トロントでのフィールドワーク学習

Posted on 2016.03.23

【トロントでのフィールドワーク学習】

 企画研究の授業で、2月28日から3月7日にかけて、カナダ
のトロントで多様な市民の共存について考えるフィールド
ワーク学習を行いました。
 フィールドワークは、今回のフィールドトリップを熱心か
つパーフェクトにコーディネートしていただいたトロント
大学のBill Mboutsiadis先生によるキャンパスツアーから
始まり、福祉機関でのボランティア体験、労働組合(United
Steel Workers)への訪問、ファーストネーション(アボリジ
ニ)の支援機関でのヒアリング、カナダの歴史博物館(The
Market Gallery)での歴史学習、移民政策に関する国際カン
ファレンス(The 3rd International Cities of Migration
Conference)の出席、ギリシャ移民のコミュニティセンター
(Greek Commuity)の見学、初等教育機関(Dovercourt Public
School)の教育体験、トロント大学教育学部での移民と言語
政策に関する講義の受講など、とても多彩な内容で実施され
ました。


<トロント大学>

 今回のフィールドワークで学習できた大きな成果は移民と
ファーストネーションの人々に対する社会的包摂がどのよう
に行われているかということであったと思います。移民の
社会的包摂については、政府や企業による移民政策の最新の
動向をカンファレンスへの出席を通じて学習し、また、移民
を始めとする低所得者に対して安価に自然食材を提供する
FoodShareや日本人の移民向けに福祉サービスを提供している
Japanese Social Servicesといった福祉機関へのボランティア
や職員の方からのヒアリングを通じて、異なる文化や言語の
もので、どのような特別なサービスが必要となるのかという
ことを学びました。さらに、教育については、ギリシャ移民
のコミュニティセンターで、移民の文化や言語を維持するた
めの教育サービスの内容や公立初等学校での多様なバックグ
ランドを持つ子どもたちの学び合いの姿を見聞しました。
そして、トロント大での講義を通じて、そうした多様な背景
を持つ移民の教育の現状と社会的地位の結びつきなどについ
て学びを深めることができました。


<公立初等学校>


 他方、ファーストネーションに関しては、トロント大学の
ファーストネーションの学生に対する学習支援センター
(First Nations House: University of Toronto)やカナダの
歴史博物館などでカナダ政府によるファーストネーション
政策の歴史を学習し、また、トロントに定住するファースト
ネーションの人を対象とした支援センター(Native Canadian
Center of Toronto)では、住居や福祉サービスの提供が現在
どのように実施されているのかということを職員の方から伺
うことができました。
 こうしたフィールドワークを通して特に勉強になったのは、
カナダでは過去において、移民排斥やファーストネーション
の人々に対する強制的な同化政策など様々な問題を経験し、
それらの一部は今も社会的課題となっているが、そうした負
の側面を記録し続け、教育や社会政策を通じてそれらを是正
しようと模索している人や社会の姿でした。


<International Cities of Migration Conference>


 参加した学生たちからは、カナダの「良い面」だけでなく
「悪い面」について学習したことが勉強になったという声の
ほか、社会を変えるための社会運動やボランティアの活発な
点や社会の多様性を活かし機能させるうえで市民と政治が
「近い」距離にあることに驚いたといった感想が寄せられ
ました。

文責:人間福祉専攻 鎮目真人教授


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