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2025年度第4回研究会のご報告 2026年2月2日 ※終了しました

2025年度第4回研究会のご報告 2026年2月2日

保健師の実践知の継承

~災害時の保健活動にふれながら~

■演題:保健師の実践知の継承~災害時の保健活動にふれながら~

■報告者:大倉和子(明治国際医療大学看護学部・センター客員研究員)

■研究会概要:

  本研究会では、長年にわたり京都府の行政保健師として実務経験を積み、現在は大学教員として保健師教育に携わる報告者より、保健師の実践活動、災害支援の実際、ならびに経験学習に基づく保健師育成に関する報告が行われた。

   まず、保健師の仕事について、保健師は公衆衛生看護の専門職として、乳幼児から高齢者まで地域で生活するすべての住民を対象に、命と暮らしを守る役割を担っていることが説明された。市町村、保健所、都道府県本庁など多様な配置のもと、個別支援と施策立案を担い、医療・福祉・行政をつなぐ調整機能を果たしている点が強調された。特に新型コロナウイルス感染症対応を通じ、保健師の社会的役割が、その業務の過重さとともに可視化されたことが指摘された。

 次に、災害支援における保健師活動として、西日本豪雨災害の京都府内事例を中心に報告がなされた。被災地では府内すべての保健所から派遣された保健師が連携し、健康相談や家庭訪問を通じて、慢性疾患や医療的ケアを要する住民への支援、熱中症対策、精神的ストレスへの対応などを行った。そして、平常時からの多職種連携や個別支援計画、訓練の積み重ねが災害時対応の基盤となることが強調された。

 最後に、保健師の経験学習と実践知の継承に関わり報告者が行った研究が紹介された。熟達した力量をもつ行政保健師へのインタビュー調査結果からは、初任期には地域活動を通じた基礎的実践、中堅期には関係構築、熟達期には施策化やマネジメントが成長を促す重要な経験となる、という知見が得られた。そして、暗黙知となりがちな実践知を言語化し、振り返りの機会を意図的に設けることの重要性が述べられた。

 質疑応答では、災害支援に関しての健康訪問調査票の活用など、健康相談時の情報収集や共有を一定の質で行うための課題、範囲が非常に広く対象や配置先によって求められる対応が大きく異なるという保健師業務の可視化の方策と現場での経験学習プロセスとの関連、実習を通じた現場体験など保健師の実践を「見せる」教育の重要性、直接住民と接する場面だけでなく施策化や予算確保につなげる力量の重要性などが議論された。

問い合わせ先: 立命館大学地域健康社会学研究センター 

電子メール: health-c@st.ritsumei.ac.jp