第1回スポーツ社会専攻企画講演会:企業のCSRとしてのスポーツ支援活動

Posted on 2016.08.03

8月入り学生たちは前期定期試験を終えて、夏休みに入りました。
スポーツ社会専攻では、ちょうど1カ月前の6月30日(木)以学館
1号ホールにて、第1回専攻企画講演会を開催しました。今回は、
大阪ガス株式会社 近畿圏部事業開発室 健康なまちづくりプロジェ
クト室長 石井 智 氏をお招きし、「企業のCSRとしてのスポー
ツ支援活動」をテーマとしたお話を伺う機会に恵まれました。ス
ポーツ社会専攻企画講演会は例年複数回行われていますが、その
いずれもが産業社会学部学生全員に門戸を開いています。ですの
で、今回もスポーツ社会専攻1年生の基礎演習4クラスを中心に多
くの学生が集まりました。今回の企画の背景には、学生の多くが
将来、企業への就職を希望していること、特にスポーツ社会専攻
の学生は、スポーツに関連した仕事に興味を示していることがあ
ります。企業の第一線で活躍する方からの実践的なお話は、今日
的な企業とスポーツの関係を学ぶ貴重な機会になっています。



講師の石井氏からは、冒頭に少子高齢化に伴う人口減少やイギリ
スのEU離脱決定の影響など、企業を取り巻く環境の変化が述べら
れ、企業のスポーツ支援も近年の課題に沿った意義を再定義する
時期にあることが伝えられました。ここでは、企業のCSR
(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が、
これまでのような単なる競技「支援」から脱却し、スポーツ支援
活動を「企業戦略遂行の資源」として位置付けることが重要にな
ることを指摘されました。特に大阪ガスは、広域な地域住民が顧
客であることから、企業が地域住民とともに地域コミュニティを
再定義することによりCSV(共有価値の創造:経済価値と社会価
値の向上を目指す取り組み)を目指していることが伝えられまし
た。その具体例として、地域住民を巻き込んだ「まちづくり」事
業や大阪ガス陸上部所属の朝原宣治氏を中心としたスポーツクラ
ブやアスリートネットワークの活動を紹介くださいました。
講演会を終えた学生からは、「少子高齢化社会では、定年後の健
康や青少年育成が課題となっていること、課題を解決するために
はスポーツ活動の実践を促すような仕組みづくりが必要であるこ
とがよく分かりました」「地域貢献策としての具体例が興味深かっ
た」「トップアスリートに指導してもらえる魅力が伝わった」
「まちづくりの対象となる地域を歴史的に紐解くことにより地域
のDNAに即した事業を住民と一緒に考えていく過程が大切であるこ
とが印象に残っています」との感想がありました。
石井氏は、学生の就職活動へのアドバイスをCSVのプロセスをあて
はめ「自分自身の経験から自己分析を行い、会社に貢献できるこ
とに繋げてアピールすることが大切」と加えられました。夏休み
期間、学生たちがそれぞれ与えられた時間を有意義に過ごすこと
の大切さを考えつつ、卒業後のキャリアについて考えるきっかけ
になればと思っています。



文責:スポーツ社会専攻 金山千広 教授

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