一期一会!多様な個性を力に!
川嶋 紗由美さん(法学部国際インスティテュート3回生)「仲裁」ラウンドリーダー 写真:右
Su Eimiさん (Study in Kyoto Program)「交渉」ラウンドリーダー 写真:左
大学対抗交渉コンペティション出場
2011年12月、第10回大学対抗交渉コンペティション(=Intercollegiate Negotiation Competition)が開催され、立命館大学からは4チームが参加しました。国際インスティテュート英語開講科目(JWP専門科目)や法学部ゼミから学生が集まりコンペティションのチームが結成され、私たちのチームは女性5名、全員が初出場でした。メンバーは全員が初対面で、年齢の幅も広く、留学生と日本人、海外育ちと日本育ち、多様で個性的なメンバーが揃っていました。初めはどうなるのかと不安でしたね(笑)
この大会は、経済のグローバル化がすすみ、国家や企業間での交渉は必要不可欠となる現代社会で、交渉学習の意欲を高めるために設けられた対戦の場です。国内外から19大学263名の学生が参加しました。大会は2日間にわたり行われます。実際の社会をモデルとした架空の国の企業:「レッド社」と「ブルー社」を設定し、1日目は両社で起こった損害賠償の問題について、国際私法を用いて論理的に「仲裁」を議論します。2日目は、「レッド社」と「ブルー社」が、共同開発にむけて合弁会社をつくり協力し合うためには、どうすればよいのか「交渉」します。日本語部門と英語部門があり、私たちのチームは英語部門に出場し、2日目の「交渉」ラウンドで過去最高得点を獲得することができました。

「レット社」「ブルー社」の社風や経営状況・社会背景が設定された事例問題が、事前に出題されます。2ヶ月間、準備のミーティングや「模擬仲裁」・「模擬交渉」を何度も行いました。模擬練習では立命館大学のさまざまな国の先生に審査員として、協力していただきました。自信があるような説明の仕方や条文についての解釈の仕方、論理で勝てばいいということではなく、道徳的な面も大切であるということを教わり、とてもいい勉強になりましたね。大会直前になると、ミーティングは連日に及び、次第に「このままでは、独自の考えがもてなくなり、自分で復習する余裕もなくなってしまう」と考えるようになりました。そこで、私たちはチームメイトのアドバイスを取り入れ、アメリカ風にミーティングの回数の減らし(週に2日3時間程度)、完全に「休む日」を設けました。その代わり、次のミーティングまでに課題をしっかりと準備することを約束しました。他の3チームとは違うスケジュールを組んだんです。ミーティングの中では、文化の違いからしばしば衝突がありましたね。日本育ちのメンバーは、「場の空気」や「相手との人間関係」を大事にするゆえ、考えていることを明確に発言せず、婉曲的な表現が多いのに対し、海外で育ったメンバーは、主張をはっきり言葉にします。双方が「なんではっきり言えないの?」「どうして相手の気持ちを考えて、優しく言えないの?」と対立したんです。そんな時、アメリカ出身のメンバー(Suさん)から「集団主義」と「個人主義」の概念について、話がありました。Suさんの「根本的な価値が異なるので、違いがあることを認識して、一緒に頑張って進めていこう」という一言で、お互いに意見や考え方を尊重できるようになり、受け入れられるようになりました。また先輩・後輩の壁もなくなり、後輩であっても「いいアイディア」があれば採用し、間違っていることがあれば指摘しあうようになりました。「日々の交渉」が大会の成果として現れたのだと思います。
大会初日はとてもピリピリした雰囲気で、敵対意識が前面に出ていましたが、2日目はとても協力的な雰囲気でリラックスすることができましたね。メンバーが相手からの質問に応えられなくても、他のメンバーが説明のフォローをするなど、チーム内の連携が取れていたと思います。ミーティングや大会を通じて、異文化を知り、国際的な見方・考え方をもつことができました。自分の意見に自信を持ちながら、自分の意見ばかりを押し付けるのではなく、他人の意見を取り入れる柔軟さも必要だと再認識しましたね。自己主張と協調性のバランスを持つことの大切さを感じることができました。
(お2人に伺いました)
・この大会に参加した理由は?
Suさん:
1年間の留学の間に日本の友達を作り、日本人の考え方を知りたいと思いました。アメリカの大学ではビジネスを専攻していたので、日本のビジネスについても興味がありました。日本の社会人と触れ合ういい機会になると思いました。
川嶋さん:
1回生の時に、この大会の話を先生から教えてもらいました。それまで仲裁だけに、興味がありましたが、「仲裁」と「交渉」は異なり、この大会で両方の知識と話術を体験できることに興味が湧きましたね。働くことの疑似体験への期待もありました。
・嬉しかったことは?
Suさん:
交渉ラウンドが終わった後、第1回目からこの大会の審査員を務める方に、私たちの「交渉」は、「これまでで1番いい交渉だった」と言っていただけました。初めて参加した私たちがハイスコアを獲得できたことは、すごく驚きましたね。
川嶋さん:
過去10年間で最高の点数を獲得したことですね。さらに嬉しかったことは、交渉相手であった大学も、同じ高得点を獲得したので、これこそ「真の交渉」だと感じました。自社の利益を追求して勝ち負けを意識するのではなく、お互いが協力しあえた結果だと思いました。
・将来の夢は?
Suさん:
日本人と一緒に仕事をしたいですね。グローバルな視野を広げ、国と国をつなぐ架け橋となる存在になりたいです。
川嶋さん:
日本と外国を結び、調和させることのできる存在になって、日本に貢献したいです。日本の良さを維持しながら、外国の考え方も取り入れられるような仕事をしたいと思います。
大学対抗交渉コンペティション
http://www.osipp.osaka-u.ac.jp/inc/index.html
この大会は、経済のグローバル化がすすみ、国家や企業間での交渉は必要不可欠となる現代社会で、交渉学習の意欲を高めるために設けられた対戦の場です。国内外から19大学263名の学生が参加しました。大会は2日間にわたり行われます。実際の社会をモデルとした架空の国の企業:「レッド社」と「ブルー社」を設定し、1日目は両社で起こった損害賠償の問題について、国際私法を用いて論理的に「仲裁」を議論します。2日目は、「レッド社」と「ブルー社」が、共同開発にむけて合弁会社をつくり協力し合うためには、どうすればよいのか「交渉」します。日本語部門と英語部門があり、私たちのチームは英語部門に出場し、2日目の「交渉」ラウンドで過去最高得点を獲得することができました。
「レット社」「ブルー社」の社風や経営状況・社会背景が設定された事例問題が、事前に出題されます。2ヶ月間、準備のミーティングや「模擬仲裁」・「模擬交渉」を何度も行いました。模擬練習では立命館大学のさまざまな国の先生に審査員として、協力していただきました。自信があるような説明の仕方や条文についての解釈の仕方、論理で勝てばいいということではなく、道徳的な面も大切であるということを教わり、とてもいい勉強になりましたね。大会直前になると、ミーティングは連日に及び、次第に「このままでは、独自の考えがもてなくなり、自分で復習する余裕もなくなってしまう」と考えるようになりました。そこで、私たちはチームメイトのアドバイスを取り入れ、アメリカ風にミーティングの回数の減らし(週に2日3時間程度)、完全に「休む日」を設けました。その代わり、次のミーティングまでに課題をしっかりと準備することを約束しました。他の3チームとは違うスケジュールを組んだんです。ミーティングの中では、文化の違いからしばしば衝突がありましたね。日本育ちのメンバーは、「場の空気」や「相手との人間関係」を大事にするゆえ、考えていることを明確に発言せず、婉曲的な表現が多いのに対し、海外で育ったメンバーは、主張をはっきり言葉にします。双方が「なんではっきり言えないの?」「どうして相手の気持ちを考えて、優しく言えないの?」と対立したんです。そんな時、アメリカ出身のメンバー(Suさん)から「集団主義」と「個人主義」の概念について、話がありました。Suさんの「根本的な価値が異なるので、違いがあることを認識して、一緒に頑張って進めていこう」という一言で、お互いに意見や考え方を尊重できるようになり、受け入れられるようになりました。また先輩・後輩の壁もなくなり、後輩であっても「いいアイディア」があれば採用し、間違っていることがあれば指摘しあうようになりました。「日々の交渉」が大会の成果として現れたのだと思います。
大会初日はとてもピリピリした雰囲気で、敵対意識が前面に出ていましたが、2日目はとても協力的な雰囲気でリラックスすることができましたね。メンバーが相手からの質問に応えられなくても、他のメンバーが説明のフォローをするなど、チーム内の連携が取れていたと思います。ミーティングや大会を通じて、異文化を知り、国際的な見方・考え方をもつことができました。自分の意見に自信を持ちながら、自分の意見ばかりを押し付けるのではなく、他人の意見を取り入れる柔軟さも必要だと再認識しましたね。自己主張と協調性のバランスを持つことの大切さを感じることができました。
(お2人に伺いました)
・この大会に参加した理由は?
Suさん:
1年間の留学の間に日本の友達を作り、日本人の考え方を知りたいと思いました。アメリカの大学ではビジネスを専攻していたので、日本のビジネスについても興味がありました。日本の社会人と触れ合ういい機会になると思いました。
川嶋さん:
1回生の時に、この大会の話を先生から教えてもらいました。それまで仲裁だけに、興味がありましたが、「仲裁」と「交渉」は異なり、この大会で両方の知識と話術を体験できることに興味が湧きましたね。働くことの疑似体験への期待もありました。
・嬉しかったことは?
Suさん:
交渉ラウンドが終わった後、第1回目からこの大会の審査員を務める方に、私たちの「交渉」は、「これまでで1番いい交渉だった」と言っていただけました。初めて参加した私たちがハイスコアを獲得できたことは、すごく驚きましたね。
川嶋さん:
過去10年間で最高の点数を獲得したことですね。さらに嬉しかったことは、交渉相手であった大学も、同じ高得点を獲得したので、これこそ「真の交渉」だと感じました。自社の利益を追求して勝ち負けを意識するのではなく、お互いが協力しあえた結果だと思いました。
・将来の夢は?
Suさん:
日本人と一緒に仕事をしたいですね。グローバルな視野を広げ、国と国をつなぐ架け橋となる存在になりたいです。
川嶋さん:
日本と外国を結び、調和させることのできる存在になって、日本に貢献したいです。日本の良さを維持しながら、外国の考え方も取り入れられるような仕事をしたいと思います。
大学対抗交渉コンペティション
http://www.osipp.osaka-u.ac.jp/inc/index.html
- 取材・文
- 内海 温(産業社会学部3回生)