• 796 -  パラリンピックを目指すランナーと伴走者。「走ること」を通じて強まる絆。

    パラリンピックを目指すランナーと伴走者。「走ること」を通じて強まる絆。

  • 795 -  「エッジコンペ2016」で賞を逃したことを機に、さらに結束、アイデア実現に挑戦し続ける

    「エッジコンペ2016」で賞を逃したことを機に、さらに結束、アイデア実現に挑戦し続ける

  • 794 -  文武両道で西園寺育英奨学金を受給。サッカーにかける思い

    文武両道で西園寺育英奨学金を受給。サッカーにかける思い

  • 793 -  薬の正しい知識と付き合い方を知ってもらいたい、 薬物乱用防止キャンペーンを各地で実施

    薬の正しい知識と付き合い方を知ってもらいたい、 薬物乱用防止キャンペーンを各地で実施

  • 792 -  「減災・防災を意識するきっかけに」 災害時用の笛を5000個製作

    「減災・防災を意識するきっかけに」 災害時用の笛を5000個製作

+Rな人記事一覧

492 -  積み重ねた時間と一瞬のひらめき

積み重ねた時間と一瞬のひらめき

河野 悠さん(理工学研究科 博士課程前期課程2回生)

理工学部 高倉秀行・峯元高志研究室 
第33回(2012年秋季)応用物理学会講演奨励賞受賞者

  • No.492
  • 2013年2月8日更新
昨年秋に行われた講演会で、私は初めて、応用物理学会講演奨励賞を受賞しました。全国の大学から集まった3593件の一般講演論文のうち、申請のあった661件の口頭・ポスター講演の発表者の中から審査され、36名が奨励賞に選出。その中に残ったのです。

私の研究は、ソーラーパネル(太陽電池)の光を吸収するパネル部分の厚みをスリム化しながら、通常と変わらない量の電気をつくりだすことを目的としています。通常ソーラーパネルには、レアメタルが使われています。レアメタルは半導体にも使われ、いまや様々な製品を製造する上で欠かすことのできない物質です。ただ高価である上に、有限資源でもあるため、レアメタルがとれなくなると、それまでの技術が活かせなくなります。そのため今は様々な研究機関で、レアメタルの代用研究が行われています。私の研究室では、通常200μmのソーラーパネルの厚さを2μm(マイクロメートル)にすることができました。髪の毛の直径が100μmと言われているので、およそ、髪の毛の1/50の薄さになりますね。また代用する物質には、「すず」と「硫黄」をあわせた「硫黄すず」を使い、光吸収層をつくりだしていきます。数ある選択肢の中から、私は硫黄とすずを選んで研究を続けていますが、研究者によって別の物質を使っていたりもします。

研究室に配属されて4年。配属直後は、レアメタルの研究をしていました。
レアメタルは非常に数の少ない物質であり、とりだすためには、森を切り開いたり、穴を掘ったりしなければいけません。ただ、その作業を行うことで環境を変えてしまいます。研究を重ねる内に僕は太陽エネルギーに対する「エコロジー」というイメージと、環境を犠牲にする採取方法とのギャップに矛盾を感じるようになり、峯元先生に相談した所、「他に面白い材料があるから、その研究をやってみたら」と薦められたのが、「硫黄すず」でした。研究している人が少ないため、情報が少なかったので、まず、「硫黄すず」の素性を調べる事にしました。赤外線を使って、時間や温度を変えながら加熱をしてみました。最初の1年間は失敗の連続でしたが、試してみたい方法がたくさんあり、自分が納得するまで同じ作業をひたすら繰り返していましたね。方法を試しつくしたので、次は硫黄すずの粉末を蒸し、蒸気にして物質に癒着させた後、加熱してみました。すると満足いく結果がではじめました。「蒸す+焼く」方法を見つけてからは、研究のスピードも格段にあがりました。

最初は順調だったこの方法も、ある日を境にデータがでなくなり、研究がとまってしまったんです。この期間は半年ほど続き、理由がわからなかったので、ずいぶん悩みました。でも相談した友人の一言がヒントになり、その状況を打破することができました。研究を進めながら、論文を同時にまとめ、峯元先生にもアドバイスを頂きながら、なんとか研究の成果をまとめることができました。その論文で、今回、奨励賞を受賞することができたんです。賞を受賞した理由は、新しい着眼点で研究を進めたところ。世界で一番高い変換効率を達成することができました。
受賞した時は、峯元先生もとても喜んで下さいました。自分が取り組んできた研究成果が形となったことに対し、嬉しさを感じました。研究が途中で行き詰った時は、自信がなくなりましたし、ずっと続くと挫けそうになる時もありますが、これからも頑張ろうと思いました。研究は、今までやらなかった事をやるだけで、結果がまったく違ってくるところが面白いと思います。



-研究のやりがいを教えて下さい。

やり方ひとつ変えるだけで、自分自身や研究に、もっとたくさんの可能性が見えてくることです。研究で行き詰った時は人と話したり、料理をしたり、長湯をしたりしてリラックスをしています。
僕は大学にいるうちに、いろんな事をしたいと思っていますが、今の研究は多くの可能性があるので、もうこれ以上ないというくらいまで追求していきたいですね。これまでは、ずっと1人で研究を進めていましたが、今年から後輩ができたので、幅広く研究を進めていきたいです。
また後輩ができることで、人にものを伝える練習になりますし、人に教えるためには、自分が高い水準で取り組まないといけません。そういった事すべてが、自分の力になると思います。今は、まだ他の人の技術や理論を基に研究をしているので借り物をしている段階ですが、少しずつ自分なりの理論やスタイルを確立していきたいですね。

(※1)応用物理学会講演奨励賞は、春季または秋季の学術講演会において、応用物理学の視点から極めて価値のある一般講演論文を発表した若手会員に授与し、これを称えることを目的としています。(※応用物理学会ホームページから引用)




~3月に、河野さんの授賞式と記念講演が行われます~


   2013年春季講演会

   【日時】 3月27日(水)   【場所】 神奈川工科大学

【河野さんの受賞された論文名】
ZnO1-xSxバッファ層を用いた硫化スズ薄膜太陽電池の作成

■応用物理学会のホームページ


■立命館大学 高倉・峯元研究室ホームページ


最近の記事

  • 何かに熱中する 学生生活を 手に入れろ 2016年度クラブ・サークル紹介

    何かに熱中する 学生生活を 手に入れろ 2016年度クラブ・サークル紹介

  • 駅伝に新たな歴史をつくる 女子陸上競技部

    駅伝に新たな歴史をつくる 女子陸上競技部

  • 戦後70年 第62回「不戦のつどい」

    戦後70年 第62回「不戦のつどい」

  • アメフト日本一を手に入れろ! RITSUMEIKAN PANTHERS 2015

    アメフト日本一を手に入れろ! RITSUMEIKAN PANTHERS 2015

  • タバタトレーニング

    タバタトレーニング