フューチャーモビリティ(FM)研究会
第33回 2021年12月10日
~複声を 織り込むタグを 散りばめん 多様性とか 包括的なる~
講師:広瀬 毅 先生(慶應 SDM研究科)
「MaaSのアーキテクチャ設計とデザイン思考」
講演メモ
問い掛け
なぜMaaSアーキテクチャは存在しないのか?
- それぞれの街にそれぞれのウィルと夢があるから。しかし、アーキテクチャを適用する方法論はある。
- ウィルの核心には、人間中心設計、人々への深い共感、欲求を探り、表出させる能力が不可欠。
- ウィルはアーキテクトの独自性に根ざさなければならない反面、関係者の多様性を担保「すべし」であるが故にトライアル&エラー、fail-fastが日常である。
- 然るにアーキテクトの要件は「楽観的信念に支えられた精神性」となる。
- デジタル庁主導のもと、DADC(デジタル・アーキテクチャ・デザイン・センター)による餡子込め活動を中心に、透明性ある中立的立場から、産学官の総合知を結集してデジタル市場基盤を構築していく
第32回 2021年10月1日
~おにいさん 儲かりまんの それ(標準化)すると 色うつろいし せわしなき世に~
講師:一橋大学 江藤 学 教授
出版 記念講演『標準化ビジネス戦略大全
講演メモ
エコシステム時代の標準化は「やわらかく」。
- 将来の社会の姿を描く力、構想力勝負の世界 =「20年後に実現しているべき社会」をバックキャストにて描く。
- プレーヤーが参画しやすい「柔らかいルール」を学会とフォーラムを惹き込みながら設計する(法規は固く、標準は柔らかく、当初はサイエンスの言説伝播メディアを利用して「性能評価試験方法」を握ってしまう)。
- 利益を分かち合うことのできるタテ関係と、切磋琢磨できるヨコ関係のインセンティブ機構を設計する(王道なくとも、日米欧中それぞれに蛇の道あり)。
- プレーヤーと共にアジャイルで試行錯誤しながらシンボリックなユースケースを生成し、実装しつづける(まずはβ版で適当に走らせ、ぐるぐる回そう)。
やわらかい標準とは、
- 任意の
- 強制法規の壁を破る
- フォーラムや学界を活用し
- 「一時的」に設定される
- そこそこの仕上がりの標準のことである。
雑感
「世は激動」と表すが世の常。問題の核心もまた、四半世紀前と何も変わらぬ 標準化の世界。
我々(立命)のビジネスターゲット=バイオ炭の炭化品質の性能評価試験方法 Jクレジット
第31回 2021年6月25日
~草の根の 泥をはらいて 仰ぎみる SORA(宇宙)に浮かんだ 船に乗りこむ~
演題:立命館起業・事業化推進室発足イベント『デザイン×アート×テック×∞ 〜アジアから世界に挑む〜』
オープニング 仲谷 善雄総長
講師:「宇宙ベンチャー Synspective社の描く未来」白坂 成功氏(取締役/共同創業者、慶應SDM研究科教授)、「世界中の最先端の知に接続する オンライン教育の未来」Tomomi Nonaka氏(食マネジメント学部 准教授/EDGE+R副責任者)
講演メモ
ポイント
- 新たな評価軸(即時性、即応性)の設定によるビジネスチャンスの創造
→戦うフィールド(新たな土俵)をリフレーム=事業ドメインの再定義 - 研究と市場のギャップを埋める鍵は「ユーザー視点」の導入
→ユーザーのこと、社会実装を考えるようになると「活き活き」してくる
→(論文を生産したい研究者にとっては微妙)
→ スマートシティ然り、多様性に応える多様なサービスづくりを目指すべし - tech系ベンチャーの苦労は経営のプロ選び
→宇宙系は規制産業でもあるがゆえに、①techに明るいだけでなく、②政府関係者との交渉を厭わない「政策起業家」的キャラクターが重要、また③スピード感を重視していたため「創業経験者」を探していた(が、結局 9ヶ月を要した)。 - 教育の肝は気付きを誘発する「場」の設定にあり
→「ホンモノ」に触れる機会の設定と学生による学び(真似び)、制作、創造の「プロセス」のグローバルな発信。
→グローバル≒多様性と包摂性に配慮した発信、伝えることによる学びの効果 絶大。
→ 食のイノベーションとは、生産者と生活者を教育をボンドに繋いで創発される「ワクワク」感。 - 立命館 起業・事業化推進室は「失敗をもっと自由に」できるSANDBOXを用意して、グラスルーツ・イノベーターを応援していく。
- プロ顔負けの学生主体 手作りスタジオ
第30回 2021年6月3日
~凱旋講演 DE「ビール主権国家の データ主権」アルトビア ピルスにケルシュ ダンケシェン ベルライナヴァイセ 〆はヴァイツエン~
講師:ISO/TC22/SC32 Chair (株)デンソー 後藤正博 氏
講演メモ
- イノベーションの源泉が個人データに移行する中、データ主権(sovereignty)の名の下にその利活用の枠組みで勝負せよ。
- ドイツ、そしてEUは、hyperscalers (aka. GAFA) を狙うのではなく、それらを制御するための技術主権をねらっている。その仕組みとしてのGAIA-Xに注目。
- 要するにドイツ、そしてEUは、戦略領域には "Common Data Space" を作りセクタ跨ぎでのデータ交換・共有を推進する。そこに入りたけりゃ
① ドイツ、そしてEUの法律 (プライバシー、セキュリティ) を遵守し
② ドイツ、そしてEUが主導する技術(AI, 量子コン, 暗号 etc.) を使い
③ ドイツ、そしてEU発の国際標準に準拠すべし。
第29回 2021年4月30日
~里山に 磁場をこしらえ 衣食住 ひとまちくらし 春夏秋冬~
講師 : みやまパワーHD(株)早野 純矢氏「日本発 新シュタットベルケ(都市公社)による地域オープンイノベーション」
講演メモ
- 要旨 : 電力の地産地消は手段の一つに過ぎない。最終目的は、地域課題を包括的に解決すること。そのための現状課題分析と解決に必要な「場」(エコシステム)のあり方と諸方策について提言。SDGsを梃子とした適切な課題設定(縦割りタスクの包括)、自治体の総合政策への打ち込みと同期化、首長のリーダーシップ、アナログ手法をも駆使した社会的受容の醸成、それらを取り纏める新シュタットベルケ人材の育成と同人材が備えるべき3つのコンピテンシー。
- 結論 : 新シュタットベルケ人材育成に向けて、大学が成すべきこと再確認。
- FMI 学術研究に向けて:公益=Common Goodの組織内部化に向けた評価指標の作成
豊富な理論面の研究と実践的な知見- Impact Evaluation (IE) / Monitoring & Evaluation (M&E) / Social Impact Assessment (SIA) "
- ソーシャルワーク、教育、医療、環境、国際開発、貧困対策などの領域"
- 政府や国際機関のフィールド、ドナー及び慈善団体、NPO、NGO、インパクト・インベストメント"
- 経営やファイナンス領域での潮流: GRI, IIRC, WEF, IFRS
- パブリック・バリュー理論の批判的検討
行政学- Mark H. Moore, John F. Kennedy School of Government, Harvard University "Creating Public Value" (1995)
- 行政領域への戦略的経営志向の展開 ➡ "Strategic Triangle"
- Public Value Balance Sheet & Scorecard
- UK, AUS, NZなどのアングロサクソン系の各国に広く採用
- インサイド―アウトの観点
- パブリック・バリュー理論の拡張
- アウトサイド―インの観点 ("Public value is what the public values")
- Bozeman (2007): 社会のコンセンサスによるパブリックな価値観
- Talbot (2008) / Benington (2011): 民衆主義的且つ拮抗的な政治プロセスによる「公益」の形成
- Meynhardt (2009):人間の基本ニーズ論に基づいている、パブリック・バリューを評価できる、認知心理学的なコンセプト フロンティア
- Social impact chainとV字モデルの接合
インプット→プロセス→アウトプット→アウトカム→インパクト⇄ V&V
第28回 2021年2月26日
無人機の 飛び交うソラに 果てしなき いばらのミチの のびゆくさまを
講師:スキルマネジメント協会 光井 隆浩氏「デジタルモビリティへの期待とそれを支えるプロデューサ人材~自動車からドローンへ」
講演メモ
- 要旨 : SoSs(System of Systems)としてのドローンほか、各種モビリティのサービスシステム構築に向けて、その担い手となる「デジタルプロデューサー」の育成プログラムを開発したので、皆さんと共に(「大社接続」)PBLを通じて「デジタルプロデューサー」を育てて参りましょう。
- 嬉んで早速、来年度からお願いします。