名取 大学院への進学熱が高まっていますね。
國廣 年功序列や終身雇用が徐々に崩れ、実力主義の時代になりつつありますが、それは大きなチャンスでもあります。専門的な力量を身につければ飛躍できる。だから大学院で学ぼうという人が増えています。大きな背景としては、国際化、情報化の中で、教育や研究も国際的な広がりやグローバルスタンダードが求められている。国家的な要請としても、世界の知的リーダーとなりうる人材が求められていますし、国際社会のさまざまな現場で、いわゆる「高度専門職業人」が必要とされています。純粋な学問・研究上の課題としても、エネルギーや環境、遺伝子組み替えの問題など、これまでの手法では解決できない問題が出てきています。それらに対するアプローチの場としても大学院が重視されています。
名取 そういう中で、大学院教育はどう変わろうとしているのでしょうか。
國廣 1999年9月から、高度専門職業人を養成する専門大学院の制度が発足しましたし、学部や学科を基礎としない独立研究科だとか、多様な研究科ができています。大学院の数自体も80年代末から増え始め、来年度開設予定の大学院は104校にのぼります。また、生涯学習型の社会が訪れて、働きながら勉強したいとか、定年になってから勉強したいとか、大学院にも多様な層が多様なニーズをもって入ってくる。その中で、社会人の受け入れ制度も整備されてきました。
名取 立命館もここ5年くらいで大学院進学者数が倍増していますね。
國廣 現在、総収容定員は博士課程前期課程が2070、博士課程後期課程が570、合計2640人となっています。来年は、「応用人間科学研究科」という2年制修士課程や、「フロンティア理工学専攻」(いずれも設置認可申請中)という5年一貫制の博士課程が誕生します。高度専門職業人の養成では、「ゆるやかな6年一貫制」ということで、すでに理工では学部生の約5割が修士課程に進んでいますが、文社系でも、高度な専門力量をもった人材を養成するため、学部学生の2割くらいを定員に、学生が本当に勉強したいと思うような体系づくりを進めています。人文・社系の先端的課題に取り組む「新構想大学院」や、ロースクール、ビジネススクールも構想を具体化する段階にきています。
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