人とのかかわり方や病気の症状にも、国や文化によって違いがあります。そのため、心理的な支援を行う時には、その人がどのような文化で生きてきたかを理解する必要があります。2008年に母国・中国で起こった四川大震災をきっかけに、文化との関わりを考えた災害後の「こころのケア」に注目しました。
近年、大きな災害が起こると、世界中からボランティアが現地に集まります。たくさんの人の力が被災者の助けになる一方で、異なる文化を持つボランティアチームが知らないうちに現地の人たちに合わない支援方法を行ってしまうことがあります。これでは「こころのケア」はできません。
また、東日本大震災では「あいまいな喪失」を感じる被災者がたくさんいました。「あいまいな喪失」とは、災害などで大切な人が行方不明になり、心の中では「どこかで生きている」と信じているのに、実際には会えないことで感じる喪失のことです。こうした喪失による心身の回復においても地域の文化や宗教を考慮することが大切になります。こころのケアの方法はヨーロッパで生まれたものが多く、これからアジアの文化に合ったこころのケアを作ろうとしています。