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  • 下妻 晃二郎教授
  • Kojiro Shimozuma
  • 生命医科学科
  • 研究室医療政策・管理学研究室
  • 専門分野医療経済学、臨床疫学
  • 担当科目医療システム論、医療社会論、人体の機能と病態
    • 医療経済評価
    • 健康アウトカム評価
    • 医療資源配分の倫理
Q1研究の内容を教えてください。

 医療技術の質の適切な評価と、その結果に基づく、臨床現場や社会への応用、が主な研究テーマです。中でも現在特に力を注いでいるのは、医薬品や医療機器の費用効果分析を用いた医療の「効率性」の評価と、社会で「公平」に供給できるための基盤創りです。例えば、世界的(米国を除く)に医療は公的な財源(税や社会保険料)で主に行われていますが、その合理的かつ透明性が確保された配分方法の確立を目指しています。
 この研究には、医科学だけではなく、経済学、生物統計学、倫理学、哲学、など他分野の最低限の勉強と、それらの専門家との共同研究が必要です。
 日本ではまだ研究者が少ないですが、世界的にはメジャーな研究分野です。若い方々の参加を期待しています。

Q2研究に興味を持ったきっかけを教えてください。

 上記の研究に興味を持ったのは、従来、日本の医療はWHO(世界保健機関)から世界第一位の評価(2000年)を得ている状況だったのですが、その後、医療技術の急速な進歩と高齢化に起因する医療費の急増から、日本の医療が崩壊の危機に瀕しているという認識を強く持っていることが理由です。欧州各国ではすでに20世紀の終わりから人口減少と経済成長の低迷が続き、21世紀に入ってから、医療の効率化と公平性の確保についての様々な学問分野が発達し、医療政策にも反映させてきました。日本も同様の悩みに直面しつつあるのに、政治家や官僚はもとより、国民に危機感がありません。今、この研究を日本で進めないと将来の若い人々に負の遺産を課すことになります。

Q3高校生へメッセージをお願いします。

 生命科学部生命医科学科に入学を目指している学生さんの多くは、生命の神秘を解明したり、新薬の開発に役立つ基礎研究をしたりされたいのだと思います。私自身も高校の時はそうでした。ただ、医療現場に出てみると現実は少し異なりました。目の前の患者さんの治療には一生懸命です(これはもちろんいいことです)が、15-30年後の近未来の日本の医療の継続性を見据えた、幅広い視点からの医療や政策立案が日本では殆ど行われていないのです。実は、欧米ではそのような研究が盛んです。基礎研究ももちろん大事ですが、せっかく開発された優れた医療技術が、必要な人に公平に届く社会の継続には何が必要か、ぜひ一度考えてみてください。若い方々の活躍に期待しています。

おすすめの書籍

グレッグ・ボグナー 著, イワオ・ヒロセ 著『誰の健康が優先されるのか -医療資源の倫理学-』