私たちは、このような分析活動の結果、ようやく一冊の報告書を完成させた。この過程で感じたのは、メディア・リテラシーを学ぶ上で一人ひとりが能動的に議論に参加することの重要さである。一人ではこのような分析をすることはできない。班やゼミで積極的に議論することで、自分にはない考え方や価値観に出会える。多様な考え方や価値観を認めていくことは、メディア・リテラシーでも必要とされていることだ。メディアからの情報には特定の価値観が含まれている。この事実を一連の分析で確認したことから、単にメディアからの情報を読み解くといったスキルやハウツーだけでなく、既存の価値観や偏見、常識を見直し、多様な価値観で物事を捉えることの重要性を学んだ。
また、メディアの情報に流されない、「自分で考える力」も身についた。これは、自らのアイデンティティーを確立し、自分自身の考えや主張を持つための力であり、これからメディア社会を生きていく上で、大きな力になる。もうすぐ大学も卒業だが、メディア・リテラシーから卒業することは、きっとない。私たちのメディア・リテラシーは始まったばかりである。 |