研究プロジェクト

研究プロジェクトの推進について

 本研究センターはこれまでの医療経営研究センターでの10年間の研究活動の実績に立脚しつつ、現時点で求められている研究課題に取り組んでいく。また、新規性が高く、重要な課題が提起される際には、その領域について研究を推進していく。そこで、研究プロジェクトを組成するとともに、産学関係者が集う研究会活動、研究活動・成果を社会に披露するシンポジウム、海外での発信活動を行う。

医療経営プロジェクト

代表者:奥村陽一
研究概要:  医療経営に関する大きな変化は、医療においてICTが今後どのような影響を及ぼすかということである。この領域では、医療経営のベースである「疾病」からさらに一歩進んで、「健康」「未病」への進展である。人工知能やロボットを活用した新たなヘルスケアサービスの創出も、医療経営に大きな影響を及ぼす。また、地域医療情報システムが全国的に網羅されつつあり、それからのデータが一元化される日も遠くない。ビックデータを活用する事により、疾病治療が進展し、その知見により創薬まで進むことはいうまでもない。
 しかしながら、全国的にはこうした展開が進んでいくことが予想され、期待されるが、医療資源が十分でない地方では様々な困難な事態が今以上に進展していくことが確実視されている。そこで、遠隔地クリニックへの医療面及び経営面の支援ネットワーク構築研究を行う。すなわち、困難に直面している地域のクリニックの経営に資する研究を行う。

介護経営プロジェクト

代表者:肥塚浩
研究概要:  介護分野の人材不足がいよいよ深刻さを増す中で、人材確保と養成はこの間の一貫した課題であり続けており、その一つの方法として外国人による介護も増大していくことが予想されている。今後の介護経営に関して重要とされているのは、データに基づいた科学的介護であり、生産性向上に寄与する介護ロボット、IOT、ICTの活用である。
 また、ゴールドプラン(高齢者福保健福祉推進10か年戦略、1989年~)、新ゴールドプラン(高齢者保健福祉5か年計画(全面的に改定)、1994年~)で大量に介護施設が開設されたことから、現在、これら施設の建替えやリニューアルが課題となりつつある。そこで、利用者にとっても、働く職員にとっても適切な介護施設はどのようなものであるのかについて、特に老健施設を対象にして、未来の老健モデルを提示する研究を行う。

地域包括ケアシステム構築における医療介護連携プロジェクト

代表者:服部尚樹
研究概要:  地方では高齢者数はしばらくすればピークダウンしていくものの、都市部では高齢者が急増していくわけで、一方での健康予防、他方での2040年にピークを迎えると言われている看取りの課題にどう向き合うのかは、2025年には認知症の方が700万人以上となる日本の現実からして、きわめて重要である。
 これらの課題は、医療機関や介護事業所が単独で対応可能ではなく、また両組織だけでなく地域に住む多くの方々の参加によって対応が図られる必要がある。そこで、医療と介護の連携課題を軸としながら、地域包括ケアシステムの構築に資する医療機関、介護事業所の事業活動および経営、そして、自治体を軸とした地域経営および地域財政の観点からの研究を行う。