「末川博はどんな方だったのでしょう?」。
「末川博は戦前・戦後を通して教育・学術研究はもとより、広く文化活動においても大きな足跡を残しました」。
実は今日、図書館へお邪魔した目的のひとつは、佐野隊員が興味を抱いていた末川博(1892〜1977年)の文庫に触れること。佐野隊員が図書館の方からお聞きしたお話をまとめると、末川博は京都帝大で法学博士となった後の1933年、あくまでも自由主義を貫く研究者としての立場から大学を退官し(京大事件)、その後1945年、立命館大学学長として就任。1949年〜1969年の立命館の総長として、民主的な学園運営、自主的学習を尊重した立命館を形成していきます。
「学外でも戦後の民主化運動のリーダーとして、ときに権力に真っ向から立ち向かいながら、抑圧された人々のために東奔西走したようです。末川博を知る世代の人にとっては、カリスマ的存在だったようですね」。
そんな末川博が総長在職中から寄贈されてきた書籍・論文集などを集め、まとめたのが『末川文庫』。専攻だった民法や平和・労働関連の論文・随筆・講演録などの著作が中心ですが、なかには留学時にストラスブールの古本屋で購入されたゴドフロワ版『テオドシウス法典』(1665年)のような稀覯本などもあり、それらを通じて末川博の若き日に思いをはせることもできます。
「日頃から『学問は大衆とともにある』と言い続け、学生や教員の意見にも耳を傾けた方でした。永久に語り継いでいきたいですね」。
図書館の方のお話に、先ほどおうかがいした編纂室でのお話がつながり、母校百年の歴史の重みと深さにいたく感動した私たち探検隊2人でした。
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