「enPiT」は文部科学省のプログラムで、情報通信技術を活用し、社会の課題を解決していける人材の育成を目的としています。企業と共同で1年間の研究を行い、その成果報告会で最優秀賞にあたる金賞を受賞された福崎さんにお話を伺いました。

「学生の間に、所属している研究室で学びを深めると同時に、社会に出てから必要となるスキルや知識も鍛えたい。」その想いから、enPiTへの参加を決めました。研究テーマは「Wi-Fiパケットを用いた人流解析システムの研究開発」です。Wi-Fi機能を有した携帯端末は定期的に電波を送信しており、その電波の中には個々を識別するためのIDが含まれています。そこで、それらをセンサで感知し、人の流れや動きを認識することに取り組みました。

企業の開発スタイルに準じて研究を進めるため、専門性を磨くだけではなくプロジェクト管理のノウハウも学ぶことができました。その過程で、多くの方々にお世話になったので、金賞で恩返しをすることができてよかったと思っています。今後はもっと大規模な実験を行い、実用的な人流解析の実現を目指していきます。そして将来的には、交通計画や防災計画、商用マーケティング等への活用に繋がっていけばと思っています。デジタル（情報）が進化すると、アナログ（実際に会ったり、触れ合ったり）の活動が減っていく傾向にあると感じているのですが、そうではなくてデジタルの力でアナログの活動を活性化させていくことが僕の目標です。

     

僕は理工学部に入学しました。高校時代は部活動に注力したため、大学では勉学にも十分に取り組みたいと考えていました。そして、一度きりの大学生活なので、興味がある分野の勉強をしておきたいと思い、2回生時に情報理工学部へ転籍しました。周囲に遅れた状態で新たな専門分野に取り組むため、最初は講義についていくのも大変でした。そのため、まさか今回のような賞を受けられるようになるとは思ってもいませんでした。人一倍努力してきたおかげで、当時は想像もしていなかった自分が今ここにいます。

学業面以外にも、体育会ラクロス部での活動や、就活支援活動JA、仙台ボランティア等にも力を入れ、関心のあることには積極的に取り組んできました。それらの経験から、もし新たなことへ飛び込むのを躊躇している方がいたら、「挑戦するのに遅すぎるということは絶対にない。興味が湧くことがあるなら、勇気を出して扉を叩きにいき一生懸命努力すれば、新たな道が開ける」。そう信じて一歩踏み出してみてほしいと、強く思っています。