学んだ「たくさんのこと」を、次は伝えていく立場に
河野 望さん(2001年産業社会学部卒業、2007年社会学研究科修了)
平安女学院大学生活福祉学部生活福祉学科 兼 短期大学部保育科講師
私は「家族関係」や「教育」について学びたいという思いから、産業社会学部に入学。中学卒業後の1年をイギリスで過ごし、子どもに自立を促す教育のあり方や日本との夫婦・親子関係の違いに興味を持ち、さらに深めたいと思ったからです。
入学後、英語サークルに入り、違う学部、違う大学、違う国の仲間をたくさん作ることができました。2・3回生のときには、エンター(オリター)活動に参加し、1回生の生活のサポートや教える事を通して、人のもっている能力を引き出す大切さを学びましたね。また積極的に挑戦することの大事さも感じました。
3回生のとき、荒木穂積先生の「発達・福祉ゼミ」へ。荒木先生との出会いが、私の中で大きな転機となり、その後の人生に大きく影響を与えました。荒木先生は、キャンパスからフィールドへと(海外にも)出ていく機会をたくさん作ってくださいましたね。また、その学びをゼミナール大会などで報告することができました。
まわりが就職活動をしている中、私は卒業研究で小学生や大学生を対象に、家族関係に関する個別調査を行い、さらに深く学ぶために大学院への進学を決意しました。大学院では研究に加え、自閉症やアスペルガー症候群の子どもの療育と親の会活動にトータルコーディネーターとして関わり、そこでの経験から、子どもたちだけでなく、家族への援助も大切だと感じています。
現在は、平安女学院大学で講師として、保育士、幼稚園教諭、社会福祉士などを目指す学生たちと共に試行錯誤の毎日です。学生たちに受け身ではなく、自分で考えて動いてもらうために、どう興味を引き出そうかと悩むことも。授業内で毎回コミュニケーションペーパーを提出してもらうのですが、最初はあまり書いていなかった学生も、そこにコメントを添えて返却すると、少しずつ書いてきてくれるようになりました。学生の成長が目で見てわかるのも教える楽しさの1つですね。
今は、一人ひとりに応じた教育、子どもの発達を保障する重要さを伝えていく立場にいますが、立命館大学での研究・実践、エンター(オリター)活動、学童保育ボランティアなど全ての経験、学びが、今の自分のベースになっている気がしますね。
大学、大学院修士課程、博士後期課程と長い時間をかけた分、ようやく今、社会の中で大学での学びを活かせていると実感。指導を受ける立場だった私が、ゼミ生を受け持ち、卒論指導を行い、指導することの難しさとやりがいを経験しています。ひとつの関心を追及すること、「研究」の道のりには、つまずきそうになることもありましたが、先生・仲間、家族、現場で出会えた子どもや家族、様々な人たちに支えられて、信念をもって、取り組み続けることができています。
大学時代に出会った様々な人たちと、今でもかかわっていますし、社会に出た後も、立命館大学出身の方たちに助けてもらうことが多く、たくさんの繋がりに助けられています。「繋がり」は宝物だと日々感じていますね。
自分で少し足を踏み出すと、いろんな可能性が見えてきます。ちょっとしたことでも、積極的に挑戦し、やり遂げてほしいと思います。
- 取材・文
- 正木洋介(経営学部3回生)