2024/06/26
魚屋の未来、水産業界の展望をこれほどわくわくしながら伺う機会は初めてでした。前回のアンダーデザイン株式会社川口社長に続き、今回お話いただいた織茂社長も「事業継承のことは全く考えていなかった」そうですが、だからこそ独自の知性と感性で、水産業界の常識にとらわれない果敢なチャレンジをされているように感じます。
「刺身をうまく引くことはできないけれど、自分だからこそできる魚屋の役割がある。」事業継承をされる以前の大学院での研究活動、総合商社での海外ビジネス経験、それら全てを強みにされているからこその言葉にとても刺激を受けました。
●イデオロギーの対立、あるいは避けては通れない勝負の刻
事業継承の際のお話として織茂社長が挙げられた、
20世紀入社:「だから若い奴らは・・」
21世紀入社:「だからおじさんたちは・・」
という世代間イデオロギーを背景にした対立は、事業継承をする人だけに限らず、誰にだって、いつだって起こり得ます。覇権争いの先にあるのは企業力の半減と企業価値の低下。この対立に向き合うための織茂社長のスタンスはこうでした。
・歴史と企業価値を理解する
→今までのスタッフがどのように生きてきたか客観的(感情抜き)に理解する
・古参のかたがたと問題点を理解する
→お互いの「常識を押し付けない」
・対話と会話を繰り返し、信頼し合う。
→どこまでが現実で、どこまでが理想なのか明確にする
避けては通れない勝負の刻として認識・覚悟・準備しておくのが吉だと感じます。
●悲観は気分、楽観は意思
危機的な状況になりつつある日本の水産業界で、織茂社長の描く、現状を打破するためのマーケティング戦略シナリオには前のめりで聞き入ってしまいました。講演後、あらためて内容を思い返してみると、業種・業界は何であれ、厳しい現状から目を逸らさずに、正確に状況を把握するからこそ、そこに希望を見出せるということ。そして、悲観してしまいそうな状況だからこそ、タフに、冷静に、クレバーに、そして楽観的に進むスタイルの大切さを、今回のお話の本質として受け止めています。
織茂社長、ありがとうございました!
(文責:立命館大学事業継承塾事務局 馬渡)