VOICE

1 期生

青井 大門

情報理工学研究科
博士後期課程2年

胸を張って「私もこの研究をしていた」と言える研究成果を残したい

育成拠点: アジア・日本研究所

INDEX

  1. 01博士課程後期課程への進学動機、また現在の研究活動・院生生活について
  2. 02NEXTフェローシップ・プログラムについて
  3. 03今後のキャリアプランについて
  4. 04院生へのアドバイス・メッセージ

01博士課程後期課程への進学動機、
また現在の研究活動・院生生活について

立命館大学大学院に進学された理由を教えてください

学部から立命館に進学しました。もともとは情報科学系の学部が充実している印象が強く、家から近かったという理由からでした。大学院への進学については、4回生の頃から意識するようになりました。進学相談会において、理系では海外では博士号を持っていないとなかなか相手にされなかったり、日本も今後、博士号取得者を増やしていこうとする傾向があることなどを聞きました。私の性格上、社会人になってから取得するのは難しいと思い、そのまま進学することを決めました。また、同じ研究室に引き続き進むことができ、研究環境が維持できるのも大きかったです。他大学に進むと研究で使うOSなどのプログラムを一から構築し直す必要があり、研究のロスが非常に大きいこともあり、同じ環境で研究を続けられるのは魅力でした。学部3回生の時に研究室公開があったのですが、特殊な立体視のディスプレイを実際に見て感動したのを今でも覚えています。

研究内容や魅力を教えてください

コンピューターグラフィックス(CG)の研究で、裸眼立体視といってさまざまな物や現象を可視化させて、人がどのように理解するかということについて研究しています。研究テーマは一貫して立体視についてです。例えば、祇園祭の山鉾くらいの大きなスケールのものを可視化したりするのですが、立体視させると奥行きが分からなくなります。奥行きは何に応用するにも重要なので、どうすれば奥行きが現実に近く見えるかはポイントになります。他の物と対比させたり輪郭の描き方などで工夫します。そこで、プログラムを作るだけでなく、実際に被験者の方に来ていただいて、どういう画像が見やすいかなどの効果を検証するのですが、直接その反応を見ることができるのが楽しいです。最初の私と同じように感動してくれる姿も嬉しいですね。前提知識のある僕と被験者で感じ方が異なったり、色や、人によって見やすさが違うなど、人の視覚は曖昧で面白いなと感じます。

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02NEXTフェローシップ・プログラム
について

本プログラムを知ったきっかけと、活動拠点におけるご自身の役割を教えてください

指導教員からお話をいただいて知りました。アジア・日本研究所は文系の研究拠点なのですが、私が文化財をデータ対象として扱っているため、理系である自分も文系の方々と一緒に研究を行っています。京都が近いこともあり、有名なお寺の中で実際に計測を行えたり、祇園祭の山鉾など貴重なデータを扱わせてもらえたりするのはとても楽しいです。また、理系の研究者の少ない拠点なので重要な役割を任せてもらえているなと感じています。

学生フェローに選ばれて「良かった!」と思うことは何ですか?

一番は安定した経済支援を受けられることです。これまでは、アルバイトをしていたので通勤や労働に時間を取られ、自由な時間が減り、研究が思うように進まないことがありました。ただ、学生フェローに選ばれてからは経済支援が充実しているため、アルバイトをたくさんする必要がなくなりましたし、精神的にも安心して研究できるようになりました。例えば、私の研究では、使用するデータ量が膨大になるため保存用のハードディスクが必要となるのですが、研究費を得たことでそうしたPC周辺機器を気軽に購入できるようになり、作業速度も効率も上がりました。それに頂いた研究費は自分で管理するため、事務的な面でも色々と勉強になることが多いです。もう一つは、多くの方々と関わる機会があることです。拠点では他の研究者の方々からご助言をいただけますし、学生フェロー同士の交流会もあるので、話を聞いて刺激をもらったり、研究の協力をしてもらえたりするのは本当にありがたいです。

ご自身の研究が、今後どう社会と結びついてほしいとお考えですか?

見え方の研究は、基礎研究だと考えています。僕の研究テーマである立体のディスプレイは、まだまだ普及していません。ただ、3D映画や3Dテレビなど立体的に見えるものも出てきており、全体的にニーズがあると考えています。映画などで、映像が空中にグンッと浮かぶシーンことあるじゃないですか、技術が進歩したら現実になっていくと思います。そうなると立体視は、社会的に求められます。私の研究成果が、少しでも社会に求められる速度を早められたら良いと思っています。まだまだ見え方を研究している段階なので、発展の余地はあると思います。私が死ぬまでに立体視が普及されていれば、胸を張って「私もこの研究をしていた」と言えると思います。

03今後のキャリアプランについて

修了後のキャリアについてどうお考えですか?

企業に就職したいと考えています。研究が忙しくて、どのような会社で、どんな仕事に就きたいという具体的なイメージはまだ描けていません。博士課程後期課程になり、就職活動の時期が迫って来ていますので、今一生懸命取り組んでいます。就職にあたっては、自分の興味があるもの、楽しいと思える仕事につきたいと思います。私の場合、自分の興味や自分なりの尺度にあった会社や仕事であれば、これまでの研究と異なる分野でも構わないと思うし、自身の研究が活きるかどうかにこだわる必要は無いと思うからです。ただ、ドクターの院生の就活事例は少ないため、フェローシップのコーディネーターの方がすごく親身に相談に乗ってくださって、とても助かっています。

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04学部生・院生への
アドバイス・メッセージ

学部生、院生へのアドバイス、メッセージをお願いします

前期課程または後期課程へ進学するかしないかはさておき、4回生でしっかり研究しておいて欲しいですね。学部によって研究室に配属される時期は異なるかも知れませんが、就職希望だからと研究を軽視すると、結果的には就活と研究の両方が疎かになってしまっている人をみかけます。そういう人は、結局、大学院に進学しても中途半端なままで終わってしまうことがあるので、研究と真剣に向き合ってほしいと思います。そうしないと最終的に自分がすごく苦しくなるだけになってしまいます。また、研究室に入ると、「学部時代に学んだことがこう使われてるんだ」と実感することがあります。その時に、学部時代に勉強を疎かにしていて理解できなくて困った時に、「勉強しなかったからだ」と諦めるのではなく、そこからもう一度勉強し直して欲しいと思います。そうすれば、すぐに身につきますし、そこで諦めるか諦めないかが、大きな違いになると思っています。

(2022年9月 掲載)