名取 今、大学院の税法の講義を受けています。学部の講義とは違い、自分の興味あるテーマを選んで、先生の前で発表します。学部だとゼミでも基本的なところはみんなで学習していきますよね。
國廣 必ずしも先生のテーマと自分のテーマが合うわけじゃないですし、院生が学ぶのは、基本的なものの捉え方や研究するプロセス、それに向かう姿勢ですね。
名取 大学院ではそういうスタンスで、どの授業もこなしていくんですか。
國廣 法学研究科のように体系化された分野だと、専門家もたくさんいるし、切りこんだ指導も可能でしょうね。学際的な研究科ですと、先生も院生もそれぞれが別の目をもって1つの問題に立ち向かうという側面があります。
名取 國廣先生ご自身の授業はどうですか。
國廣 僕はフランスの現代政治が専門ですが、1人いる修士の院生はイタリアがやりたいと。僕はフランスの新しい政治動向として、エコロジストの動きを研究していますが、イタリアでも北部同盟という新しい政治の動きがあるんです。それで院生もその研究をやることになった。違った国の違った現象ではあるけど、どちらも同じヨーロッパ統合という状況の中で出てきたわけです。まだ修士1年ですから、一緒に文献を読んでいますが、僕自身も刺激になるし勉強になる。一つのことだけの研究をやっていると発想が固まってきますから、教員にとってもそういうのは大事ですね。
名取 大学院で学ぶ側に必要なものは何でしょう。
國廣 鮮明な問題意識ですね。そのためにも僕が最も大切だと思うのは、知的好奇心と感動する心。2番目は幅広い教養。3番目は国際的理解や複眼的視野。4番目は、豊かな人間性と自立心、批判的精神。どんな勉強をする場合でも人間らしい心が大切だと思います。
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