産業・組織心理学、社会心理学

私の研究テーマは「関係性リーダーシップとチーム力向上に関する心理学的研究」です。たとえば会社などの組織には上下関係がありますよね。ある上司の言葉が、周りの人に上手く「伝わる」ようになれば、個人や組織はいきいきと仕事に取り組むことができる。しかし実際には、妬みなどの個人の感情や人間関係、組織や社会の環境など、円滑なコミュニケーションを阻むものがさまざまに潜んでいます。
個人が成長し、組織が発展していくためのリーダーシップやシステムのあり方とは？この問いに対して、分野を超えたアプローチを行っています。

スランプに陥った。仲の良いチームメイトなのに妬んでしまった。友人に裏切られた。これらのことは、多かれ少なかれ誰もが経験することです。
スランプや妬み、裏切りなど一見ネガティブなことに意味やパワーを見出し、ポジティブな状態へ転換していくための条件を明らかにするのが私の研究。これはかなり挑戦的で、研究の面白いところです。

人の心の揺らぎ、有効な対処方法は、人それぞれかもしれません。でも、その個人差を超えた人間行動の法則が一つでも、二つでも見つけて、現場に還元できたらと思っています。個人の力と環境の力の相乗効果を活用した効果的なマネジメント方法、人が進化する中で受け継いできた生き残り戦略をこれからも探っていきます。　　

「心理学という分野があって、それはおもしろいよ」ということを広く伝えたいと思って、私はこの仕事に就きました。自分をよくみて、仲間をよくみてあげる。そこから生まれる思いやり、研究活動やデータを通して見えてくる滑稽さや残虐さもすべて含めて、“人”を味わいつつ、それを私たちの幸せな生活へ役立てて欲しいと思っています。　

個人や組織・社会の理想のカタチとはどのようなものでしょうか？あなたが考え、託したい2050年はどのような世界でしょうか？
まずは、私たちの活動の源である心の健康、そして身体の健康を、個人―対人―組織・社会で支え、維持し合えるようになるための方法を一緒に考えていければと思っています。興味関心を寄せて下さる方、議論したいと思ってくださる方との出会いを楽しみにしています。