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  • 受賞
  • 2021.10.08
  • 生命情報学科・塩谷 和基助教が日本味と匂学会 第55回大会にて「最優秀発表賞」を受賞!!

  • 2021年9月22日(水)から24日(金)までハイブリッド方式(九州大学でのオンサイトとオンライン)で開催された日本味と匂学会 第55回大会において、生命科学部生命情報学科 塩谷和基助教(脳回路情報学研究室)が「最優秀発表賞」を受賞されました。

    「日本味と匂学会 優秀発表賞」は、学会長が委任する選考委員の審査を経て、嗅覚・味覚の発表の中から優秀な発表を行った若手研究者(研究機関の場合、その職位は講師以下の満40歳未満の研究者)に対して授与されます。研究内容、プレゼンテーション力の二点を選考基準として、評価が行われます。

    今年度より、「優秀発表賞」の中でも順位が公表されるようになり塩谷助教は、最高得点を叩き出し、優秀発表の中で1位として表彰されました。


    <研究内容>
     これまでの嗅覚の研究により、嗅覚受容体を発現する嗅上皮や、一次中枢である嗅球での情報処理の基本原理は大まかに明らかになってきました。しかし、二次中枢である嗅皮質の機能は未解明な部分が多く、よくわかっていませんでした。そこで我々は、嗅皮質の中でもわずか0.15立方ミリと非常に小さな領域であるventral Tenia Tecta (vTT)に着目し、電気生理学と神経解剖学を駆使して実験を行いました。2つの異なる匂いと行動を結び付ける課題をマウスに行わせ、その時のvTTの神経細胞の活動を記録し解析しました。その結果、vTTの神経細胞の活動は、匂いの違いよりも、課題中の行動状態で大きく変化しました。
     また、個々の神経細胞は特定の行動状態に特異的に応答しており、そのような神経細胞を多数集め活動を並べてみると、課題中の行動状態の全てをカバーするように応答していることがわかりました。つまり、謎の微小領域であったvTTが、単に匂いの情報処理だけでなく、匂いに基づく多様な行動状態をコードしているという新たな事実を発見しました。匂い情報は我々の行動だけでなく、情動や感情などとも強く結びついているため、嗅覚情報処理システムを解明することによって、こころの神経科学的仕組みを解き明かすことができるかもしれません。
     本研究は、そのような嗅覚情報処理システムの全容を解明する足掛かりになると期待されます。

    20211008塩谷先生受賞

    塩谷先生、受賞おめでとうございます。

    日本味と匂学会 第55回大会の詳細については、下記URLを参照ください。