社会福祉援助技術演習Ⅲ ゲストスピーカーを迎えて②

Posted on 2016.06.24

日 時:2016年6月17日 2限
ゲスト:医療法人 宮本病院 地域活動支援センター櫻
      相談支援専門員(精神保健福祉士) 中野 千世さん
    多機能型事業所めばえ ピアスタッフ 
                          ピアサポーター 足立 芳男さん
テーマ:精神障害がある人のピアサポート活動の実際


人間福祉専攻の社会福祉士課程では、福祉現場の実践者や、
当事者から多くの学びを得ています。今回は、和歌山県から、
相談支援専門員(精神保健福祉士・社会福祉士)の中野千世さ
んと、ピアサポーターの足立芳男さんが、ピアサポート活動
と、それを支える専門職の活動についてお話してくださいま
した。



専門職としての支援と「仲間」としての支援
ピアスタッフの「ピア」という言葉には、「対等な」、
「仲間同士の」という意味があります。足立さんは、19歳の
ときに統合失調症を発症し、幻聴に苦しめられる等の、辛い
時期を過ごした後にアルバイトや作業所での仕事など、様々
な経験を経て、現在はピアスタッフとして活躍されています。
中野さんと足立さんは、精神科病院で社会的(長期)入院して
いる方が退院し、地域で生活するための支援を行なっていま
す。中野さんは、精神保健福祉士として精神障害者の方々が、
患者ではなく「生活者」として地域に定着できるよう支援を
されています。
その中で、専門職による支援のみでは退院に一歩踏み出せな
い患者さんや、地域での生活に多くの不安を抱えている方へ
の支援をする際に、「仲間」として関わることのできるピア
スタッフの担う役割の大きさについてお話ししていただきま
した。ピアスタッフが患者さんに「仲間」として体験談や不
安などを共有・共感しながら支援することの影響力はとても
大きく、地域で生活している(自分の一歩先を行く)「仲間」
の姿や語りは、退院して地域での生活を始めようとしている
多くの方に勇気や希望を与えているそうです。専門職スタッ
フとピアスタッフが共に支援を行うことで、お互いの強みを
生かした支援が展開されていることがわかりました。



ピアの持つ力に感動
社会福祉士の資格取得を目指している学生たちは、今回の
お話しの中でピアサポートの重要性を理解しただけではな
く、ピアサポートが持つ力に感銘を受けたようです。学生
からの感想には、「ピアサポートの魅力が分かった」、
「ピアサポートがもっと広まって欲しい」、「精神障害以
外の分野でもピアサポートが行なわれているのか知りたい」、
「ピアスタッフの体験を、もっと強みとして生かせる機会
をどのように作ることが出来るか考えたい」といったもの
が多くありました。学生たちは、中野さんと足立さんのお
話から、ピアサポートの魅力を十分に感じ取った様子でし
た。





統合失調症と付き合いながら
足立さんは、お話の最後に「今は、統合失調症を発症して
よかったと思っている」という発言をされました。この言
葉は、多くの学生に印象深く残っています。もちろん、統
合失調症と付き合いながら多くの体験をされたのではない
かと思います。しかし、その中で家族の大切さや、たくさ
んの人が自分を支えてくれているということを知って、
「病気になって得たものがたくさんある。これからも仕事
をがんばって、いつか6年間付き合っている彼女と結婚し
たい。」と話す足立さんに、元気をもらった学生もおり、
足立さんのお話と笑顔によって、今まで持っていた「障害」
というイメージが大きく変わった学生が多いのではないで
しょうか。

 


文責 社会福祉実習指導室




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