過去７回の世界チャンピオン。国内外のバトントワリング界にその名を轟かせる「立命館大学バトントワリング部（以下：バトン部）」は創部20年目を迎え、今年1月に記念公演を開催した。競技ではない公演は10年ぶり。実施が決まった2014年から創立メンバーでもある稲垣監督を中心にOG・OBや学生たちが一丸となって今回の公演を成功させた。



公演まで1ヶ月に迫った昨年12月に部長を引き継いだ坂野さん。就任直後は練習メニューを組むことやチームをまとめることがうまくできなかったが、パンフレット制作や衣装づくりなど、裏方の仕事を中心に公演の準備を進める中、歴代の部長たちからアドバイスをうけることができ、20年の重みを感じると同時に部長としての自覚が芽生えた。「部長として自分が何をしなくてはいけないのかを学びました」と振り返る。


彼女が始めてバトンを握ったのは4歳のとき。小学1年生から競技バトンを始め、当時通った教室の先生がバトン部OGの高見亜梨彩さんだった。「小さいときから立命館大学の演技を見ていたし、バトン部は憧れの存在でした」中学はバトンを続けるため附属宇治中学校に進学。中学時代の指導者もバトン部のOGだった。


大学のバトン部に入部した2014年春には、既に今回の公演に向けた練習が始まっていた。多くの世界で活躍する選手たちに圧倒され、右も左もわからなかった彼女はとにかく練習についていくのが必死だったという。“指導された振り付けをすぐにできないといけない”“監督の要求を自分で考えてやらないといけない”自分の技術や表現が、監督の描くものになかなか達していないという苦悩があった。「練習も本番も『できてるな』って思えるものはほとんどななかったです。監督が紙に書いてくれた演目のコンセプトを頭の中に叩き込み、監督が表現したい世界を考えながら、とにかく瞬時に体を動かすしかなかったです。それの繰り返しでした。完璧ではなかったけど試行錯誤しながら練習できたことはよかったと思います。公演後には観客の方たちから『感動した』との声をいただき、喜んでくださってほっとしています」


「体操やバレエ、ダンス、いろんなジャンルがあるけど、バトンを持ったうえでバレエ的な綺麗さや体操的なアクロバット、ダンス的な機敏さを兼ね備えているところがバトンの魅力だと思います」世界大会に出場できるメンバーは補欠を含めて10人。彼女はまだ世界大会ではない国内大会のメンバーだ。「全国大会の舞台、立命館にいないとできない経験をさせてもらっています。大会や公演の節目に、普段の練習では味わえない達成感がありますね。だからこそ頑張り続けられるんです。」立命館のバトンとともに育ってきた坂野さん。一人の選手として力を伸ばしながらも、部長として周りと協力し合ってよい雰囲気づくりを大切にしていきたいと語ってくれた。