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04.28

PEOPLE

2025

【大塩ゼミ】青山学院大学 永山ゼミとの合同ゼミに臨みました

1. 今回の取り組みについて

2025228日から32日の3日間にわたり、私たち大塩ゼミは東京の青山学院大学 永山ゼミとの合同ゼミを行いました。このイベントは2023年の春に、共に西洋経済史をゼミ研究のテーマとする大塩先生・永山先生の両名によって発案された取り組みで、以来春休みと夏休みの期間に互いの大学を行き来する形で定期的に開催されています。
 5回目となった今回は特別にYMCA東山荘(静岡県御殿場市)を会場としてお借りし、そこに集まった両ゼミの学生がこれまでの研究成果を披露し合い、活発な意見交換や議論を行いました。会場となったYMCA東山荘は1915(大正4)年に日本YMCA同盟(YMCA:キリスト教主義に立ち青少年の健全な成長を支える諸社会活動の総称)の研修会場として開館し、「キリスト教を基盤とした『人を育てる』働き」をスローガンに、地域と連携しながら多様なプログラム・イベント等を開催しています。
 この場所の設計には滋賀県を中心に活躍した建築家・社会事業家のW.M.ヴォーリズ(1880-1964)が携わったとされており、大塩ゼミが例年共通テーマとしてヴォーリズについての研究に取り組んでいたことや、彼とYMCAとの関係が深かったこともあり東山荘での合同ゼミ開催が実現しました。
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(会場となったYMCA東山荘にて)

また学術的な交流だけでなく、フィールドワークや遠足、懇親会といった合同ゼミならではプログラムにも取り組み、多くの学びを得るとともに普段のゼミでは経験出来ない楽しい時間を過ごしました。今回は昨年の秋に大塩ゼミへ5期生として入ったばかりの私たち新3回生2名が、その様子をお伝えしたいと思います。 
0428ohshio 2(敷地内から望む富士山と御殿場市街)

2. 研究報告(1日目午後・2日目午前・3日目午前)

私たちは昨秋の入ゼミ以来、経済史、とりわけヴォーリズ研究を共通のテーマとしてそれぞれの研究活動に力を注いできました。ゼミの醍醐味は、通常の講義と異なり学生が自身の研究やそのための学習を主体的に行える点にあります。
 5期生はゼミナール大会(立命館大学経済学部の公式大会・毎年12月開催)への出場を目標に掲げ、毎週のゼミ内発表を通して先生や上回生、同級生との討議を繰り返しながら、より研究の完成度を高めるために試行錯誤を重ねてきました。今回はそうした半年間の活動の集大成として、本番に向け客観性や説得力のある研究報告を行えるよう意識し準備を進めました。
 合同ゼミ当日は、これまでのゼミやゼミナール大会で指摘された課題点を乗り越え自分たちのベストを尽くした発表をすることが出来ました。司会進行を務めた永山先生に加え、初めて私たちの研究について話を聞いた青山学院大学の学生から新鮮な視点でのコメントや質問、フィードバックを多く貰い、これまでの成果に自信を持てたとともに次の一歩を踏み出すための豊富なヒントを得られました。
 また私たちのゼミ生とは異なる研究テーマの報告を多数聞き、着眼点の幅広さや研究手法の工夫など今後に活きる多様な刺激を受けました。発表が終わるごとに双方の学生から多くの質問や意見が飛び交い議論が深まるなど、とても有意義な時間となりました。


3. フィールドワーク(1日目午後・3日目早朝)

 研究報告に加えて、期間中は2回のフィールドワークを行いました。1日目の午後には東山荘のご厚意で敷地内にあるフィッシャー館を訪問し、普段は非公開となっている内部の様子を特別に見学させて頂きました。  
 フィッシャー館はわが国の初期YMCA運動に貢献したG.M.フィッシャー(1873-1955)の寄付によって1950(昭和25)年に建てられた建物で、2020(令和2)年には国の登録有形文化財へ指定されました。現在東山荘に残る唯一のヴォーリズ建築とされています。
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(フィッシャー館見学の様子)

 見学を通して、登録有形文化財への推薦理由ともなった日本と西洋の建築様式の高度な融合を実際に確かめる貴重な機会を得られました。建物は一見すると ごく普通の日本家屋と変わりないように見えるものの、間取りや部材の状況から西洋風の特徴や雰囲気を感じ取ることが出来ました。こうした発見はヴォーリズ研究をゼミの共通テーマにしていたからこそ深められたものであり、これまでの議論や学習の成果が十分に活かされた機会となりました
 またその後の全体討議では、異なるテーマを研究する青山学院大学の学生からも多角的な視点に基づいた意見が多く寄せられ、白熱した議論になりました。一つの建物に対してこれだけ見方や感じ方に差異があることの面白さを改めて実感するとともに、自分たちの視野をさらに広げることが出来ました。
 3日目の朝には近隣の二の岡地区を散策しました。周辺は明治以降にキリスト教(特にプロテスタント)関係の人々が集う場所として開かれ、そういった活動に共感する各界の人々の別荘地として栄えた場所でした。
 かつての面影はそれほど色濃く残っていいないものの、空き地や道路の様子から当時の街並みに思いを馳せました。また秩父宮記念公園、富士仏舎利塔平和公園といった御殿場にゆかりのある人物が関係する施設にも足を運び、この地区の歴史的、文化的価値を肌で感じることが出来ました。  

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別荘地の入口付近の現在の様子、かつては中心として教会が建っていた)


4. 懇親会と遠足(1日目夜・2日目午後)

 1日目の夜には宿泊したロッジ内で懇親会を行い、大学や学年の垣根を超えて互いに交流を深めました。それぞれの研究内容や普段の大学生活、将来の目標など多くの話題で時間が経つことも忘れるほど盛り上がり、私たちのこれからの大学生活や進路について期待や想像を膨らませる非常に充実した時間を過ごしました。
0428ohshio 5(宿泊したロッジの外観)

 2日目の午後は海に面した港町・沼津へ遠足に出掛けました。貴重な城跡や倉庫群後を見学しながら港の方へと歩を進め、日本一の水深を誇る駿河湾でのクルーズ・カモメへの餌やりを楽しんだ後は沼津港深海水族館を訪れました。
 深海という未知の領域への期待の大きさや最新の研究動向について学ぶとともに、タカアシガニやダイオウグソクムシ、シーラカンスの剝製など趣向を凝らした展示の数々を満喫しました。さらに地元産の浜焼きやお造りといった新鮮な海の幸を堪能し、普段のゼミでは過ごせない時間を思い思いに楽しみました。

0428ohshio 6(沼津港のモニュメントにて、左奥が深海水族館)

 教室や慣れ親しんだキャンパスといった日常を飛び出して得られたこれらの経験は普段手に入らないものであり、ゼミ研究という枠組みを超えて私たちの大学生活の一片を彩る大切なひと時となりました。

 

5. おわりに

 今回の合同ゼミを通して、半年間の自身の研究成果を多くの人へ向けて報告する貴重な機会を得られただけでなく、その内容に対する新たな観点からのコメントや豊富なフィードバックを貰いました。ここでの学びをそれぞれがしっかりと持ち帰り、今後の研究活動がより一層充実したものになるよう努力したいです。
 末尾になりますが、今回の合同ゼミを計画し様々な場面で議論や学びの機会を用意して下さった大塩先生・永山先生、共にゼミに取り組んだ青山学院大学の皆さん、3日間にわたり食事や宿泊など多方面でお世話になったYMCA東山荘の皆様に改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

6. 後輩の皆さんへ

 大塩ゼミを含む大学のゼミでは、このように一つの物事に対して様々な視点から深く観察・考察を試みる学習や経験を重視することで、研究やその後の進路に活きる思考力や表現力を鍛えています。西洋経済史に興味がある方、芸術や文化に深い関心をお持ちの皆さんがいつの日か大塩ゼミの門を叩いて下さることを願っています。

(この取り組みは「立命館大学 学びのコミュニティ学外活動奨励奨学金」の支援を受けて実施されました。)

文責:経済学部3回生 大塩ゼミ5期生
小泉春翔(研究係)
森川貴翔(ゼミ長)

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