しかし、学んでいくうちに「高齢者と家族」の「家族」というテーマだけでは、いろいろな家族形態があるため、この「高齢者が豊かに生きるということを家族と関わらせながら考える」というテーマには限界を感じてきました。そこで、「地域」というのもテーマにしてみようと考えました。そして、「高齢者」が豊かに生きるということを「地域」という人間関係のなかで考えていこうと、改めて卒業研究のテーマに設定しました。新たな卒業研究のテーマは、高齢者が豊かに生きるということを、地域における世代間交流を手がかりに考えてみようというものでした。ゼミナール大会の報告タイトルは「高齢者が豊かに生きる〜城陽市の「幼老同居」を手がかりに」でした。
3回生の12月に行われるゼミナール大会に向けて、京都府城陽市の世代間交流事業を2つの施設で調査しました。具体的には、老人福祉センターと保育園が同じ敷地内にある(つまり、老人福祉センターと保育園が「同居」しているという状況なので、「幼老同居」と呼ばれている)ケースについてです。この事業について調査することが、高齢者の豊かな生活を考える手がかりになると考え、研究対象として選択し、そこで行われている事業を質問用紙(アンケート)によるものではなく、聞き取り調査や参与観察という手法で調査を行いました。調査した結果分かったこの交流事業の利点は、「同居」という状況を活用しているため、交流が1回限りの「行事」で終わらず、「継続性」があることです。このことにより、高齢者が主体的に交流に参加することができていると思います。例えば、「前回は行けなかったけど今回は参加してみようかな」、「きまぐれに来てみたけど、ちょっと交流の様子をのぞいてみようかな」という状況が考えられます。
この研究テーマが決まると自ずとやることが見えてきました。先生から文献については本の内容を鵜呑みにしすぎず、本を批判的に読むこと。また調査に関しては、調査という堅い感じで話を聞くのではなく、雑談する気持ちで聞いた方が、相手も本音が語りやすいというアドバイスをもらいました。実際、調査に行って高齢者の方との会話の中から得られることは多かったですね。
4回生のときには、ゼミ合宿(卒論合宿)が行われ、卒業論文の構成(章立て・見出し)を発表し合いました。そこで、飯田先生やTAの方からは、「章立てや見出しがおかしい」ということや「この部分は必要ない」、「結論が飛躍しすぎている」などというアドバイスを受けました。そのような指導があったおかげで、よりよい卒業論文を仕上げることができました。
また、先生や院生の方の調査に同行し学んだことも、よりよい卒業研究へつながった大きな要素の1つです。
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