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月探査研究から月面利用の未来へ ―ESEC研究者が講演―

宇宙マネジメント基礎講座(衣笠)の様子

2026年6月5日、新産業創造研究機構(以下NIRO)主催「次世代を見据えた航空機産業振興支援事業(令和8年度)」による「次世代を見据えた航空・宇宙産業セミナー」が、神戸商工会議所会館で開催されました。当日は、JAXA研究開発部門研究戦略部 計画マネージャの柳瀬恵一氏より、「宇宙戦略基金」および「JAXA-STEPS(宇宙技術実証加速プログラム)」に関する講演が行われ、宇宙分野への新規参入や技術開発支援に関する最新動向が紹介されました。

続いて、立命館大学宇宙地球探査研究センター(以下、ESEC)の長岡央准教授が「立命館大学の宇宙への取り組み」と題して講演を行いました。

長岡准教授は、放射線計測技術を用いた月サンプル分析と月・惑星探査を専門とし、月の形成過程や資源分布の解明に取り組んでいます。学部時代から月探査研究に携わり、月周回探査機「かぐや」を出発点として、日本の主要な月探査プロジェクトに参画してきました。講演では、月面の「海」と「高地」の違いや、アポロ計画や月隕石研究から明らかになった月の形成史について解説しました。また、小型月着陸実証機「SLIM」に搭載されたマルチバンドカメラ(MBC)の開発・運用経験を紹介し、月面の鉱物分布の観測を通じて、月内部の構造や進化の理解につながることを説明しました。さらに、現在参画する月極域探査機「LUPEX」では、月南極域に存在すると考えられる水氷の探査や、将来の有人月面活動・月資源利用に向けた観測装置の開発を進めていることを紹介しました。また、2025年大阪・関西万博では、月隕石やSLIM関連展示を通じて研究成果の社会発信にも取り組んでいることにも触れました。あわせて、宇宙戦略基金採択事業である「月面フロンティアSX拠点」では、月や火星のレゴリス(砂)環境や熱真空環境を再現する試験設備の整備を進めるとともに、探査機器開発や人材育成を通じて、月面利用の産業化を支える研究開発拠点の形成を目指していることを説明しました。

宇宙マネジメント基礎講座(衣笠)の様子

登壇するESEC長岡央准教授

NIROの山北晃久氏よりESECの研究推進体制についての質問に対し、長岡准教授は、多様な専門分野の研究者が参画し、宇宙戦略基金を始めとした研究開発や産学官連携、宇宙関連プロジェクトを大学全体で推進していることを説明しました。これを受け山北氏からは、「関西でこうした成果を上げられていることは非常に意義が大きい。今回参加されている企業をはじめ、兵庫県を含む関西はものづくりに強い地域である。宇宙開発におけるニーズや地域企業の参画機会について積極的に発信してほしい」との期待が示されました。長岡准教授は、ESECで整備を進める試験設備なども活用しながら、地域企業の宇宙分野への参入や技術開発を支援していきたいと述べました。

講演後のアンケートでは、月探査や月面資源利用のプロジェクトに対する関心の高さがうかがえたほか、宇宙戦略基金やSX拠点の取組についても多くの反響が寄せられました。また、「月の石が大阪・関西万博と結びついて理解できた」「関西から宇宙分野を応援したい」といった声も聞かれ、関西発の宇宙研究開発や産業連携への期待が感じられる機会となりました。

宇宙マネジメント基礎講座(衣笠)の様子

参考リンク
NIRO_次世代を見据えた航空機産業振興支援事業(令和8年度)
NEWS | 立命館大学 宇宙地球探査研究センター
立命館とJAXAが連携協定を締結:アルテミス計画における有人与圧ローバーの研究開発、月面探査の検討・普及に向けて、共に取り組む |立命館大学

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