海外より、もっと近い距離で知らない世界を学べる場所があります。今年の夏休み、僕は「村・留学プロジェクト」に参加し、京都府唯一の“村”である南山城村に9日間滞在しました。京都駅から電車で2時間ほどのところにある村は、少子高齢化が進み、いわゆる限界集落に近い状態です。村では、主に畑の草抜きや耕作を手伝い、村の「ガイドブック」をつくる為の取材も行いました。また、このプロジェクトには「サステイナビリティ（持続可能性）について学ぶ」という目的もあり、講師の方をお招きして、そのことについて考える機会もありました。

今回の参加は、このプロジェクトを運営している団体「PaKT」の代表からの紹介がきっかけです。僕は、以前から「地域活性化やまちづくり」に興味をもっていました。三重県にある、僕が生まれ育った地域は、自転車で10分かけて自販機にジュースを買いに行くほどの田舎町です。都会に住む人は、とても不便だと感じるかもしれません。しかし、僕にとっては当たり前のことで、不便だと感じたことはありませんでした。そんな価値観の違いに違和感を抱くようになり、「地域の良さをアピールしたい」と考えるようになっていきました。だから、このプロジェクトのお話を伺ったとき、“僕がやりたかったことはこれだ！”と感じましたね。

南山城村の魅力は、「人」です。一人ひとりの個性が強く、人間味にあふれた人たちです！話かけると、丁寧に自分のことや村のことを話してくれます。会話を進めるうちに、現在の姿からはうかがいしれない驚きの経歴が知れるなど、とても興味深いお話がたくさんありました。今回制作しているガイドブックのコンセプトは、「村の魅力を若者が若者に発信しよう」です。僕は、「人」に焦点をあて、村のみなさんの生き方や働き方を伝えたいと考えました。取材を進めていくと、村のみなさんが、過疎の問題に対し「自分たちが何をすれば、村が活性化するのか」「どうすれば、この生活を続けていくことができるか」ということを真剣に考え行動していることに驚きました。例えば、南山城村で茶畑を営む方は、若い世代に注目されるような印象的なパッケージをつくって南山城村をより多くの人に知ってもらおうと取り組まれています。村のみなさんが自分の考えやアイデンティティを持っているところが、魅力的だと感じました。

 

ガイドブックは、来年2月をめどに、京都市内の大学など、若者の目に触れる場所に配布したいと考えています。村が抱える問題と、そこに住む人たちが解決のために行動していることを、若者に知ってもらい、自分たちの未来を考えるきっかけになればと思います。
もっと多くの人に地域の魅力を感じてほしいです。難しく考えずに、道端で見かけた人に「こんにちは！何をされているのですか？」「これ、何ですか？」と話かければ、村の方たちはこたえてくれます。「人」と話して、触れて、初めてその土地の良さを知ることができると思います。