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本学部助教・塚本敏人先生らの国際共同研究成果が「Scientific Reports」に原著論文として掲載されました。
スポーツ健康科学部助教・塚本敏人先生が、同学部教授・橋本健志先生、サウスウェールズ大学(イギリス)教授・Damian Miles Bailey先生らと共に取り組まれた国際共同研究成果が「Scientific Reports」に原著論文として掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41598-022-26788-6
実験室における1時間程度の有酸素性運動中、状況判断能力は向上します(研究の知見)。しかしながら、サッカーやラグビーなどの競技中、状況判断能力の欠如が問題視されるシーンは散見され、研究の知見と実際の競技現場での経験に乖離が生じています。
これらの競技では、常に頭を働かせながら(考えながら)身体を動かしていますが、状況判断をし続けながら運動を行った時に、状況判断能力がどのような影響を受けるのかに関しては明らかにされていませんでした。そこで本研究では、長時間考え続けることで生じる“認知疲労”が、運動中の状況判断能力を低下させる誘因となるか否かについて検証しました。
その結果、有酸素性運動だけを50分間行った時と比較して、運動中に50分間の認知テストを行い続けると、主観的運動強度(運動をキツいと感じる程度)および精神的疲労感が増し、主観的覚醒水準が低下することが明らかとなりました。そして、この減弱化した覚醒水準と関連し、運動中の状況判断速度が遅く且つ不安定なパフォーマンスになることを明らかにしました。つまり、本国際共同研究では、運動中に考え事をし過ぎることで生じる“認知疲労”が、競技中、特に競技終盤における状況判断能力の欠如を誘引している可能性があることを示しました。
Tsukamoto H, Dora K, Stacey BS, Tsumura H, Murakami Y, Marley CJ, Bailey DM, Hashimoto T.
Scientific Reports. 12, 22408, 2022.
doi: 10.1038/s41598-022-26788-6