岩城 浩幸 主席解説委員が「パブリックアクセス論」で講義を行いました!

Posted on 2012.07.30

2012年度開講の「パブリックアクセス論」(金山勉教授担当)
のゲストレクチャラーとして東京放送・TBSテレビの岩城浩幸
主席解説委員が招聘され、「"停波"の危機で見えたこと―
東日本大震災報道を通じて―」と題した講義が行われました。

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<岩城浩幸 主席解説委員>

 

TBSテレビは、全国の民間系列局が協力して世の中の出来事を
伝える「ニュース協定」をもとに構成されたJNN(ジャパン・
ニュース・ネットワーク)の中心であり、東日本大震災の発生
から今日までの状況をもっとも俯瞰的にみることができる存在
であり、また将来に備えた緊急・災害時報道のあるべき姿を
日々考えています。

今年度の「パブリックアクセス論」では、「東日本大震災発生
後、地域や人々に密接に関係する情報がどれだけきめ細かく
伝えられたのか」、という情報の送り手としてのメディアに
向けられた課題を折に触れて取り上げてきました。

市民による地域密着の情報発信こそ、ポスト3・11の現代
社会において重要であり、この役割は、「多くの人々を対象
とする一般の放送局、いわゆるマス・メディアには期待でき
ない。むしろ、コミュニティに根ざすコミュニティメディア
(コミュニティFM局が中心)にこそ解決の方途がある」との
声が多くあがる中、岩城 主席解説委員は、東京キー局を
中心に、全国的に放送を展開する民間放送ネットワークだから
こそ担える役割があるはず、との視点から講義を行いました。

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「放送局は公共的な使命を担っており、一刻たりとも放送電波
が送れなくなること、いわゆる"停波"があってはならない」
「震災後、電力供給の危機にさらされる中、放送を続けるため
に自家発電機を稼動させるための燃料を必死で工面しながら
放送を続けた」「東日本大震災の被災現場の渦中にいた、ある
記者は、自分の故郷が津波に飲み込まれてゆくのを目のあたり
にしながら、ただその光景を記録し続けたが、そのやるせなさ
がいかばかりだったか」「現在のテレビ放送は24時間という
限られた時間の中でしか何かを伝えることができないが、
それを超えるにはどうすればよいか」

マス・メディアとしてのテレビ局が、東日本大震災で直面した
課題を正面から受け止め、もっと視聴者に身近でありたいと願う
、強い思いがこもった講義が展開されました。

一方、これを受け止めた受講生たちは、大震災に際し、テレビ
放送が果たした役割への一面的な評価でしかその役割を考えて
いなかったことに気付かされました。講義を通じてマス・メデ
ィアからコミュニティメディアに至るまで、幅広くメディアが
連携してゆくことが大切だとの考えを持つようになったようです。

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JNNでは、岩城主席解説委員を中心に、テレビが震災報道において
24時間という固定した放送の枠組みを超える第一歩の試みとして
『3.11大震災 記者たちの眼差し』を震災後1年の節目の日に
あわせて刊行しました。歴史の証言者として震災報道にかかわっ
た放送ジャーナリストの記録を「時間枠」にとらわれることなく
世の中に提示したものであり、東日本大震災の各種プロジェクト
に取り組んでいる産業社会学部でも大いに参考とし、また議論の
材料としたい取り組みです。 

                                                                      文責:BEN

 

 

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