立命館 特集

ものづくり特集

Jan 10, 2019

Made in RITSUMEIKAN

音響工学研究会

PROFILEプロフィール

びわこ・くさつキャンパスのアクトαの部室で、スピーカーやアンプの製作や改造を行っている音響工学研究会には、2019年1月現在、14人が所属。日々、個人個人が自身の作りたいスピーカーの製作に励んでいる。12月に行われる「理科(サイエンス)サークルフェスタ2018」では、全員で一つのスピーカーを作り上げている。自作スピーカーでは、電気系に力を入れて設計している大学が多いのに対して、立命館の特徴は、スピーカー製作には欠かせない木工の技術に力をいれていることだ。

ACTIVITIES活動内容

4月
新入生向けスピーカー製作会
5月、6月
希望者向け製作会
8月
立命の家
10月~11月
学祭
同じユニットを使って、それぞれが大きさや形状の異なるスピーカーを製作し、聞き比べをするイベントを開催。
12月
理科サークルフェスタ
各大学の学術系団体やサークルが集まり、開催される活動成果の発表会で、音響工学研究会にとって、メインのイベントとなる。団体で1つのスピーカーを製作。

MEMBERS学生紹介

鈴木 卓巳さん

[ 経済学部2回生 ]
会長

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左右田 航平さん

[ 理工学部4回生 ]
 

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鈴木 卓巳さん

[ 経済学部2回生 ]
会長

「自分の求めていたものを思い通りに作れる、それが一番の魅力です」と話す鈴木さんは、1回生のとき、スピーカーの知識や製作技術もなかったが、木工や金工などものづくりが好きで、興味を持ち、音響工学研究会に入部した。4月に新入生スピーカー製作会で初めてスピーカーを製作し、構造や製作工程を知り、「既製品のようなものが自分で作れるんだ」と驚いたという。それから、先輩に教えてもらったり、見よう見まねで、学びながら技術を磨いた。

時間と労力はかかるが、スピーカーを作りたいと気持ちが向くときがあるという。「そういうときに作らないといいものはできない。気持ちとの向き合い方が難しいところです。」と語った。

鈴木さんの一番好きな工程は、塗装。「塗り方が汚いと手作り感がでてしまう。既製品に劣らないようなスピーカーにするためには、塗装にこだわらないと」と笑顔をみせる。塗装は、スプレーで4、5回繰り返し行うことで、鏡面のようなきれいな塗装になるという。「ピアノブラックのような質の高い塗装にもチャレンジしたい」と話し、「これからも団体を存続させ、先輩たちから引き継いだ製作技術を伝えていけたら」と目標を語った。

左右田 航平さん

[ 理工学部4回生 ]

専門学校で2年間、ギター製作技術を学び、アンプやエレキギターなどの電子機器の修理の仕事に就いていたという経歴を持つ左右田さん。音響工学研究会に入部し、専門学校で学んだ知識や技術を部員に広めたことから、立命館は他大学から“木工に強い立命館”といわれるまでに。2回生になったときには、上回生がおらず、同期4人だけという状況に。手探りの中、会長として必死に団体を盛りたて、理科(サイエンス)サークルフェスタにあまり前例のないユニットを改造したスピーカーを製作するという新しいことにもチャレンジした。

自作スピーカーは、「自分が好きな音を追究でき、とことんデザインにこだわることができる」と魅力を語る。大きさと形状によって音の良し悪しが決まってしまうため、デザインだけを追究してしまうと理想とする音をだせないことがある。デザインと性能を両立させることが難しい点だという。

2018年9月には、学外の人との共著、『自作スピーカーエンクロージャー設計法マスターブック」を自費出版した。「いつかスピーカー製作の基本的な技術をまとめた本を出版したい」という1回生の頃からの夢がついに実現した。現在は「DAコンバーターで納得のいくものを作りたい」と製作に取り組んでおり、左右田さんのものづくりへの探求は続いている。

PROCESS製作工程

  • 求める大きさや置く場所の広さを決め、スピーカーユニットを選択する

    置く場所にあわせた大きさや形、予算を決め、スピーカーユニットを選ぶ。全音域を1つでカバーするユニットなのか、音の領域にあわせ、複数のユニットを使用するかを決める。

  • 設計とシュミレーション

    購入したユニットにあわせて設計をする。容積や中の構造などおおまかな設計を行う。

  • CADでの設計

    細かくユニットの位置や形状、主に外見の設計を行う。

  • 箱を作成

    木材を設計にあわせて組み合わせる。

  • ユニットを設置・調整

    ユニットが複数ある場合は、回路を高音と低音で図りながら調整する。

  • 塗装

    一旦、中のユニットなどをはずして塗装。4、5回塗装を繰り返し、再度ユニットなどを設置する。

  • 完成

TOOLS道具紹介

  • ボール盤

    ドリルで穴を開ける工作機械

  • トリマー

    ビットという刃がついた先端工具を回転させ、木材を切削する電動工具で、角をきれいに丸めたり、くぼみを作ったりする。

  • ベルトサンダー

    広範囲を研磨する工具で、箱を接着後にできる段差をそろえる。

  • かんな

    広い範囲を削る際は、かんなを活用。大きさも2種類を使い分けている。

  • クランプ

    組み立てる際に、強力な接着剤とクランプで、板同士に圧力をかけて圧着する。

  • のみ

    木材に凸凹を作ったり、穴を彫る。