Management)は、食に関連する産業の経営や管理を学ぶという意味もありますが、私は「人づくり」という意味にとらえたいと考えています。英語のマネージ(manage)には、「困難なことをやり遂げる、どうにかして・・・する」という意味があります。本学部での学びをやり遂げて、たとえば、新しい食文化をリードしていけるような人材、食ビジネスにおけるプロセスイノベーションに貢献できる人材、食の技術経営MOTができる人材などに育ってほしいと思っています。そして、その実現に立ち向かうには、人間理解、異文化理解といった姿勢をもち、多文化共生という感覚をもち、コミュニケーション力をもち、社会的に必要とされていることに対し、自ら行動を始め、積極的に新しいことに取り組んでいくことが望まれます。

こうした人材を育成するためのカリキュラムの特色としては、フィールドワークによる現地での学習、現場の知見を知り、自らの将来像を考えるための総合講座などに加え、海外との交流、ル・コルドン・ブルーとの共同プログラムもあります。 大学とは集中的に学問をするところです。学問をするという意味では、皆さんは、まだ大人になる前の「ひよこ」です。でも、もうすでに「たまご」ではありません。たまごは殻によって守られていますが、ひよこは自らエサをついばまねばなりません。大学は、学問というエサをたくさんに用意しています。しかも、「食」の学問は「おもしろい」ことがいっぱいあります。しかし、それは人から与えられるものではなく、自らおもしろいと思うことを追求していかなければなりません。なおかつ、学問を「おいしく」するには、データを収集し、分析し、それを正しく伝達するためのツールをもたなければなりません。これらを学ぶことによって、期待される「大人」になってほしいのです。

私たちの食マネジメント学部は、日本で初めての食の総合研究の学部です。つまり日本で一番です。しかし、これからもずっと名実ともに日本一でありつづけるためには、学生と教員が手をとりあって切磋琢磨していかなければなりません。

「世界をおいしく、おもしろく。」という大きな夢を一緒になって開拓していきましょう。

朝倉 敏夫 立命館大学 食マネジメント学部長