ヨーロッパ・イスラーム史専攻のカリキュラム

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 国際文化学域およびヨーロッパ・イスラーム史専攻では、1年次から小集団授業や講義科目、講読科目などをくみあわせて、幅広い学習や研究ができるカリキュラムを作っています。ここでは主に、ヨーロッパ・イスラーム史専攻で開講される授業について、その概要や授業の目的について、簡単に説明していきます。

 なお、授業やその特徴については、文学部ウェブページでの説明外部リンクも参考にしてください。


1年次

 1年次には学生のみなさんは国際文化学域所属の学生として、教養科目や基礎科目、外国語科目などを中心とした初年次教育を受けます。また研究入門や国際文化入門講義、そして秋セメスターに開講される各専攻の概論などを受講して、2年次以降にどの専攻に所属するのか、十分に検討していくことになります。
 2年次以降どの専攻に所属するのかは、秋セメスターに実施される調査を経て、1月に決定されます。

 国際文化学域で開講される1年次向け授業のうち、ヨーロッパ・イスラーム史専攻と強い関係のある科目は以下の通りです。

国際文化入門講義

 国際文化入門講義は、国際文化学域を構成する英米文学専攻・文化芸術専攻、そしてヨーロッパ・イスラーム史専攻が5回づつ担当して、それぞれの学問分野の概略や基礎的事項、そして研究動向についての基本的な知識を得ることが目的の授業です。春セメスターの開講です。

イスラーム学入門

 イスラーム世界については欧米諸国や隣国の東アジア諸国よりもなじみが薄く、宗教であると同時に政治・経済・法・社会・文化などの生活全般を包括するイスラームの制度について、正確な知識があるとは言いがたい状況です。こうしたことからこの講義では、イスラームの宗教信仰や慣例の基本的な知識を学習し、あわせて現代イスラーム諸地域の社会や生活文化を知ることが目的となり、現代世界のなかのイスラームの重要性などについても基本的な理解を深めていきます。秋セメスターの開講です。

ヨーロッパ史概論I

 ヨーロッパ史概論Iでは、ヨーロッパ史に関する基本的概念や用語、方法論を学びながら、ヨーロッパ史の大きな流れを把握することをめざします。特に、高校世界史などで学習したヨーロッパ史上の歴史的事実がどのような意味をもっているのか考察できるようになることが、重要な課題となります。秋セメスターの開講です。

イスラーム史概論I

 イスラーム史概論Iでは、イスラーム史に関する基本的概念や用語、方法論を学びながら、イスラーム史の大きな流れを把握することをめざします。特にイスラーム史の学習・研究のために知っているべき通史的な流れを理解することや、高校世界史などで学習した歴史的事実がどのような意味をもっているのか考察できるようになることが、重要な課題となります。秋セメスターの開講です。

ヨーロッパ・イスラーム史基礎文献講読

 ヨーロッパ史・イスラーム史に関する外国語(基本的に英語)の基本的な文献を講読し、外国語を通して歴史学を学ぶ意味を理解することを目的とする授業です。2年次以上での専門的な学習や研究に欠かせない外国語文献を読解する能力を身につけることが第一の目的ですが、単に語学能力を身につけるだけではなく、テキストの読解を通してヨーロッパ史とイスラーム史を研究する楽しさと重要性を認識し、親しみを感じていくことも目指します。秋セメスターの開講です。


2年次

 2年次になると、いよいよヨーロッパ・イスラーム史専攻に所属して、ヨーロッパ史やイスラーム史に関連するさまざまな授業を受講して、理解を深めていくことになります。授業は小集団授業である基礎講読I・IIの他、さまざまな講義科目、そして英語やアラビア語などの外国語科目があります。世界中のさまざまな世界を分析対象とするヨーロッパ・イスラーム史専攻では、外国語の知識がきわめて大きな意味を持っていることは当然といえます。
 また現在ではパソコンやスマホを使ってインターネットやデータベースなどを有効に利用することが、歴史研究においてもきわめて重要になっています。そのためヨーロッパ・イスラーム史専攻では、このような現在のデジタル技術にも対応できる知識やテクニックの獲得にも配慮しています。
 なおここで紹介している授業のうち基礎講読I・II以外の科目は2回生以上配当科目ですので、3回生や4回生になっても受講することが可能です。

ヨーロッパ史概論II

 ヨーロッパ史に関連する専門的な歴史的概念と方法論を学ぶことで、ヨーロッパ史に関する全体的な流れを理解し、概観できるようになることを目的とする授業です。また同時に、ヨーロッパ史に関する基本的問題についての知識を身につけてさまざまなテーマに関心をもち、発言できるような材料や考え方の提供をもめざします。春セメスターの開講です。

イスラーム史概論II

 イスラーム史に関連する専門的な歴史的概念と方法論を学ぶことで、イスラーム史に関する全体的な流れを理解し、概観できるようになることを目的とする授業です。また同時に、イスラーム史に関する基本的問題についての知識を身につけてさまざまなテーマに関心をもち、発言できるような材料や考え方の提供をもめざします。春セメスターの開講です。

ヨーロッパ・イスラーム史文献講読I

 ヨーロッパ史ないしイスラーム史に関する基本的な英語文献の講読を通じて、ヨーロッパやイスラーム、あるいは関連する地域の歴史と文明を学習・研究するために必須となる、外国語文献の読解力習得を目的とする授業です。しかし単に語学力を身につけるだけではなく、講読を通してヨーロッパ史ないしイスラーム史がどのような問題関心にもとづいて議論・研究され、どのような歴史的意味をもつのかも、学んでいくことになるでしょう。

ヨーロッパ・イスラーム史文献講読II

 ヨーロッパ・イスラーム史文献講読Iで身につけた語学能力をさらに伸ばすため、ヨーロッパ史ないしイスラーム史に関する英語を中心とした外国語の専門的な研究文献、あるいは一次史料(英訳含む)の精読を少人数でおこなうことを通じて、ヨーロッパ・イスラーム史研究の最前線に関する深い理解をめざす授業です。ヨーロッパ・イスラーム史文献講読Iだけでは飽き足りない積極的な学生、また大学院への進学をめざす学生にとって、特に有益な授業です。

アラビア語入門

 日本では学習する機会の乏しいアラビア語の基礎を学習します。そしてそこで身につけた語学能力を専攻でのイスラーム史研究に生かすことをめざします。言語は文化の基礎となっているため、単にアラビア語を学習するというだけではなく、その背景にある文化も同時に学ぶ、という態度が必要になります。

ヨーロッパ古代史研究、ヨーロッパ中世史研究、ヨーロッパ近代史研究I・II、ヨーロッパ現代史研究I・II

 ヨーロッパ史研究の最前線で取り上げられる各時代ごとの特定のテーマをとりあげて、現代的な視点や新しい方法論を学び、広い視野に立ってヨーロッパ史についての認識を深めていくことを目的とする講義科目です。卒業論文を作成するうえで必要な研究のありかたを実践的に学ぶことができる講義でもあります。年度によってさまざまなテーマをとりあげることになりますが、現在第一線で活躍している研究者が担当するため、歴史研究の現場を知ることもできるでしょう。

イスラーム前近代史研究I・II、イスラーム近現代史研究I・II

 イスラーム史研究の最前線で取り上げられている前近代、あるいは近現代の特定のテーマをとりあげて、現代的な視点や新しい方法論を学び、広い視野に立ってイスラーム史についての認識を深めていくことを目的とする講義科目です。卒業論文を作成するうえで必要な研究のありかたを実践的に学ぶことができる講義でもあります。年度によってさまざまなテーマをとりあげることになりますが、現在第一線で活躍している研究者が担当するため、歴史研究の現場を知ることもできるでしょう。

ヨーロッパ・イスラーム関係史

 ヨーロッパ文明圏とイスラーム文明圏はその歴史を通じて密接な関係にあり、現代にいたるまで相互にもっとも重要な「他者」として影響しあってきました。この講義では、2つの文明間の歴史をグローバルな歴史のなかに位置づけ、歴史と現代社会を多面的に理解することを目的としています。

デジタル歴史研究

 近年の歴史研究においてはインターネットやデータベースなどの利用の広がりと情報技術の向上は目覚ましいものがあり、それらは大学の授業や卒論研究においても不可欠となっています。もちろんヨーロッパ史・イスラーム史の分野も例外ではありません。それゆえこの科目では、パソコンやその他の情報機器の利用の基本から始まって、歴史資料のオンライン上での検索やデータベースの利用など、歴史研究のために不可欠な技能の習得をめざします。


3年次

 3年次でも2年次と同様、さまざまな授業を受講してさまざまな知識を獲得していくことになりますが、それと同時に主に専門演習I・IIの受講を通じて、卒業論文に向けた自己の研究テーマの探求がはじまります。

専門演習I・II

 ヨーロッパ史・イスラーム史の時代別に編成されたクラスごとに、卒業論文の作成に向けた準備をおこなう小集団授業です。卒論で使用する資料を探し、その読み込みを進めながら、研究書で展開されている議論と突き合わせ、独自の議論を展開していくことをめざします。複数回の中間報告をおこなって、教員や受講生との議論・質疑応答をおこなうことで、ディベートやプレゼンについての技能を洗練させていくことも大きな目標となります。

アラビア語文献講読

 イスラーム研究ではアラビア語が必要不可欠です。この科目では、アラビア語入門で学んだ基本的な語学能力を生かし、さらに語学力を向上させ、イスラーム史に関するアラビア語文献を講読します。またアラビア語文献の講読や理解を通して、イスラーム世界についての理解を深めて相互理解の可能性を考える機会とすることも目的となります。


4年次

 4年次になると、卒業論文の作成が非常に大きなウエイトを占めるようになります。卒業論文は4年間の学習・研究の集大成です。専門演習III・IVでの中間報告や「卒業論文」の授業、あるいは教員との面談などを通じて、さまざまな視点から自己の研究テーマの分析を進め、深めていくことが不可欠です。所属する専門演習のクラスによっては、ゼミ合宿が実施されることもあります。