国際語にもなった「KAROSHI」を韓国の眼から~社会学研究科DMDP院生が過労死をテーマとしたシンポジウムで報告~

Posted on 2013.07.04

韓国中央大学とのDMDP制度(※1)を活用し、昨年度から社会学
研究科に在籍しているカン・ミンジョンさん(M2、指導教員:櫻井
純理教授)が、研究テーマである「過労死・過労自殺問題」の韓
国での実態について、シンポジウムで櫻井教授と共に報告しま
した。

<カン・ミンジョンさん>


<櫻井 純理 教授>

カンさんが発表を行ったのは、2013年6月12日、「過労死110番
25周年記念シンポジウム」(主催:大阪過労死問題連絡会、会
場:エルおおさか)でのこと。今年は、国内外に「過労死」の存在
を知らしめることもなった電話相談「過労死110番」の実施から
四半世紀の節目を迎え、2013年6月現在、「過労死防止基本法」
を制定する社会運動も展開されています。「過労死社会は変革
できるか」をテーマに行われた今回のシンポジウムには、「過労
死を考える家族の会」のメンバーや支援者、過労死弁護団の先
生方、労働問題に関心を持つ研究者や市民など、50名近くが参
加されました。

カンさんは、韓国においても日本と同様の長時間労働が存在し、
そこでは過労死や過労自殺も発生していることを、現代製鉄や
ロッテ百貨店等で生じた最近の事例とともに報告しました。
しかし、韓国では遺族を横につなぐネットワークが日本のように
は存在せず、この問題に対する社会的関心もそれほど高まって
いません。今後は遺族や労働問題の専門家、弁護士、労働組合
等が力を合わせて、過労死・過労自殺の労災保障と予防活動に
取り組む仕組みを作っていくことが必要だと、カンさんは主張し、
今後、自身が研究と活動を通じて問題解決に貢献していきたい
と述べました。

会場に参加していた方々からは、カンさんの報告内容に大きな
関心が寄せられました。特に、長時間労働=勤勉、すなわち美
徳と捉える社会的風潮や、低い基本給を残業で補わなければな
らない給与構造など、韓日に共通する問題点があることが、強
い印象を持って受け止められたようです。『産経新聞』や『毎日
新聞』も当日の様子を記事に取り上げ、カンさんの報告内容が
誌面で紹介されました。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130621/waf13062107000002-n1.htm
*リンク切れの際は、ご容赦ください。

(※1)DMDP制度とは
Dual Master’s Degree Program(修士課程共同学位プログラム)
の略称で、このプログラムは、本学での2年間の博士前期課程在
学中にランカスター大学(イギリス)又は中央大学校(韓国)に正規
留学(1年間)することによって、最短2年間で両大学から修士号を
取得できる制度です。今年度も1名中央大学校に派遣予定です。
DMDPについて興味を持たれた方は産業社会学部事務室(大学
院担当)までお問い合わせください。


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