Vol.03
院生座談会(2018年度修了生)【前半】
映像研究科は2011年度に開設してから、今年で9年目を迎えました。
本研究科は、映像に関わり、専門性が高くかつ汎用性もある知識・技能・技術・方法論を修得し、広い視野から自らの課題を捉え、多様化する映像関連分野に柔軟に取り組んでいくことのできる人間の育成を目的としてきました。
この人材育成目的を達成するために、学生が自ら課題を見出して修士論文・制作に結実させていく課題発見志向の「テーマ・プロジェクト型」授業科目と、映像に関わる諸分野の研究に必要な知識・分析法・技能・技術を修得する「ディシプリン・リサーチ型」授業科目の双方における学びを相乗的に組み合わせることのできるカリキュラムを編成・実施しています。
今回は、この春に修了した院生7名に、それぞれの研究内容や大学院での学びを振り返り、どんな大学院生活を過ごしてきたのか、また、これからの夢や目標について語ってもらいました。
院生座談会
古川耕平先生
(ファシリテーター)古川耕平:立命館大学映像学部副学部長(大学院担当)
左から吉田 早矢佳さん、ZHENG Siyunさん、TANG Yuさん
左から小泉 洋介さん、津田 宝裕さん
ZHENG Zhuo:
私は是枝裕和監督の作品『歩いても 歩いても』(2008年)における「歩くこと」の表象が果たしている機能を考察し、その表象が「死者を見ること」の主題と密接に結びついていることを論じました。
この研究を進めていくうえでは、なんといっても、指導教員の川村健一郎先生と議論する時間がとても楽しく、充実したものでした。川村先生からは、いつも新しい着眼点を示していただき「なるほどー!!」と意欲をかきたてられることばかりでした。
これまで中国国内では、日本映画が放映される機会は少なかったのですが、近年は増えてきているように感じます。私は是枝裕和監督の作品が好きなので、もっと広まればいいなと思います。
LIU Jiarui:
私は、小説の映画化に関する研究をしていました。入学後4ヶ月くらいは、自分の研究テーマとアプローチ方法がうまく合致せず、苦しい時期がありました。
映像研究科は、1人の院生に対して2名以上の指導教員による研究指導チームが編成されます。私のプロジェクトには、深沢伸行先生と川村健一郎先生がついていただき、理論と実践について細やかな指導をいただきました。
制作をするということは非常に実りある授業でしたが、やはり撮影スタッフや制作が実現できる環境を整えることには苦労しました。
ZHENG Siyun:
他のメンバーも同じだと思いますが、私は、望月茂徳先生が担当している映像学部のゼミ(映像文化演習Ⅰ、Ⅱ)にも参加するようにしていました。
映像研究科は、定員が10名という小規模研究科なので、先生方との距離は近く、研究指導チーム以外の先生方からアドバイスを受けることもできます。
ただ、他のメンバーが話しているとおり制作をするうえでは、スタッフとして協力してくれる方が必要であり、そういった面からも、学部生とのつながりを築けるように意識をしました。
左からLIU Jiaruiさん、ZHENG Zhuoさん