RITSUMEIKAN 立命館大学



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▼ ▼特別企画 箱根駅伝への道 前編▼ ▼

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  特別企画 箱根駅伝への道 前編
  選手インタビュー 
  「共に箱根へ!」 尾上 陽人さん(法学部2回生)
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毎年1月2日、3日に開催されるお正月の風物詩、東京箱根間往復大学駅伝競争「箱根駅伝」、通常は関東地区の大学のみが参加できますが、第100回を迎える今大会は、全国にその門戸が開かれており、立命館は、いち早くこの箱根駅伝への挑戦を表明しています。1月の本戦に出場するためには、10月14日に開催される予選会で上位13校に入る必要があります(ハーフマラソン上位10名の合計タイムで競います。)。箱根を夢見た全国の有力高校生がこぞって関東の大学へ進学する現在の状況では、立命館の挑戦は容易いものではありませんが、陸上部関係者は並々ならぬ決意で箱根駅伝本戦出場を目指しています。立命館CLUBでは、今回と次回の2回にわたって、そんな皆さんのインタビューをお届けします。今回は、期待の若手 尾上 陽人選手(法学部2回生)です。

Q.尾上さんのご経歴をご紹介ください。
中学校から陸上競技を始めました。高校は愛知県の尾張旭市の公立高校で、それほど強豪というわけではありません。高校時代は競歩を主に行なっており、競歩をやりつつ駅伝に出たりしていました。一般入試での進学を目指し受験勉強を行なっていましたが、陸上競技を大学でも続けるのなら関西の大学、立命館でやりたいとは思っていて立命館も受験しました。結果として立命館への進学となり陸上部への入部を考えたのですが、入部標準記録に2秒程足りなかったので、陸上サークルに加入し、主に個人でトレーニングを続けてきました。1年間で徐々に記録を伸ばすことができたため、今年になって入部しました。
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Q.立命館の関西での立ち位置はどのあたりでしょうか?
昨年は大きな駅伝でいずれも関西のトップを取れませんでした。去年の結果から、今年は関西王座奪還を目標に掲げています。チームとして順調に練習が積めており、今年の秋シーズンでは関西で一番を現実的に目指せる、立ち位置としても関西の一、二を争うポジションに立てていると思っています。

Q.箱根駅伝の予選会から箱根本戦への出場権獲得に向けて、立命館の可能性というのは、正直、読者の方も全然分からないと思うので、どの程度なのか教えていただけますでしょうか?
正直に言うと厳しいところがあります。現在の長距離界では箱根駅伝への注目度が非常に高く、当然、有望な高校生の大多数は箱根で走るため関東の大学への進学を目指します。これに伴い、今の長距離界では関東の大学が圧倒的に強いのが現状です。

Q.予選会から何チームが本戦に参加できるのでしょうか?また、単純に現時点での持ちタイムで言うと、立命館は何番目くらいですか。
通常はプラス10校が予選突破となるのですが、今年は記念大会ということで13校です。他校との比較ですが、立命館ではハーフマラソンに出場する選手自体が非常に少ないので、タイムでの比較は難しいです。一方で1万メートル等の他の基準でも、現状のタイム比較では上位13校に入るのはかなり厳しいです。そもそも、関西は長い距離を走る機会が少ない現状もあります。

Q.今、大学全体として、箱根へのチャレンジを応援しようという機運が高まってきています。

有難うございます。勿論我々は厳しいからと言って諦めるつもりはありません。出雲駅伝と同じ週に箱根予選会が有り、その後も大きな駅伝が続きます。この状況下において予選会でハーフマラソンを走ることにはリスクもあります。これはチーム全員が分かっており、思い出づくりではなく、覚悟をもって予選会に出場します。駅伝に詳しい方であれば誰しも我々のチャレンジが厳しいことを分かっていますし、我々も当然理解しています。ただ、一方で、関東が強いからという理由で最初から挑戦しないのは、現状の関東と関西のレベル差がある中で、最初から自分たちの可能性を狭めることをしていたら、この差を永遠に詰められないと思っています。今回の箱根駅伝への挑戦は、我々の関東へのチャレンジの過程で非常に重要なものになると考えて、全力で最高の準備をして臨みたいと思います。
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Q.陸上部には、世界陸上にも出場する女子400mハードルの山本さんをはじめ、日本のトップ選手が何人か在籍しています。そんな選手と同じチームに所属されていて如何でしょうか?
山本さん含めて同じ場所で練習しているので、そんな選手が凄い結果を残しているのを見ると、種目が違っても大きな刺激をもらいますし、僕自身もそういった選手を身近で見ることによって得られるものというか、練習に対する姿勢であるとか、そういうものを吸収していきたいなという思いで見ています。特にトップ選手の練習に対する集中力はすごいです。軽い流しであっても1本1本に凄く集中してやっているなという印象を受けます。

Q.仲間、同期や先輩や後輩の存在というのはどういうものですか。
僕自身が陸上サークル時代はほとんど一人で練習していたので、今となると、仲間の存在は有難いと思っています。苦しい時に仲間がいるのは本当に心の支えで、きつくなってきた時に、一人だと「もういいかな」とやめてしまうことも多々あるのですが、仲間からの叱咤や、仲間が頑張っている姿を見ると、ここでやめたらダメだなと思えますし。また、危機感というか、仲間が成長している姿を見ると、自分も頑張らないとすぐに負かされてしまう等の焦燥感は、仲間の存在が有ってこそ感じられるので、その意味では仲間がいることで、練習でのモチベーションが高まっています。

Q.卒業後はどういうキャリアのイメージをされているのか、さらにその中で競技にどう向き合っていこうと思っておられるのか教えていただけますか。
僕は小学生の頃から教員になりたいと思っていて、大学を選ぶ際は法律を学びたいという気持ちと、学校の先生になりたいという気持ちを両立できる、法学部かつ教員免許が取れるというのを条件にしていましたので、当然、今後の進路としても教員を考えています。
競技については、卒業後も続けたいという気持ちが最近芽生えてきています。自分がどこまで行けるのか挑戦したいと思っていて、どういう形であれ陸上競技は続けたいと思っています。できるところまで、やれる限りは続けたいと思っています。
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Q.最後に、立命館の中でメンバーに選ばれることの決意、そして箱根駅伝出場への決意を、お願いします。
まず、僕自身は、駅伝や箱根予選会で立命館の代表で走りたい気持ちを誰よりも強く持っていると思っています。勿論出るからには、その中で自分の走りをしっかりして、チームに貢献することが絶対条件だと思っていますので、本番に向けてもう一段階、自分自身の記録や強さを上げるため、目の前のことをしっかり頑張りたいと思っています。
箱根駅伝に向けてですが、先ほどもお話しした通り、高校生が進路決定の際に関東の大学を選ぶことが非常に多いのが現状です。この現状を変えるため、「関西には立命館がいる」を今回の箱根駅伝で世間に知らしめ、関西で走りたいという高校生が増えたらいいなと思います。勿論それだけではなく、今回、我々の箱根駅伝へのチャレンジに対して、多くの人たちに応援の声をいただいていますし、確かに無謀な挑戦と思えるくらい厳しい戦いになりますが、それでも諦めずに頑張る姿というのを見ていただき、我々に関わってくださっている全ての方々に何かを伝えられる、そんな大会にしたいなと思っています。
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立命館大学では、箱根駅伝への挑戦を支援する寄附プロジェクトを行っています。趣旨にご賛同いただける方からのご支援をお待ちしております。
「共に箱根へ!」

https://www.ritsumei.ac.jp/giving/project/
 


▼▼輝く学生インタビュー▼ ▼

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  第213回 輝く学生インタビュー
    30年後の子どもたちに個人店を文化として残したい
        経営学部4回生 山本みらのさん
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このコーナーでは、立命館でいまを精一杯頑張り、輝いている学生や団体を紹介します。
今回は、“かってに”釧路観光アンバサダーとして、地方創生イベント「超 KATTEDON」の開催など“まちづくり”の活動のため、東奔西走している山本みらのさん(経営学部4回生)にお話を伺いました。行動力、巻き込み力の塊の山本さんに現在の取り組み、そして将来の展望を伺いました。
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現在行おうとしているのは、私の地元釧路と茨木市を繋げ、30年後の子どもたちに個人経営店を残すことです。「30年後の子どもたちに」と名付けているのは、想像していただけると思いますが、個人店の存在は、歴史を大事にするまちづくりのベースと言えるからです。個人店が連なる商店街や提灯、暖簾のある景色、そんな街並みの大事な要素の一つである個人店を残していきたいなと考えています。その手段の一つとして超KATTEDONを主催し、実際に多くの個人経営店にご協力いただけました。円高やコロナ等の影響を受けやすい個人経営店が、数を減らしている現状から来る危機感も、私の背中を押しています。
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     地方創生イベント「超 KATTEDON」の様子

Q.「個人店を残す」に代表されるまちづくりの活動は地元・釧路を念頭に置いているのでしょうか?茨木を念頭に置いているのでしょうか?
両方です。さらに私は日本全国にその活動を広げていきたいです。地元・釧路が大好きなので今は中心に据えていますが、一つの地域だけが復活しても、国としての大きな視点では、根本的な課題解決にはなりませんので、そのノウハウをどう全国に広げていけるのか。今、論文執筆を含めてまちづくりに関して取り組んでいます。

Q.現在の取り組み「超KATTEDON」の活動は短期ということですが、まちづくりにはライフワークとして取り組んでいかれるのでしょうか?
はい。4月からはまちづくりには直接的には関係のないプロジェクトマネジメントとITコンサルが強いベンチャー企業に就職します。まちづくりには、お金を生み出さないと事業の継続が無理なこと等、多くの現場を見てその大変さが分かったので、ITやプロジェクト管理等のコンサル業務を学びながら、可能な範囲でまちづくりにも携わりたいと思っています。就職後、自分自身の価値観は良い意味で変わっていくと思うんです。今、論文を書くために調べているだけでも、「こんな、まちづくりの方向もいいかもしれない」など、どんどんアイデアが生まれてきます。今後、様々な経験を通じて視野を広げ、これからの活動に生かしていけたらなと考えています。

Q.大学に残って知識を積んでいく方策は考えていないんですか?
私は座学が苦手な行動派かつ猪突猛進型の性格なのですが、アントレプレナーシップを専門とする林永周先生の下で、本当に自由に、やりたいことをやらせていただきました。また、自ら行動して、経営者の方に自分でアポを取っては会いに行き情報収集をしていたのですが、これで得た知見も非常に勉強になりました。大学の正課だけでなくこのような活動から多くのインプットを得ることが出来ました。

Q.山本さんにとって理想のまちづくりって何ですか?例えばオーダーが出てクライアントの地方自治体のリクエストに応える。あるいはその自治体に対して山本さんがいろいろな提案をするなど、どういうものをイメージされていますか?
私の尊敬している方の言葉を引用しますが、「その土地の文化や価値観を理解すること」だと思っています。地域以外の人間がまちづくりをするとなると、「お前に何が分かるんだ」と突っぱねられる。実際に私もそうでした。名刺をぐちゃぐちゃにされたりした事もありました。イベント等で多くの失敗をしたのですが、その中で前述の尊敬する方に出会って、まずは文化と価値観、その街の“色”を理解する事の重要性を知りました。また、サッカーに例えて言われたんですが、「楽しくプレーしているところに、ルールを知らない人が入ってきてハンドしているようなもんだ」と。それを聞いて、まちづくりってそうだな、地域の人と一緒にやっていく、協力していくってそうだなと痛感しました。

Q.今まで茨木市以外に、まちづくりにコミットしたところは、どこがありますか?

愛媛県大洲市の事例をインターンシップで学んできました。大洲市は、オランダの国際団体が選ぶ「世界の持続可能な観光地」で世界1位になっています。古民家の再利用をベースに、インバウンドの高所得者をターゲットにしていて、「お城への宿泊」を日本で最初に行った街です。一泊100万ですが(笑)。古民家の活用では、「分散型まちづくり」を行っています。これは、一言で言うと、まち全体が一つのホテルのイメージです。客室が町全体に分散しているだけでなく、フロントや食事会場もそれぞれ別の建物の中にあります。この仕組みにより、1か所だけでなく、町のあらゆるところに観光客が地図を片手に足を運ぶようになります。フロントから部屋への移動の時間でも街を楽しめる仕掛けです。これにより、街に自動的にお金を落としてもらうシステムが構築できます。今、この考え方が注目されてきて、宮城県でも導入するなど、自治体として導入に向けて進んでいる地域が沢山あります。
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       蝦名釧路市長を訪問

Q.話が釧路に戻りますが、釧路は、大多数の観光客からすると、北海道でのファーストチョイスではないですね。
はい、まず道東が選ばれないですね。ただ、現在、アドベンチャー・ツーリズムという「体験できる文化と自然」が注目されている中で、文化庁等が関わり、釧路市の阿寒湖をターゲットに、その実証実験が行なわれているところです。ただ、釧路市と合併はしたけれども距離が離れている阿寒湖での取り組みが成功したとして、この観光客をどのように釧路地区に誘導させられるのかが、これからの課題だと思います。釧路地区には、釧路湿原もあれば温泉街もある、アイヌ文化もあり、海産物も勿論たくさん獲れるのですが、観光客の皆さんは「北海道」の括りで観光されるので、阿寒に来られた方が釧路に来ずに札幌・小樽に行ってしまう。自然と文化が詰まった釧路にどうすれば滞在していただけるのか、思案しているところです。

Q.話を聞けば聞くほど、よく学生でここまで考えられるなと感心します、これらの取り組みは、山本さんだけの力では困難だと思うんです。行政を巻き込んで、いわゆる規制緩和や法律改正のレベルでの対応がないと実現が難しいと思いますが、そのあたりはどうお考えでしょうか。
はい、そのために、1回生時からコネクションをこつこつと作っていったということは有ります。経営者の方や自治体の方々とのネットワークをどんどん広げていったり、さらには、文化庁、観光庁などの中央官庁、また、出向されている企業の方や、経営者の方とお話をしたりなど、そんな繋がりを作ってきました。私一人では到底できないということはよく分かっているので、すぐ大きな事を考えるのではなく、徐々にスタートと思っています。

Q.そもそも、そういう思考になったきっかけは何だったんですか。
立命館慶祥高校3年生時に、「起業家講座」という、「起業を外部でやってみよう、ビジネスをやってみよう」という面白い授業を履修したのがきっかけです。この授業での経験を元に、日本ハムファイターズと高校生向けインターン等を計画したのですが、軒並みコロナ禍で中止となり、自分自身の不完全燃焼な気持ちを昇華させるため、まず経営者の皆さんにインタビューしてみようと、経営者の価値観を色々聞けたからだと思います。
大学入学後は、とにかく、リモートでも何でも使って知識のインプットをしました。全国の方と話せたので、リモートが生まれてよかったなと心から思います。また、お話をうかがった経営者の方が次の経営者を紹介してくださるのが有難かったです。「ビジョンを持ってこういうことをやりたいんです。紹介してくれませんか」という想いが連鎖して今に繋がっていると思います。
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Q.最後に山本さん自身のこれからのビジョンを、お話いただけたらと思います。
ビジョンは変わらず、30年後の子どもたちに個人経営店を文化として紡いでいきたいということです。その中で地元だけではなく、日本全体の未来も紡いでいきたいという想いを強く持っています。その街の文化と価値観を常に理解する姿勢を、そして、一生学び続ける姿勢を忘れず、ライフワークとしてまちづくりに携わっていきたいと思います。


▼ ▼【夏休み特別企画】こんなところに立命館!?▼▼

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【夏休み特別企画】こんなところに立命館!?
立命館大学古気候学研究センター福井研究所
(福井県三方上中郡若狭町)
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     立命館大学古気候学研究センター福井研究所

立命館CLUB読者の皆様ご存じの通り、立命館大学は、衣笠キャンパス、びわこ・くさつキャンパス、大阪いばらきキャンパスをメインキャンパスとしていますが、「え!?、こんなところにも立命館大学が?」と驚くような場所に関連施設が有ったりします。今回はそのうちの一つ、三方五湖のほとり福井県若狭町にある福井県立年縞博物館に併設されている「立命館大学古気候学研究センター福井研究所」をご紹介します。
皆さん、年縞をご存じでしょうか?年縞とは、長い年月をかけて湖底などの堆積物によってできたシマシマ模様のことです。この年縞を辿れば、堆積物から当時の気候を探れたり、遺跡で発掘される出土品の年代を正確に特定できたりと、『ものさし』としてさまざまな研究に役立てられています。この年縞のなかでも、三方五湖の一つ、水月湖の底から採取されたものは、世界のどこにもない7万年分もの年縞で、その長さは45mもあります。水月湖の年縞は、1年の欠けもないことから、歴史の年代決定のための国際標準の「ものさし」(IntCal)に採用され、世界の歴史研究 に大きな貢献をしています。この水月湖における年縞研究を主導しているのが、「立命館大学古気候学研究センター」です。センター長の中川毅教授、副センター長の北場育子准教授が、びわこ・くさつキャンパスと福井研究所を行き来して研究を進めている中、「立命館福井研究所」に常駐し、「セルソーター」と呼ばれる装置を使って、花粉化石を高純度に抽出する技術をベースとした研究を進められているのが、山田圭太郎助教です。今回の特別企画では、その山田助教に現在の取り組みについて、お話をうかがいました。
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Q.立命館大学福井研究所で山田先生が取り組んでおられる事について、簡単に教えてください。
水月湖の年縞を使って、土の中から花粉化石だけを抽出する技術の開発と、抽出した花粉化石を使った年代測定や古気候復元を行っています。花粉化石の約60%は炭素でできています。この炭素に含まれる放射性炭素(14C)と呼ばれる重い炭素の量を調べることで、何年前に年縞に取り込まれた花粉なのかを知ることができます。
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    採集された年縞を取り出す様子           セルソーター外観

Q.山田先生のご研究を通じてどんな事が分かるようになるのか、実例をあげて教えてください。
放射性炭素を使った年代測定は14C年代測定とも呼ばれ、古気候研究や津波研究など土を使った様々な研究において、年代を決めるのに使用されています。14C年代測定を行うためには、炭素が多く含まれている化石が必要で、葉っぱなどの大型化石が使用されてきました。しかし、葉っぱの化石は必ずしも見つかるものではなく、年縞の欲しいところにないのが現状でした。いっぽうで花粉は毎年たくさん生産され、土の中には多くの花粉化石が眠っています。この花粉化石を使うことで、これまで測定することが難しかった地層の年代を測定できる可能性があります。そのため、花粉化石の高純度抽出放技術とそれを使った14C年代測定技術は、世界でも注目されており、津波や噴火などの年代決定にも使用されつつあります。

Q.現在のご研究および山田先生ご自身の将来展望など、お聞かせください。
IntCalは14Cの量と年代の関係を示した一種の早見表で、年輪や年縞、鍾乳石など世界中の縞々を分析して、統合することで作成されています。そのなかで、水月湖の年縞は唯一過去5万年間をカバーする陸域の直接記録として大きな役割を果たしています。これまで水月湖の年代記録は、葉っぱの化石を使って行われてきました。現在私は、この花粉化石の14C年代測定技術を使うことで、より使いやすく、そしてより正確な年代のものさし「IntCal」の実現したいと考えています。また、これらの技術をより多くの研究者に使ってもらうために、英国オックスフォード大学と共同で国際事業として展開しています。この技術によって、古気候学や災害科学など様々な研究に少しでも寄与できればと思っています。

Q.最後に、併設されている福井年縞博物館の素晴らしさを教えてください。

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福井年縞博物館は、「土」をメインテーマとした世界でも唯一の博物館で、全国5700施設あまりの博物館の中からその年度で唯一「日本博物館協会賞」を受賞するなど、大変高い評価を受けています。ここでは、年縞を薄くスライスして光に透かすことでステンドグラスのようにして展示しています。自然が作った本物の迫力をぜひ体感していただければと思います。博物館では珍しいですが、このステンドグラスは自由に写真を撮ることができますので、ぜひ皆さんが“美しい”と思う写真を撮ってもらえればと思います。

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          年縞博物館の年縞実物の展示の様子

如何でしたでしょうか?残念ながら「立命館福井研究所」は直接中に入ることはできませんが、ガラス越しには山田先生のご研究の様子を見ていただくことが可能です。また、隣接する年縞博物館では、10月2日まで特別展「湖」を開催しており、セルソーターを使った研究のほか、最新の成果を展示物として見ていただくことができます。このエリアには三方五湖をはじめ風光明媚な観光スポットが沢山あります。もちろん鰻など美味しいものも沢山!車利用なら交通アクセスも良好です。皆さん、「百聞は一見に如かず」です、この機会に是非一度年縞博物館と「立命館福井研究所」にお越しください!
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             三方五湖
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      若狭三方縄文博物館(年縞博物館に隣接)
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年縞博物館内にあるcafe縞では年縞にちなんだ美味しいフードがいただけます!!




▼▼第247号読者プレゼント▼ ▼

今回は、「オリジナル竹箸」を3名様にプレゼントします。
プレゼントをご希望の方は、下記URLよりお申し込みください。
なお、プレゼントの抽選結果は次号でお知らせします。

 <応募締切:9/18(月)>

【パソコンの方はコチラ】
https://reg34.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=mbsd-oekcs-56c4828b83b7298508e5197dc24b61ce

【携帯電話の方はコチラ】
https://reg34.smp.ne.jp/regist/is?SMPFORM=mbsd-oekbt-021bc76cab8b8dee6fb681ad47bb33dc

 ※上記フォームがご利用できない場合は、下記必要事項を明記のうえ、
  立命館CLUB事務局までメールにてご連絡ください。

 応募先:立命館CLUB事務局(rclub@st.ritsumei.ac.jp)
 応募必要事項
 (1)名前: (2)プレゼント送付先住所: 
 (3)電話: (4)今回のメルマガ内容に関する感想:
 (5)プレゼント発表時の氏名公開:可  否
  (否の場合はイニシャルで表記いたします。
   ご希望のペンネームがございましたらご連絡ください。)

▼第246号読プレ当選発表▼ 
多数のご応募ありがとうございました。246号の読者プレゼント(オリジナルクリアファイル)の当選者発表です。
プレゼント到着まで今しばらくお待ちください。

・うーくんさん(三重県)・マロンさん(愛知県)・そたさたさん(大阪府)

次回のご応募もお待ちしています。

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次回の配信は第4金曜日の9月22日(金)です。お楽しみに。
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