光合成に魅せられて【前編】
伊佐治 恵 研究員(生命科学部 生物有機化学研究室)
昨年7月、研究成果が、公益信託山村富美記念
女性自然科学者研究助成基金「山村フェロー」に採択される。
私は幼い頃から地球環境に興味があり、その関連書籍をたくさん読み、勉強していました。そのなかで、「光合成は、太陽光という無限のエネルギーを利用した非常に効率的なシステム」であることを知りました。工業をはじめ多様な分野に光合成のシステムを活用できれば、将来、さまざまな地球環境問題を解決する糸口になるのではないか、と考えました。「光合成の仕組みをもっと研究したい」と思い、大学を選ぶにあたっての最も大きな軸を「研究室」にしました。
そこで、各大学の研究室を調べたところ、まさに自分が学びたい分野を研究している民秋均先生の研究室を見つけ、立命館大学への入学を決意しました。ただ、高校生の頃は、生物の授業は大好きでしたが、物理や数学は大の苦手でしたので、自分が理系に進学してやっていけるかどうか迷った時期もありました。しかし、最終的には、やりたいことを重視して、理系分野に挑戦することにしました。
入学当初は、勉強一筋に打ち込んでいる学生が、周りには少ないように感じました。私は、やりたい研究のために進学したので勉強に没頭しました。
しかし、周囲がサークルなど勉強以外の活動で交流の輪を広げたりクラス単位で強い結束を持ち、新歓祭典や学園祭などの充実したキャンパスライフを過ごしている姿をみて、悩んだこともありました。
勉強に没頭した一年間をおえて、ふと気がつけば、自分の周りには誰もいないことに愕然としました。「それまでの自分のありかたを変えたい」と思い興味のあった漫画研究会に入りました。
最初は「勉強以外のことに時間を割く」ということに抵抗がありましたが、趣味である絵を描く時間を持つと、肩の力が少し抜けて、それまで以上のよい研究ができるようになりました。「一つのことに没頭しつつも、適度にバランスを取ることが、結果的にはよい活動につながる」と、この時に気付きました。また、サークルのイベント前は大変忙しく、研究活動との両立も必要になります。そのため、スケジュールの調整もうまくなりました。サークルに参加することで、計画性や効率性が身についたと思います。
勉強については、1回生・2回生の時は、生命科学の基礎勉強と有機合成の実験をとことんやりました。3回生後期には、念願の民秋均先生の研究室に入り、先生に勧められ、大学院への飛び級進学を決意しました。
研究室では、クロロフィルという緑色の色素の分子構造や分子の形を細かく調べ、1つの細胞にどのくらいの色素が入っているのかを調査しています。
光合成を行う生物は、様々な種類の色素を持っていて、生存環境にあわせて色素組成を変化させ光合成機能を調節しています。そこで、光合成生物一細胞の色素を調べ、光合成機能が生物の最小単位レベルでどのように調節されているのか、ということを調べています。
細胞のなかの色素1つ1つが、住む場所の栄養の多寡や光のあたり具合によって、どのように環境に適応するのか、細胞ごとの個性があるかどうかなどを調べることによって、光合成の基本的な仕組みがより詳しく解明できます。生体(細胞)は、生存する環境下で最も効率よく光のエネルギーを得られるように最適化されています。そのシステムを上手に真似ることができれば、将来、有機系太陽電池の設計をする際に役立つと考えられています。このような基礎研究の成果をいくつも積み重ねて、いつか工業化に応用される研究をしたいと思っています。
次回は、昨年7月の公益信託山村富美記念
女性自然科学者研究助成基金「山村フェロー」採択をうけられての想い
伊佐治先生の今後の目標についてもせまっていきます。
掲載は、1月11日(金)を予定!お楽しみに!
そこで、各大学の研究室を調べたところ、まさに自分が学びたい分野を研究している民秋均先生の研究室を見つけ、立命館大学への入学を決意しました。ただ、高校生の頃は、生物の授業は大好きでしたが、物理や数学は大の苦手でしたので、自分が理系に進学してやっていけるかどうか迷った時期もありました。しかし、最終的には、やりたいことを重視して、理系分野に挑戦することにしました。
入学当初は、勉強一筋に打ち込んでいる学生が、周りには少ないように感じました。私は、やりたい研究のために進学したので勉強に没頭しました。
しかし、周囲がサークルなど勉強以外の活動で交流の輪を広げたりクラス単位で強い結束を持ち、新歓祭典や学園祭などの充実したキャンパスライフを過ごしている姿をみて、悩んだこともありました。
勉強に没頭した一年間をおえて、ふと気がつけば、自分の周りには誰もいないことに愕然としました。「それまでの自分のありかたを変えたい」と思い興味のあった漫画研究会に入りました。
最初は「勉強以外のことに時間を割く」ということに抵抗がありましたが、趣味である絵を描く時間を持つと、肩の力が少し抜けて、それまで以上のよい研究ができるようになりました。「一つのことに没頭しつつも、適度にバランスを取ることが、結果的にはよい活動につながる」と、この時に気付きました。また、サークルのイベント前は大変忙しく、研究活動との両立も必要になります。そのため、スケジュールの調整もうまくなりました。サークルに参加することで、計画性や効率性が身についたと思います。
勉強については、1回生・2回生の時は、生命科学の基礎勉強と有機合成の実験をとことんやりました。3回生後期には、念願の民秋均先生の研究室に入り、先生に勧められ、大学院への飛び級進学を決意しました。
研究室では、クロロフィルという緑色の色素の分子構造や分子の形を細かく調べ、1つの細胞にどのくらいの色素が入っているのかを調査しています。
光合成を行う生物は、様々な種類の色素を持っていて、生存環境にあわせて色素組成を変化させ光合成機能を調節しています。そこで、光合成生物一細胞の色素を調べ、光合成機能が生物の最小単位レベルでどのように調節されているのか、ということを調べています。
細胞のなかの色素1つ1つが、住む場所の栄養の多寡や光のあたり具合によって、どのように環境に適応するのか、細胞ごとの個性があるかどうかなどを調べることによって、光合成の基本的な仕組みがより詳しく解明できます。生体(細胞)は、生存する環境下で最も効率よく光のエネルギーを得られるように最適化されています。そのシステムを上手に真似ることができれば、将来、有機系太陽電池の設計をする際に役立つと考えられています。このような基礎研究の成果をいくつも積み重ねて、いつか工業化に応用される研究をしたいと思っています。
次回は、昨年7月の公益信託山村富美記念
女性自然科学者研究助成基金「山村フェロー」採択をうけられての想い
伊佐治先生の今後の目標についてもせまっていきます。
掲載は、1月11日(金)を予定!お楽しみに!