グローバル・フォーカス・国際セミナー 産社OBによる特別講義が開催されました!~PART1~

Posted on 2013.07.02

2013年度から開講した、グローバル・フォーカスのコア科目
である、「国際セミナー」ではこの6月、世界的に活躍をされ
ている産社OBの方を招聘し、特別講義を実施しました。

6月7日(金)は、フォトジャーナリストの渋谷敦志さんに、
「ソーシャルフォトで生きる」と題してお話をいただきました。

<フォトジャーナリスト 渋谷敦志さん>

大学で学ぶ意味を見いだせず悶々としていたころ突如として
起こった阪神淡路大震災。これがきっかけとなって、渋谷さんは、
違う環境に身を置いて自分を鍛えたいと研修制度を利用してブラ
ジルへの留学を決意します。渡航前に一生懸命取り組んだボラン
ティアと、ブラジルでの法律事務所での経験が、渋谷さんの現在
まで続く「写真の力で社会をよくする仕事がしたい」という意思を
明確にできた契機となりました。

卒業後、意気揚々とフォトジャーナリストとしての活動を開始した
ものの、しかし、アフリカの紛争地域や貧困の現場で目の当たり
にした壮絶な光景に、自分の無力さを思い、写真にできることは
何か?社会を変えるための仕事とは?ということを考え、悩む日
々が続きました。結局、自分は世の中の人が見たいと思っている
(可哀想な、悲惨な)「アフリカ」を再生産しようとしていただけでは
ないか。自分の思い込みや求められるイメージを相手にぶつけて
きたのではなかったか、ということにはたと思い至ったとき、社会
を変えるためにはまず自分が変わらなければいけない、というこ
とに気がついたといいます。
”Be the change you wish to see in the world”-「この世界の内
に望む変化に、あなた自身が成りなさい」というのが、その後の
渋谷さんの座右の銘になりました。

こうした体験を契機にそれ以降の写真の取り方がかなり変わった、
と渋谷さん。知ることより感じること、そして、現場での確かな手触
りを大事にすること。多面的な世界を数字や既成の言葉で括るの
ではなく、まずは人として向き合い、そして想像すること。人として
の生き方と写真を撮る行為が重なり合うとき、自分の思いや言葉
は写真として表現され、見る人はそれを他人ごとではなく、自分ご
ととして感じ取ってもらうことができるのではないかと話されました。

13回もアフリカに取材に行っても、まだ素直にまっすぐ見れていな
い気がする、という渋谷さんは、アフリカに行くのは、自分の心を
自由にしに行くためという感覚があるといいます。アフリカに行って
そういう気持ちになれたら、写真をやっている目的が達成されるの
かもしれません、と講義の最後を締めくくられました。

さまざまな写真を見せていただきながら、じっくりとお話に聞き入った
90分間でした。

このページの上部へ