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木下百花さん(本学部卒業生)の研究論文が「Medicine & Science in Sports & Exercise」に掲載されました

 本学部を2025年3月に卒業した木下百花さん(現 フィンランド・ユバスキュラ大学 修士課程1年)が、本学部助教 前大純朗先生、同教授 伊坂忠夫先生らの研究チームと共同で取り組んだ研究論文
「Hypertrophic Effects of Single- versus Multi-Joint Exercise: A Direct Comparison Between Knee Extension and Leg Press」が、スポーツ医科学分野を代表する学術誌の一つである「Medicine & Science in Sports & Exercise」に掲載されました。

【研究概要】
 筋肉量の維持・増加は、健康づくりや運動機能の向上に欠かせません。なかでも太ももの前側にある大腿四頭筋は、歩く・立つ・跳ぶといった日常動作からスポーツ動作まで幅広く働く、人体で最も大きな筋群です。一方で、筋力トレーニングの現場では、「1つの関節だけを動かす種目(単関節運動)」と「複数の関節を同時に動かす種目(多関節運動)」のどちらが筋肉を効率よく増やすのに有利かについて、明確な結論は得られていませんでした。

 そこで本研究では、大腿四頭筋を鍛える単関節運動の代表であるニーエクステンションと、多関節運動の代表であるレッグプレスを、同一の参加者の左右の脚で実施し、直接比較しました。トレーニング未経験の若年成人が、週2回・12週間、同じ相対的強度および回数の条件でトレーニングを行い、介入前後でMRI(磁気共鳴画像法)を用いて、太ももやお尻など17種類の筋肉の体積変化を高精度に測定しました。さらに別の実験では、運動中の筋活動(筋の活動レベル)を筋電図で評価し、筋肉の増え方と運動中の筋活動との関係についても検討しました。

 その結果、大腿四頭筋全体としては、ニーエクステンションとレッグプレスのいずれでも同程度の筋量増加が認められました。一方で、大腿四頭筋のうち股関節と膝関節をまたぐ大腿直筋は、ニーエクステンションでは大きく増加したのに対し、レッグプレスではほとんど増加しないことが示されました。逆にレッグプレスでは、大腿四頭筋に加えて、お尻の大殿筋や太もも内側の内転筋(特に大内転筋)も増加し、下半身全体の筋量増加がより顕著であることが確認されました。筋電図の結果もこれらの所見と概ね一致しており、種目によって「強く使われる筋肉」が異なることが、筋量変化の違いにつながることが示されました。

 本研究は、「限られた時間で下半身全体を効率よく鍛えたい場合にはレッグプレスが有利になり得る」一方で、「大腿直筋を重点的に鍛えたい場合(特定の動作パフォーマンスの向上や、肉離れの多い部位への配慮など)にはニーエクステンションが重要である」ことを、MRIによる直接測定に基づいて示した点が大きな特徴です。


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(ニュース)20260206きのしたさん