令和3年度介護分野生産性シンポジウムの開催

 医療介護経営研究センター主催の「令和3年度介護分野生産性シンポジウム」を2021年12月4日(土)に、立命館大学大阪いばらきキャンパスにて開催しました。開催趣旨は次のとおりです。近年、介護分野を取り巻く環境が厳しくなる状況の中、他の製造業分野と同様に介護分野でも生産性向上に関する取り組みが進んできている。この生産性の取り組みが全国的に広がることにより、働く環境の整備やサービスの質が向上することが期待されているが、現状では十分に効果が出ているとは言い難い状況にある。その原因としては、介護分野などの人的なサービス分野は製造業と異なるという認識や介護分野の経営層における生産性への理解が十分進んでいないことに加え、先駆的に実践している事業所の取り組み事例が、地域事情や事業所規模等の違い、事業所固有の課題解決の改善を目指したものとの認識で、有効事例の適用に懐疑的な事業所が多くなっていることが理由として考えられる。そのため、本来の生産性とは何か、介護分野において生産性に取組む意義は何か、どの様に生産性を理解し、法人、事業所で生産性に自ら取り組むうえで考えなければいけないことは何かを本シンポジウムを通して未来志向で議論し、生産性に関して、本来すべての法人、事業所が取り組むべき必要性について明らかにする。

 当日は、開催挨拶および趣旨を中井孝之OIC総合研究機構客員教授(シルバーサービス振興会常務理事)が行ない、基調講演を吉田俊之氏(株式会社NTTデータ経営研究所 情報未来イノベーション本部 産業戦略ユニット ユニット長/アソシエイトパートナー)が「厚生労働省が進める介護分野の生産性向上の取り組みについて」をテーマに行ないました。その後、「少子超高齢社会を乗り切る介護分野における生産性向上とは」をテーマとしたパネルディスカッションを、肥塚浩医療介護経営研究センター長・教授がコーディネーターとなって、鎌田大啓氏(株式会社TRAPE代表取締役社長)、吉田俊之氏、中井孝之(客員教授・シルバーサービス振興会常務理事)がパネリストとなって行ないました。そこでは、パネリストが考える生産性とは、ロボットやICT活用、DXと生産性、経営に直結する人材育成と生産性についての意見交換を行ない、さらに約30名の参加者からの幾つもの質問にパネリストが回答し、最後に、閉会挨拶を肥塚浩医療介護経営研究センター長が行なって終了しました。参加者の多くが介護事業に携わっている経営者、施設管理者、事業所マネジャーであり、介護分野の生産性向上というたいへんホットな話題に強い関心が寄せられました。