RS 学園通信 vol.127 特集 Student Report 公費助成運動 学問のすすめ
October 2000 INDEX
メディア・リテラシーで捉えるマスメディアの本質 PAGE 4/4

自らのアイデンティティーを確立するために

ゼミでの分析活動の結果、一冊の報告書を完成させた

ゼミ担当教授
鈴木みどり教授
(すずき・みどり)
専門分野はメディア・コミュニケーション。メディアの技法・機能・組織のクリティカルな理解に基づく、メディアへのアクセス・反論など、情報に主体的にかかわるプロセスを研究している。最近の著書に「Studey Guide メディア・リテラシー(入門編)」(鈴木みどり編・リベルタ出版)などがある。

 私たちは、このような分析活動の結果、ようやく一冊の報告書を完成させた。この過程で感じたのは、メディア・リテラシーを学ぶ上で一人ひとりが能動的に議論に参加することの重要さである。一人ではこのような分析をすることはできない。班やゼミで積極的に議論することで、自分にはない考え方や価値観に出会える。多様な考え方や価値観を認めていくことは、メディア・リテラシーでも必要とされていることだ。メディアからの情報には特定の価値観が含まれている。この事実を一連の分析で確認したことから、単にメディアからの情報を読み解くといったスキルやハウツーだけでなく、既存の価値観や偏見、常識を見直し、多様な価値観で物事を捉えることの重要性を学んだ。

 また、メディアの情報に流されない、「自分で考える力」も身についた。これは、自らのアイデンティティーを確立し、自分自身の考えや主張を持つための力であり、これからメディア社会を生きていく上で、大きな力になる。もうすぐ大学も卒業だが、メディア・リテラシーから卒業することは、きっとない。私たちのメディア・リテラシーは始まったばかりである。


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