フューチャーモビリティ(FM)研究会
第23回 2019年11月9日 @立命館大学・大阪茨木キャンパスグランドホール
(国際ビジネス研究学会共催)シンポジウム「新価値創造に向けたオープンイノベーション:エコシステム形成と国際標準化」
報告
研究報告Ⅰ 椙山泰生氏(京都大学教授)「ビジネスエコシステムと国際ビジネス」
研究報告Ⅱ 安本雅典氏(横浜国立大学教授)「協調的な標準化とイノベーション戦略:知識ネットワークの視点からのアプローチ」
基調講演Ⅰ 菅沼賢治氏(株式会社デンソー 技術開発推進部、(公社)自動車技術会電子電装部会長) 自動運転に関わる国際標準の動向と日本の戦い方: 産業創生に向けた標準化」
基調講演Ⅱ 三寺歩氏(ミツフジ株式会社代表取締役) 「ウェアラブル IoT 企業のビジネスエコシステムと国際展開」
パネルディスカッション
パネリスト:椙山泰生、安本雅典、菅沼賢治、三寺歩
司会:内田康郎(兵庫県立大学教授)
第22回研究会 2019年9 月20日 @立命館大学・大阪茨木キャンパス
鳥谷真佐子氏(慶應義塾大学大学院SDM研究科 特任講師)
SDM式ワークショップ「モビリティシェアリング×街づくり」
ワークショップメモ
- 次世代のモビリティ社会を考え実現させていくにあたり、交通手段そのものだけでなく、それぞれの街のビジョンやコンテクストを考慮し、システム全体を設計していく必要がります。
- 人工衛星などの大規模複雑なシステムを設計する際に活用されるシステムズエンジニアリングは、システムの外側に存在する様々なコンテクストと対象システムとの関係性、利用者とシステムとの関係性、システム内部の構成要素の関係性それぞれから、必要機能を抽出し、物理的な設計を行っていく。
- このシステムエンジニアリングの考え方を活用し、モビリティ利用者の具体的な生活イメージを描きつつ、IoTがつなぐモビリティシェアシステムのアーキテクチャ設計を試みるワークショップ。
- システムには必ず目的がある。各街のモビリティシェアシステムの設計を行うためには、そのシステムの目的、すなわち、その街が何のためにモビリティシェアシステムを実現するのか、どのような街を目指すのかを初めに明確にしておく必要があります。
- システムの設計は、目的によりその姿が変わる。例えば、google関連会社のSidewalk Labsは、カナダ トロントのスマートシティ計画を次のように提案している。自家用車の利用を制限しカーシェアを進め、街の車両数を減らし、交差点にはセンサーを設置し交通を円滑にする一方で、屋外には風雨や日差しを避けるための覆いを取り付けることで、人々の徒歩での移動を快適にするような街の整備を行うとしています。これは、環境を考慮していることはもちろんのこと、人々に街を積極的に歩いてもらうことを推奨する都市モデル。
- この提案のなかでは、様々なイベントのためのスペースをストリート上で時間管理により出現させるという案もあり、人々の交流を促進する街づくりが考えられています。車が少なくなることによって、人が使えるスペースが増えると考えている。人々が街に出て、健康的に歩き、自然や人との交流を楽しむ都市生活というビジョンを実現するためのモビリティシェアシステムであるということができます。
- 一方で、例えば日本の過疎地でのモビリティシェアリングの目的や実装は、また全く異なるものになると思われます。どのような街のどのような課題を解決するのか、どのような生活を実現するためのモビリティシェアリングなのか、事前にイメージを持つことが肝要。
- 実現手段("how"や"what")ではなく、設計したいモビリティシェアリングシステムの目的="why"を考えるのが先決。先ずは、ここから。
第21回研究会 2019年7 月19日 @立命館大学・大阪茨木キャンパス
菅沼賢治氏(デンソー)「自動運転をめぐる国際標準の最新動向と日本の戦略」
村山浩之氏(組込みイノベーション協議会 副理事長)「私の履歴書」
講演メモ
- ドイツの自動運転の基本的な戦略(Pegasus project)は「ドイツのドイツによるドイツのための国際自動運転基準」策定
- テスラ等、米中の新参者に負けるわけにはいかない
- Pegasusで具体的対応法を標準化し自動運転車の型式認証に対する評価レベルを決める
- 日本はドイツ追随が精一杯
- 欧州の標準化活動の軸は for better society、より良い社会のために
- 産業の提供する価値は、価格、品質、環境、安心安全と変化。次の新しい価値は?日本から発信できる新しい価値はあるのか?
- 「大切なもの(ソフトウェア)は目に見えない」
- 私を初めて男にしたプロジェクト、原動力は「士農工商 メカ、エレキ、ソフトから脱却したいとの想い」
- 課題は職人技の工学化、組織的対応だったが組織的抵抗に。それを打破するのが志、責任、覚悟、そして、懐の深い上司
- 改革には自己否定を伴うからこそ、ソトの血によるトップダウンが必要
- 全体のアーキテクチャ不在のまま個々のサブシステムの寄せ集めでシステム構築することの愚(捨てるべき「継ぎ足しの差分開発」)
- 課題は多様な人材を動機づける仕組み(労働の商品性換算)& whatやwhyの刺激
- 「君はごちゃ混ぜにしている、大事なこともそうでないことも」
第20回研究会 2019年5月24日 立命館大学 大阪茨木キャンパス
杉山雅則氏(内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 革新的燃焼技術 プログラムディレクター、トヨタ自動車)
「オープンイノベーションの実現に向けた産官学連携:SIP革新的燃焼技術を振り返って」
井上佳三氏(自動車新聞社 代表取締役、LIGARE)
「蘇る100本ノック モビリティトレンド」
講演メモ
- 「国家プロジェクト(国プロ)」の使命は明日のエンジン開発を担う人材の育成。短兵急に市場の成果を求めるな。
→とは言うものの、、、技術成果(燃焼効率大幅改善)の嬉しさを市井に上手く伝達せねば。
→「研究スゴイ・技術スゴイ」を「ビジネスもスゴイ」にどう結びつけるかがポイント。
→世の中の流れが「電気自動車」ですが従来型のエンジンもまだまだ頑張れます - 悲しいことに、日本のお家芸だった実用工学分野はボロボロ。
→国プロのお陰でエンジン開発を国内に残すことができます(エンジン開発は自動車の花形と思っていたが、各社 EVやらコネクテッドやらでパワトレ開発に投資が回らない)。
→したがってエンジン開発の人材育成という観点から補助金導入に向けて文科省とのパイプも確保できたことはgood. - 内と外を繋ぐゲートキーパーこそがブレイクスルー(燃焼効率の飛躍的向上)のトリガー。
→結果、JAXA ロケット技術の自動車への転用による目標達成(ダイキンさんのインバーターもJAXAさんの技術の転用でした)。 - 技術の目利き(オタク変人をゲイトキーパーとして自由にさせ、変人の成果を上位レイヤーから俯瞰的に吸収できる人)を育てよ。
→IoTの時代に「全体像を俯瞰すること」の価値が高まっています。 - 元々、他社や大学との協働がうまくいかない業界にて喧喧諤諤の産産学学(けんけんがくがく の さんさんがくがく)による共創が実現したのは奇跡的。
→長期(5年)に配分される大型補助金が接着材料。やはり「おカネは大事」。
→技術研究組合(AICE)の役割が大きかった。同業他社同士が「社内で追い風が吹かなくなってきたパワトレ投資」に対する危機感で一致(AICEはEUの産業アソシエーションが雛形)。 - 日本の「ものづくり」が意識すべきは、「サイエンスベースのものづくりへの移行」
- モデルは異分野コミュニケーションの有効な素地。
→曖昧なバーバールコミュニケーションでは開発規模に限界。
→見える化による持続的な知の蓄積。 - 海外勢が使いたいプラットフォームに育てることが課題。
- 大規模プロジェクトのプロジェクトディレクター育成に必要なのは経験と「運」。
第19回研究会 2019年3月15日 立命館大学 大阪茨木キャンパス
江間 有沙 (東京大学政策ビジョン研究センター)「国内外のAI倫理とガバナンス」
二又 俊文(東京大学政策ビジョン研究センター「SEP(標準必須特許)の最新動向と産業界への影響:変わるMobilityと新たな知財・標準化戦略の可能性」
講演メモ
自動運転の課題
- AI社会は、明るいデストピアです →暗いユートピアより、マシ。
- サイボーグをデフォルトとした人間像からはじめよう。
- 「さよならGAFAM(GAFAMテクノロジーを使わない生活)」は地獄
→気づいたときにはどっぷり浸かって依存させるのがAI企業の真骨頂)。 - 未来について、漠然とではなく、ベクトルを持って考える。どのような社会にするのか、そのために、だれに何を働きかければよいのかを考えます
→beyond smart, toward smiley, sportive and sexy society。 - 流行りのロボット倫理学もよいが、カントやヘーゲルもマスターしてください。
- AIにはアジャイル開発、リスクテイクを是とする社会実装マインドが必要。
→リスク評価に馴染まない日本社会にとっては、逆風。 - 人間自身が通信し始める時代(人間に埋め込まれたチップが5G通信インフラを使ってイメージコミュニケーションを楽しむ時代)が来ています。
- 5Gの世界(通信速度100倍)がもたらすミックスリアリティ=遠隔地における「実体験」の共有が可能になる時代に、新たな「体験」を生み出す企業のみが生き残ります。
- テクノロジーと機械、人の境目がなくなってきています。
- データは次の天然資源であり、その価値はデータマネジメント次第です。
- 日本ものづくり企業に示唆的なのはGEのPREDIXプラットフォームを用いた航空機エンジンデータの収集とマネジメントです。
- データ、IP(知的財産)、IPR(知的財産権)の三層構造を意識して自社のポジショニングを考えることが肝要
→データで勝負のGAFA,IBM、IPRで勝負のNOKIA, Ericsson, Huawei、クアルコム、さてあなたの企業は? - 標準化活動は存在しなかった新市場をネットワーク効果で形成するツールです。
第18回 2019年1月25日@キャンパスプラザ京都
起業家登壇イベント「MaaSの第一人者とウェアラブルのイノベーター」
日高洋祐 氏(JCoMaaS主宰/MaaS Tech Japan 代表取締役社長)「MaaSのグローバル動向と日本の立ち位置」
三寺歩 氏(ミツフジ 代表取締社長)「ウェアラブル・ビジネスの未来」
講演メモ
- ミツフジ 三寺社長、立命館大学との研究・教育分野における包括提携に向けた協議開始宣言。
- ミツフジ近況 : プチバトー(仏)他と連携へ 日経(1月24日付け)「赤ちゃん 服が見守り 導電繊維を活用」 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40381110T20C19A1LKB000/
- 企業理念「生体情報で人間の未知を編みとく」
- ウェアラブルIoTデバイスを利用したプラットフォーム(シーズとニーズの接着剤)戦略による健康経営関連市場の創造とソリューション提供
- もはやウェアラブルの効用は予防に止まらず予知のステージへ。
- 生体情報マネジメントによるトータルメンタルヘルス対策サービス、-組織改善・職場環境測定支援サービス、-復休職者経過観察支援サービス、人事採用支援サービス etc.
- 産業界にとってのメンター的役割を大学は担うべきです。
- MaaS Tech Japanとは、MaaSの価値ある社会実装を目指してプラットフォーム構築、地域の課題解決やMaaS事業のビジネス成功に導くコンサルティング事業を行う。
- それぞれの都市や地域のニーズに合ったMaaS戦略を考える必要があります。
- そのためにも、オープンで柔軟性があり価値の創造可能なプラットフォーム(物理的な移動ハードウェア、そのサービスを仮想的なひとつのサービスとみなす仕組み)が重要。
- 日本の課題は事業者の多い国内の特徴にあったMaaS事業のあるべき姿、MaaSオペレータのあるべき姿(民間、半官半民、公共・公益)の構想と実装。
- MaaS Tech Japanは国内(都市およはび地方)のそれぞれの課題解決に向けたビジネス(ソリューション)モデルをMaaSプレーヤー以外の様々なステイクホルダーとの連携を図りながら提示していきます。