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グローバルCOEプログラムとは 日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点 拠点リーダーインタビュー 川嶋將生教授 日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点 若手研究者インタビュー 金子貴昭さん 「生存学」創成拠点 拠点リーダーインタビュー 立岩真也教授 「生存学」創成拠点 若手研究者インタビュー 青木慎太朗さん
連携を活かし、日本文化研究・京都文化研究の確たる拠点を目指す
21世紀COE「京都・アートエンタテインメント創成研究」で培った研究成果をふまえ、
さらに研究を深化させるグローバルCOE「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」。
「では、実際にどのような研究が行われているのでしょう?」
そんな疑問にお答えするべく、今回のインタビューではこの研究拠点の拠点リーダーである川嶋將生教授にお話を伺いました。
拠点リーダー
川嶋 將生 文学研究科教授

「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ」拠点形成の背景を教えてください。

この研究拠点ではこれまでの21世紀COE「京都・アートエンタテインメント創成研究」[→リンク]の成果をふまえ、さらに大きく展開し、体系づけることを目的としています。21世紀COEにおいて立命館大学アート・リサーチセンターでは文系と情報系の融合を狙い、京都や日本文化にかかわる無形・有形文化財のデジタルアーカイブの構築とデータベース(DB)を蓄積してきました。すでに100万件以上のデータを持ち、国内トップレベルの実績を形成できていると思います。このようにデジタルアーカイブの情報技術が、人文科学の研究環境や手法を大きく飛躍させたことの意味は非常に大きいですし、同時に新たな研究ネットワークを作り上げることができました。「日本文化研究」といえば立命館大学である、という認識を世界に広めることができたといっても過言ではありません。

また、欧米諸国では人文系研究にデジタル技術を活用する「デジタル・ヒューマニティーズ」と呼ばれる学問分野が確立されてきており、これはまさに本拠点での21世紀COE、グローバルCOEの活動と合致しています。そのことから現在、海外の日本文化研究拠点ともネットワーク型の展開を強めています。グローバルな視点を持ち、海外で研究活動のできる日本文化研究者の育成を行うことも必要とされています。この拠点では、デジタル・ヒューマニティーズ教育・研究を行い、諸外国における同様の拠点と緊密な連携・協力ができる研究者、デジタルアーカイブされた情報を駆使しながら海外の日本文化研究の動向を理解し、世界規模でリーダシップのとれる研究者を育てていきます。

 

これからはさらに世界の研究機関とも連携を取り、研究を深化させていかれるのですね。ではこの拠点の特徴はどのようなものですか?

まず1つ目の特徴として、テーマごとに班を構成していることが挙げられます。「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」の研究プロジェクトは京都文化研究班、日本文化研究班、歴史地理情報研究班、デジタルアーカイブ研究班、WEB研究班と大きく5つの班で構成されています。さらにそれぞれ班の中でいくつかの研究テーマが設定され、調査・研究が行われています。[→リンク]

例えば京都文化班の場合は文字通り、文化に関するコンテンツが蓄積されており、グローバルCOEではより京都に密着した形で研究を進め、美術系の内容の研究も深化させたいと考えています。古くから京都を描いた絵画は数多く存在していますが、そういったものを系統立てて収集し、データベース化を計り、京都の歴史的な風俗の変遷を追跡し、新たな研究の展望を開いていきたいです。5つに研究班を分けていますが、それぞれが独自に研究を進めているのではなく、例えばGISやバーチャルリアリティを用いて、人文学的な知の観点や歴史時間軸も備えた京都のバーチャル空間を構築し、「Kyoto Virtual Time Space」システムを確立するなど、それぞれが緩やかに連携させながら進めています。

2つ目の特徴としては「文理融合研究」という強みがあります。一般的に、専攻を越えた研究に懐疑的な視点を持つ研究者はいるでしょう。まして文系、理系の枠を越え、融合した研究を行うとなると、さらに不安がつきまとうものです。ですが、私たちには21世紀COEの段階で実績を積んできた自負があり、この文理の枠を超えた枠組みでそれぞれの研究力量を十分に発揮できると確信しています。

文系の研究者が情報系の知識もすべてカバーし、理系の研究者が文系の知識もすべてカバーし共有しあうという形ではなくて、文系・理系お互いの研究のあり方を理解したり、ひとつの成果に向けて知を集積させることが特徴であると思います。そういう意味では、今後はかなり柔軟性を持った研究人材が必要となってくるでしょう。実際、21世紀COEプログラムではそういった文理融合のスピリットを持った若手研究者を輩出することができましたし、彼らにも期待しています。

 

連携をキーワードにチームや文理の枠を超えて研究されていることがよく分かりました。先ほどの話にもあった若手研究者の育成や取り組みについて教えていただけますか?また、海外との連携についても具体的に教えてください。

21世紀COEプログラムの段階から、ロンドン大学 SOAS、セインズベリー日本文化研究所をはじめとする海外の日本文化研究拠点との協定を結び、立命館大学の院生がそこに赴き、研究活動に従事したり、資料のアーカイブ化に協力することにより、海外研究者と交流を図ってきました。海外研究者との交流の中で語学能力を身につけ、実践的に研究活動を行う院生も増えています。そのような活動を通じ、逆にロンドン大学から文部科学省留学生として立命館大学で勉強している若手研究者もいます。そのような海外研究者とのネットワークもこれまで以上に築いていきたいですね。

また、若手研究者の育成に関してはグローバルCOEとして、先ほど話した5つの班ごとにそれぞれテーマを設定し、そのテーマに沿って3年間でドクター論文が書ける人を採用し、採用された人には研究奨励金を出すという、博士課程院生を対象とした公募型の院生教育を行います。若手研究者を国内外から採用し、文理融合の素養を持った研究者を輩出したいですね。[→リンク]

 

それでは最後にグローバルCOE「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」の今後の方向性を教えてください。

今回採択を受けたグローバルCOEでは、21世紀COEで確立した海外の日本文化研究拠点、たとえば大学・研究所・博物館・美術館などとの強力な連携を基盤にして、院生や若手研究者の国際的な実践的教育の場を形成していきます。今後はそのためにもヨーロッパの研究者だけでなく、新たにアジア地域と恒常的な協定や研究交流を行うため、新たな研究の関係構築のありかたを模索していきます。

また同時に、海外の優れた日本文化研究拠点を、ネットワーク環境を活用してうまく連結し、日本文化の中心的現場としての「京都」の魅力、京都にある芸術文化拠点との連携による魅力を活かした研究拠点を目指します。そのなかで立命館大学は日本・世界において日本文化研究・京都文化研究の確たる大学としての地位を築き上げたいと考えています。

[イベント告知]

日本文化デジタル・ヒューマニティーズ教育プログラム
GCOEセミナー(通称:火曜セミナー)

日時 毎週火曜日 18:00〜19:30
場所 立命館大学アート・リサーチセンター 多目的ルーム
 
GCOEセミナーでは本拠点に関わる研究者による発表を中心にお送りします。

*参加費無料(事前申込不要)
*学生や一般の方も参加できますのでふるって参加してください!!

詳細はこちらをご参照ください[→リンク]

LINK 日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点  拠点概要
LINK アート・リサーチセンター
LINK 21世紀COEプログラム「京都 アート・エンタテインメント創成研究」
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