「命を大切に」。
その言葉が届かない生徒に届く
自殺予防教育

#087
総合心理学部 教授川野 健治

 日本では、10~20歳代の若年層の自殺対策が遅れているといわれています。文部科学省は、自殺やそれを防ぐ術(すべ)について学ぶ自殺予防教育を重視し、法の制定、手引きの作成を行い、若年層を対象とした対策を講じています。

 これらに対し、本研究“GRIP”は、「学級で生徒と教員が支え合える環境をつくる」ことを目的とし、本当に支援を必要とする子どももされることなく学級全体が学習を受け入れられるようプログラムを設計しています。

 プログラムは、教員向けの研修から始まります。その後、生徒とともに、➀自分の気持ちを見つける『マインド・プロファイリング』、②心の健康を回復させるための対処法(スキル)を学ぶ『マインドポケット』、③感情の伝え方や感じ方は人それぞれだと学ぶ『KINO』という感情表現ゲーム、④友達の悩みに気付いた時の聞き方を実践的に習得する『シナリオコンテスト』を実施し、学びを深めます。そして最後に各学習を振り返り、自分のものとしたところで終了します。

 ”GRIP”は、生徒も教員もお互いに考えを伝え合い・支えあう学級をつくることを目指す学校の自殺予防教育です。一つひとつ異なる個性の学校や学級での実践ですから、丁寧にデータを分析しながらプログラムの改善を続けていきます。

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