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12月23日(木)是枝裕和客員教授による特別講義
「対論:是枝裕和監督と4人のクリエーター~表現の可能性を求めて~」
第3回目が開催されました。この企画もいよいよ最終回です。
祝日にもかかわらず、多くの参加者がありました。
今回はゲストにアートディレクター・コミュニケーションディレクターの
森本千絵氏をお招きし、今を生きる表現者のあり方について
是枝監督と対談していただきました。![]()
森本千絵氏は
Mr.children、ゆずをはじめとする
ミュージシャンのアートワークやPV演出、
CM制作や大河ドラマ「江」のポスター制作など
幅広く活躍されている方です。
対談中、森本氏の手がけた作品を上映していただきましたが、
色使いなどの美術性、空間の使い方・・・
独創的なものばかりで驚かされました。
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生活の中に自然とすっと寄り添う作品から、
豊かな色彩でファンタジーな世界を作り出している作品まで
愛情あふれるものばかりで
会場に集まった参加者たちも森本氏の世界観に引き込まれました。
森本氏は
「自分だったらこんな空間で、ここちよく生きていきたい」
「自分が歌っているならば、こんなCDジャケットがいい」
と「自分だったら」を考えて制作に望むといいます。
アイデアをうみだすきっかけとして
「紙にできてしまったシミ一つでもネガティブに捉えるのではなく
ポジティブに捉えシミを生かした表現方法を考える。」
何事もポジティブに捉え、そのものの可能性を見出すことで
新たな発見があり、創造の世界が広がっていくのだそうです。
また、「ひとと関わる作品を制作する時は、
私の体の内側から熱く湧き出てくるものを表現したい。
だから制作中は自分が作品に入り込んで夢中になっています。」
と制作の思いを語られました。
アートディレクターという仕事は
商業的でもあり、夢を売る仕事でもあるので
「売り上げをあげたい」「新しいイメージをうえつけたい」など
クライアント(依頼主)の要望と、表現とのバランスが難しいと
語られました。
是枝監督は、
「森本さんの作品からは『売れないといけない』よりも『自分らしさ』が出ている。
媒体が変わっても対象が変わっても森本さんらしさがあふれ出ている。」
とおっしゃられていました。
今、「作家性」や「表現」を成立させるのが
困難な時代にも関わらず軽やかに、そして
楽しそうに仕事をされている森本さんの姿、言葉に
感銘をうけました。
また「ひと」と「縁」をとても大切にしておられるように感じました。
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「今を壊すかもしれない不安がたとえあったとしても
やってみれば大丈夫だなって思える。」
という是枝監督の言葉には森本氏も深く頷いておられ
「変わることを恐れない、だから何事もおもいっきり楽しんでいます」
と参加者たちに力強いメッセージを残しておられました。
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講義終了後。
お二人は学生との写真撮影や
サイン、さまざまな質問に
応えて下さっていました。