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336 -  人々が集うあたたかい「場所」を作りたい

人々が集うあたたかい「場所」を作りたい

酒谷駿一さん(理工学研究科博士課程前期課程1回生)/写真:前列右から2人目
右近 亨さん(理工学研究科博士課程前期課程1回生)/写真:前列右から3人目

理工学部・宗本晋作研究室
岩手県宮古市「重茂半島」で簡易集会所を建設中

  • No.336
  • 2011年12月26日更新
僕たちは建築都市デザイン学科の宗本晋作先生の研究室に所属し、東日本大震災で被災した岩手県宮古市で地域の方の交流の場となる簡易集会所を建設しています。

 (酒谷さん)
僕は震災発生当時、オーストラリアにいました。地元が関西であることもあり、今回の地震は自分にとってどこか遠い存在のように感じていました。しかし、オーストラリアでも震災直後から、新聞やマスコミが大々的に報道していたり、タクシーの運転手さんに地震のことを尋ねられたり、心配されたりしているうちに、この地震が甚大な被害を与えているものだと実感するようになりました。また僕自身が小学2年生の時に阪神淡路大震災を経験していたこともあり、心のどこかで何か自分にできることは無いかと感じていました。そんなとき、以前から積極的に被災地を視察していた宗本先生からこのプロジェクトの話を持ちかけられ、同じ研究室の右近くんと夏ごろからプロジェクトに参加することにしました。
 
(酒谷さん・右近さん)
通常は仮設住宅が集まる場所には、そこに住む人たちが交流できる集会所も併設されます。これは仮設に住む方々のコミュニケーションの場を提供することで孤独死などを防ぐ役割もはたしています。現在、宮古市は徐々に復興していますが、今、私たちが集会所の建設を行っている重茂半島の小さな集落には仮設住宅のみしか設置されていませんでした。現地でのヒアリングで、住民の方の集会所への強い期待を感じました。また多くの人に利用してもらうために地域の「シンボル」になるような集会所を設置したいと感じていました。この集会所は、五角形と六角形のフレームを組み合わせた木造のドームです。僕たちは建築を学んでいますが、実際に現場で作業をしたことはありません。しかし、材料にはSPF材を多く使用し、一般的なホームセンターで手に入る工夫をするなど、僕たちのような素人でもセルフビルドができることを証明できるように設計しました。



発案後は、建設に向けて、まずは研究室のメンバーでモックアップの作成を行いました。原寸大のモックアップを作成する事で、施工法の確認や構造の検証、工具の使用法を学びました。現地での作業は研究室とその他から応募のあったメンバー約30名で、授業に支障がないように、交代で参加しました。最大20人の学生が現地で共同生活をしながら、行動をともにするので、目的別に班を編成しスケジュールや作業時間の決定、計画の工程表の作成などを考えなければならず、とても大変でした。

このような大きな規模のプロジェクトを進行する事は初めての経験だったので、正直プレッシャーに押しつぶされそうになり、辛かった時期もありました。そんな時は銭湯に行って、裸の付き合いもしながら話し合ったり、お互いに支え合って乗り越えてきました。現地に着いてからは、生活班と作業班に分かれて共同生活を始めました。作業班は朝6時半に、住んでいる仮設住宅を出発し、日が暮れるまで作業を行いました。生活班は、食事の準備や洗濯、掃除など家事を担当しました。

印象に残っている思い出は、建設している集会所の隣に漁師さんの作業場があるのですが、仕事の終わった漁師さんが様子を見て声をかけて頂き、現地でとれたお魚の差し入れをして下さったことです。漁師さんだけではなく、たくさんの地元の方々から応援や支援をいただき心が温かくなったのを覚えています。このプロジェクトに関わって支援してくださった、全ての方々に感謝しています。

しかし、僕らもすべての方に歓迎してもらえたわけではありませんでした。銭湯で出会ったおじさんには、「震災も5ヶ月をすぎ、今頃ボランティアに来てなんだ。わしらの仕事をとるな。帰ってくれ。」と言われ心にグサッと刺さる思いをしたことがありました。そういったことも受け止めながら、改めて自分たちが今ここで作業できていることに感謝しなくてはいけないと感じました。 

また、現地ではすべてのことが初めてで、工程通りにいかないことや、施工のために必要となる材料が足りなくなるなど、毎日が問題の連続でした。しかし、メンバー全員で一丸となることで、なんとか乗り越えてきました。建築とは多くの人々が関わり合い、その繋がりの中で生み出されるものです。新たな建築を生み出していくために、常に目標に対しての強い意志と感謝の気持ちを忘れてはいけないと感じました。社会にでる前に、学んだ事を実際に行動へつなげることが出来たのは、本当に貴重な経験となりました。
 
このプロジェクトに参加し、東北のことに対してより関心を持つようになりました。今では宮古が第2の故郷のようにも感じます。向こうで暮らし、地元の人たちと交流をしながら作業をしたからこそ、感じられることだと思います。
この集会所は、今後デイケアセンターと地元の方々の交流の場として使われる予定ですが、人と人を結ぶ憩いの場となってほしいです。僕たちが知らないところで、現地では様々なドラマが生まれています。この集会所も、いずれは溢れる位の人々の思い出がつまった建物になってほしいと思います。


 
―最後にお2人から将来の夢やメッセージをお聞きしました!

(右近さん)
大学に入学する時から明確な夢を持った人は、そう多くないと思います。実際、僕もそうでした。しかし、色々な事に挑戦し、面倒くさく嫌だと思うことからも逃げずにやっていくことで、自分の中での意識が変化する場合もあります。そのうち、何か自分が打ち込めることが見つかるかもしれません。
とにかく、大学生活は多くの人と交流して、遊んで、色々な経験をして下さい。

(酒谷さん)
もし2つの分かれ道があったとき、私なら辛そうな道を選びます。楽をして得られるものは少ないのではないでしょうか。正直なところ、学部生時代は真面目な学生ではなく、これといった目標もありませんでした。でも今は、目の前のことに対して一生懸命やっているうちに、自分の好きなことが段々とはっきりしてきた気がします。自分が限界を決めなければ、人生の転機っていくつもあるものだと思います。
長々と熱く語ってしまいましたが、まだまだ未熟者です。(笑)
本当に忘れてはいけない事は、両親をはじめ、先生や仲間といった自分を取り巻くすべての人たちに感謝することだと思います。


 
<大学からのお知らせ>

~重茂・簡易集会所こけら落とし企画~
竣工式展&音楽ライブ「ODENSE・歌でつながろう!」
 
立命館大学生約30人が宮古市の皆さまに支えていただきながら着工した簡易集会所も、いよいよ完成を迎えます。完成を記念して、現地で竣工式展と音楽ライブを開催します。
 
日時:2012年1月9日(月・祝) 14:00~竣工式、14:30~音楽ライブ
場所:岩手県宮古市 重茂・簡易集会所にて
※事前予約不要、参加費無料(雨天決行)

<音楽ライブ出演>
しもぐち☆雅充氏(京都αステーションDJ)、橋本健志氏
 
~お知らせ2~

岩手県宮古市の集会所で、2012年1月9日(月・祝)に完成記念音楽ライブを開催します。そこで、立命館大学広報課では現地の方にお届けする音楽CDやカセットテープを募っています。 宮古市では津波で多くの音楽(CD、カセットテープ)も流されてしまったそうです。
宮古市の社会福祉協議会の方のお話では、子供向けソングなどは寄付が多くあるそうですが、30代・40代の方にとっての懐メロ(例えば、サザンオールスターズ、松任谷由実、濱田省吾、TUBE)が少ないそうです。この他、年配の方が好きな「演歌」も人気とのこと。 そこで、皆さんがお持ちのCDやカセットテープでお送りいただけるものがあれば、ぜひ下記までお送りください。いただいたCD・カセットテープは1月9日(月・祝)のライブで、簡易集会所に贈呈します。ご協力よろしくお願い致します。
 
<CD・カセットテープの送付先>

〒604-8520 京都市中京区西ノ京栂ノ尾町1番地の7
立命館大学広報課 
TEL. 075-813-8300(平日 9:00〜17:30) 
締切:1月6日(金)必着
 
<みなさまへのお願い>
原盤をお送りください。複製したものはご遠慮願います。 
また、CD面は音楽が聴ける範囲のなるべくきれいな状態でご送付ください。
 
◆「すべての学びが、未来を生みだすためにある」のページはこちら


  • 取材・文
  • 服部光宏(経営学部1回生)

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