応用化学科HP 応用化学科

触媒と電池の反応をリアルタイムに観て機能の原理を理解し、次世代の材料開発へ

無機触媒化学研究室

担当教員/稲田 康宏・片山 真祥

身の回りの様々な場面で利用されている無機触媒材料について、その触媒反応メカニズムを原子レベルで解明する研究を展開しています。環境浄化やエネルギー供給などの現代社会が直面する諸問題の解決をめざし、より高効率で高活性な新しい触媒材料の探索を行います。そのために必要不可欠となる触媒反応をリアルタイムに観測する技術の開発、特に高強度X線を用いたその場観測での局所構造並びに電子状態の解析技術の開発も行います。化学反応式にあからさまには現れず、しかし反応を加速してエネルギー効率を大幅に向上する、そんな奥ゆかしいながらも大切な役割を担う鍵化合物に直接スポットライトを当て、その働きを表現する反応メカニズムの理解を基にして新規触媒材料の創製へつなぎます。

無機触媒反応をリアルタイム観測するための反応セル

環境にやさしい有機反応の開発と新規フェロセン誘導体の合成

有機反応化学研究室

担当教員/岡田 豊

有機化合物はわずか数種類の元素からなっています。しかし、それらの組み合わせは無限であり、他の原子との並び方、結合の種類の違いにより、多様な構造を持つ無数の化合物を構築できます。有機化学は、その原子の組み合わせにより、新たな機能を持つ物質を創り、さまざまな科学分野に材料を提供する役割を担っています。
本研究室では、サステナブルで環境にやさしい“ものづくり”の手法である「Green Chemistry」を目指し、マイクロ波照射あるいは光照射下での有機反応の開発を行っています。さらに、これらの手法を用いて優れた物性・機能を持つ新規化合物を合成することを目指しています。現在は、主に、鉄原子を含む安定な有機金属化合物であるフェロセンを含む化合物を「分子デザイン」し、それらの物性・機能を検討しています。

フェロセンのパウダー写真および分子モデル

水をはじめとする液体中で起こる様々な化学反応を分子レベルで解明する

錯体分子化学研究室

担当教員/小堤 和彦

酒は代表的な水とエタノールの混合液体です。水とエタノールの混合液体中で、水は水分子同士が集まってクラスター(小さな集合体)を形成し、エタノール分子同士もクラスターを形成しています。これらのクラスター同士が相互作用して混合液体を形成し、分子レベルでの混合は不均一であるとされています。酒の風味はこれらクラスターの大きさに関係していると考えられています。このような混合液体に金属イオンをはじめとする溶質を溶かせば、溶質の性質は分子レベルでの不均一混合の程度に影響を受けることは明らかです。本研究室では、溶質として主として金属イオンを対象に、放射光などを利用して液体や溶質の構造解析を行い、溶液反応におよぼす液体の効果を分子レベルで明らかにして、化学反応の設計や制御の指針を見出します。

X線吸収スペクトル測定装置:放射光により溶質の構造解析を行う

21世紀は光科学・光技術の時代。光をいかす新しい材料をガラスなどで開発

無機分光化学研究室

担当教員/小島 一男・眞田 智衛

緑や赤の蛍光を強く出す材料、夜光塗料のように長時間光り続ける材料、波長の長い光を短い光に変換する材料など、光をいかす新しい材料をガラス・セラミックス、微粒子、薄膜および希土類錯体などの無機化合物や有機化合物を使って創り出します。身の周りの有害物質を光により分解して無害化する光触媒についても、酸化チタンや他の物質を用いて研究しています。これらを作る方法には、主にゾルーゲル法を使っています。これは、溶液を原料とし、ゾル(液体コロイド)、ゲル(固体コロイド)を経て、目的のガラスや薄膜などにする方法です。また、ガラスと液晶、金属微粒子と高分子などの無機物―有機物複合材料やポリインという直鎖炭素化合物、ナノ構造酸化物およびナノカーボンの研究も行っています。

【左】紫外線を当てるとガラスに入れた希土類イオンなどが発光する
【右】有機シリカ球状微粒子に入れた色素による発光

1万気圧の高圧力下における溶液・流体の物理化学

溶液物理化学研究室

担当教員/澤村 精治

溶液中で起こる化学・生体関連の様々な現象を1万気圧の高圧の世界から眺め、そこから常圧の世界を見つめ直す事を目標としています。氷はさわると「冷たい」はずだが、2万気圧の世界では「熱い」のが常識です。食塩の溶解度は小学校の教科書にも出てくる基本的な題材ですが、その数千気圧の高圧下での挙動を世界で初めて報告したのは我々の研究室です。この成果は微少重力下での結晶成長の研究のための唯一の基礎データとしても利用されています。その他、常圧でも安定なロイシンの高圧結晶の発見、高圧粘性率計による高圧Jone-Dole B係数の測定、高圧溶解度を用いた水中の炭化水素類の部分モル体積の測定は溶液科学分野で唯一のものです。これらの研究に必要な各種高圧装置そのものを設計製作してオリジナルな研究を進めています。

高圧粘性率計

ナノテクノロジーを駆使してプラスチックをデザインし未来材料を創る

高分子材料化学研究室

担当教員/堤 治

高分子(プラスチック)は日常生活に欠かせない重要な材料です。高分子材料が広く利用されているのは、これらがいろいろな“機能”をもつためです。高分子が潜在的にもっている多機能・高性能性を存分に発揮できれば、プラスチックをもっと多くの最先端分野で利用できるはずです。高分子は1nm(10-9 m)程度の小さなユニットが数百個以上も連結した大きな分子です。このような分子が多数集合してµm(10-6 m)サイズの構造体を形成し、これらがさらに集まって“材料”を構成しています。私たちはナノサイズのユニットを適切にデザインすることで各階層における構造を精密に制御して、その物質が本来有する機能をフルに活用できる材料の開発を行っています。すなわち、新しい高分子材料をナノの領域から自分たちでデザインして、未知の機能をもつ未来の材料を開発しているのです。

ナノユニットを適切に設計することで自発的に生成した高分子

新規な機能性有機材料を設計・合成しその応用の可能性を探る

有機材料化学研究室

担当教員/花 知則・金子 光佑

有機化合物を構成する主な元素は、炭素、水素、酸素、窒素、ハロゲンなど、わずか数種類ですが、有機化合物の種類は無限にあるといっても過言ではありません。本研究室では液晶やゲルなどの有機材料にさらなる機能を付与した新しい機能性分子を設計し、合成しています。そして得られた化合物の性質をさまざまな測定装置を使って評価し、その応用の可能性を探っています。たとえば、液晶には外部電場を印加した際にその粘度が変化する性質があります。これは電気粘性効果と呼ばれる現象ですが、より大きな電気粘性効果を示すような分子を設計・合成し、その液晶挙動や電気粘性効果について研究しています。また、光導電性、すなわち光をあてた際に導電性を示すゲルを設計・合成し、その物性について研究しています。

液晶組織の偏光顕微鏡写真

生物エネルギー変換化学

生物機能分析化学研究室

担当教員/髙木 一好

我々ヒトは有機化合物を分子状酸素を使って酸化してエネルギーを獲得しています。一方、地球上の生物の中には、メタノールやメチルアミンといった炭素原子を1個しか持たない化合物をエネルギー源にする生物や、分子状酸素の代わりに硝酸塩や硫酸塩を利用する生物もいます。地球レベルでの物質循環を考えると、そのようなエネルギー変換反応が果たす役割は非常に重要であり、本研究室では、関連するいくつかの酸化還元酵素反応の基礎と応用について研究しています。

キノヘモプロテイン-アミンデヒドロゲナーゼγサブユニットの構造

教員/山田 重之

有機合成化学的手法によるフッ素系新材料の創出。

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