安藤 佳晃さん(法学部3回生)

宮城県東松島市出身 津波により実家が半壊
在学中に発生した震災の影響で、一度は大学を辞め、働くことを考えた宮城県東松島市出身の安藤佳晃さん(法学部3回生)。大学や民間団体の経済支援を受けて、現在は正課の授業のみならず、アイスホッケー部の副部長として課外活動にも熱心に取り組まれています。

僕の実家は宮城県東松島市にあり、東日本大震災の津波で家が半壊しました。父はバイクを販売していましたが、全ての商品が倒れて売り物にならない状態になったり、街から人がいなくなってしまったことなどから、営業を続けられなくなってしまいました。

震災発生後、家族や友だち、地元地域のことが気がかりだったのはもちろんですが、「大学へ通えなくなるかもしれない」という心配もありました。当時、同じ立命館大学に通う兄とこれからについて毎日話し合いました。僕はまだ1回生だったので、大学を辞めて仕事に就き、3回生の兄には卒業まで在学してもらいたいとも考えていました。

そんなとき、大学から経済支援に関する知らせが入り、現在は複数の団体から援助を受けて、大学生活を送っています。大学で授業を受けること、友だちと遊ぶこと、意識せずに暮らしていた日々が、あたりまえのことではないと気付き、自分は生かされているんだと感じました。

経済支援を受けて、正課の授業もアイスホッケー部の活動も、それまで以上に頑張れるようになりました。被災地で頑張っている人たちのことを思いながら、直接関係はないけれど、「自分が今やるべきこと」に、しっかり取り組むように努めています。また今後は副部長としてチームを引っ張り、いい結果も残したいと思っています。

震災を通じて、人の温かさ、家族の大切さを感じました。みなさんにも、家族や周りの人々とのつながりを大切にしてほしいと思います。また、起震車などで地震を体験することや、日ごろから防災について周りの人々と話し合うなど、地震に備えることが大事だと思っています。

3月11日あなたはどう迎えますか?

震災から2年たった今も、松島市やその近辺は、「復興」というより、まだ「復旧」といった状況です。多くの瓦礫が残り、鉄道も通っていません。いつ地震や津波が起こるかわからないという恐怖から、住宅街だった場所に住宅が再建される予定もたっていません。3月11日は震災を忘れないために、当時を振り返る日にしたいです。10年後、20年後、次の世代が震災の映像を見るときに、被災者として語り継いでいきたいです。

企画/犬塚 直希(経済学部6回生)、田中 裕太郎(文学部4回生)、國田 華奈(産業社会学部3回生)、樽見 彩加(文学部3回生)、梅田 友裕(政策科学部2回生)、岡戸 亜沙美(産業社会学部2回生)、樋川 貴之(情報理工学部2回生)、松下 健太郎(情報理工学部1回生)、簗瀬 百合香(産業社会学部1回生)