次世代パーソナルモビリティ「WHILL Type-A」を開発
杉江 理さん(2005年経営学部卒)
WHILL(ウィル)株式会社(WHILL Inc.) CEO、
世界経済フォーラム(ダボス会議)GSC30歳以下日本代表、
日経ビジネス「THE 100 2014日本の主役」に選出
「眼鏡がグーグルグラスまで進化したように、今、社会でネガティブに捉えられているものって、これからポジティブになり、将来は既存の概念を超えるイノ
ベーションを起こせる可能性を秘めていると思うんですよね」。シリコンバレーで起業し、既存の概念を覆すオシャレで使いやすい次世代パーソナルモビリティ
「WHILL」を開発。“車椅子に乗っていることがクールだ”と誰もが思える社会を目指す。
2001年、経営学部に入学。大学時代は、体育会ボクシング部でボクシングに没頭した。「勉強は、ほぼできていなかったですね(笑)」と話す。転機は3回生の終わりに、なんとなく出席した日産自動車のセミナーだった。プロダクトデザイナーの人の話を聞いて、ものづくりってカッコいいなと直感的に思った。就職活動では、商社や広告代理店などの説明会に行ったが、どこかしっくりこなかった。鴨川のほとりで1日寝ながら考え、「やっぱり自分で価値(もの)をつくった方が 楽しいし、自分でやりたい」と、日産自動車を受けた。しかし、ものづくりの経験がほとんど無かったため、不合格。でも、諦めきれず何をやったら受かるのか を真剣に考えた。日産自動車などの自動車メーカーに受かった人の作品集を各地へ見に行き「ここまでやれば受かるのか」というイメージが持てた。卒業後、専門学校でプロダクトデザインを学び、2回目の挑戦で日産自動車への入社を決めた。

日産自動車では、自動車の外装のデザインを担当した。その後、中国、ボリビア、ラオス、パプアニューギニアなどを巡りながら、漠然と何か新しいことをしようと思っていた時、ある一人の車椅子ユーザーに出会った。その方は、「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」と。自分には理解できず、衝撃を受けた。 既存の車椅子は、カッコ悪くて病人に見えたり、能力が限られていると見られてしまったりする心理的な問題と、坂道や路面状態により、行動範囲が狭められてしまう物理的な問題があるということだった。「カッコよくて使いやすい車椅子をつくったら何かおもしろそうだな」。と軽い気持ちで自動車業界や家電業界で 働く友だちに声をかけ、電動車椅子「WHILL」の開発を始めた。2011年の東京モーターショーに出展後、世界各地から予想を遥かに超える反響があり、その期待に応えるために、2012年5月、WHILL Inc.を設立。多くの投資家にも支えられ、2014年5月に「WHILL」を初めて販売することが決まった。すでに世界中から多くの予約と期待の声が届 いている。
「メーカーベンチャーの成功は難しいと言われたりしますが、ジャパニーズエンジニアリングこそ日本が世界に優っていて、評価されている唯一の分野だと各国を巡るなかで確信しました。我々がつくる『WHILL』は車椅子の範囲にとどまりません。障がい者も健常者も、高齢者も若者も、あらゆる人々がパーソナルモビリ ティーとして、街で“カッコよく”自由に乗っている。そんな世の中がつくれたら楽しいですよね」。と杉江さんは未来を描く。「国際競争力やGDPが下がるから 若者は海外に出ろという大人たちのロジックに、若者はあまり興味がないのではないでしょうか。それより、日本人が豊かになる方法はどこにあるのかという議論が必要で、そこがメディアと若者の間で交わっていないように感じています。未来は不確実です。何でもいいから、今、素直にやりたいことをとことん一生懸命やった方がいいんじゃないかな。そして、多くの経験をすべきだと思います。今は、情報過多になっていて、みんな同じ情報を知っていて、同じことが言える時代になっています。だからこそ価値になるのはその情報を裏付ける経験しかない。経験をもとに夢や未来を語れる人こそ、応援したいと思えるのではないでしょうか」。今を全力で生きている。
2001年、経営学部に入学。大学時代は、体育会ボクシング部でボクシングに没頭した。「勉強は、ほぼできていなかったですね(笑)」と話す。転機は3回生の終わりに、なんとなく出席した日産自動車のセミナーだった。プロダクトデザイナーの人の話を聞いて、ものづくりってカッコいいなと直感的に思った。就職活動では、商社や広告代理店などの説明会に行ったが、どこかしっくりこなかった。鴨川のほとりで1日寝ながら考え、「やっぱり自分で価値(もの)をつくった方が 楽しいし、自分でやりたい」と、日産自動車を受けた。しかし、ものづくりの経験がほとんど無かったため、不合格。でも、諦めきれず何をやったら受かるのか を真剣に考えた。日産自動車などの自動車メーカーに受かった人の作品集を各地へ見に行き「ここまでやれば受かるのか」というイメージが持てた。卒業後、専門学校でプロダクトデザインを学び、2回目の挑戦で日産自動車への入社を決めた。
日産自動車では、自動車の外装のデザインを担当した。その後、中国、ボリビア、ラオス、パプアニューギニアなどを巡りながら、漠然と何か新しいことをしようと思っていた時、ある一人の車椅子ユーザーに出会った。その方は、「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」と。自分には理解できず、衝撃を受けた。 既存の車椅子は、カッコ悪くて病人に見えたり、能力が限られていると見られてしまったりする心理的な問題と、坂道や路面状態により、行動範囲が狭められてしまう物理的な問題があるということだった。「カッコよくて使いやすい車椅子をつくったら何かおもしろそうだな」。と軽い気持ちで自動車業界や家電業界で 働く友だちに声をかけ、電動車椅子「WHILL」の開発を始めた。2011年の東京モーターショーに出展後、世界各地から予想を遥かに超える反響があり、その期待に応えるために、2012年5月、WHILL Inc.を設立。多くの投資家にも支えられ、2014年5月に「WHILL」を初めて販売することが決まった。すでに世界中から多くの予約と期待の声が届 いている。
「メーカーベンチャーの成功は難しいと言われたりしますが、ジャパニーズエンジニアリングこそ日本が世界に優っていて、評価されている唯一の分野だと各国を巡るなかで確信しました。我々がつくる『WHILL』は車椅子の範囲にとどまりません。障がい者も健常者も、高齢者も若者も、あらゆる人々がパーソナルモビリ ティーとして、街で“カッコよく”自由に乗っている。そんな世の中がつくれたら楽しいですよね」。と杉江さんは未来を描く。「国際競争力やGDPが下がるから 若者は海外に出ろという大人たちのロジックに、若者はあまり興味がないのではないでしょうか。それより、日本人が豊かになる方法はどこにあるのかという議論が必要で、そこがメディアと若者の間で交わっていないように感じています。未来は不確実です。何でもいいから、今、素直にやりたいことをとことん一生懸命やった方がいいんじゃないかな。そして、多くの経験をすべきだと思います。今は、情報過多になっていて、みんな同じ情報を知っていて、同じことが言える時代になっています。だからこそ価値になるのはその情報を裏付ける経験しかない。経験をもとに夢や未来を語れる人こそ、応援したいと思えるのではないでしょうか」。今を全力で生きている。
●WHILL Inc. https://whill.jp/ja/
- 取材・文
- 齋藤瑞果(経営学部2回生)、 岡本伸也(広報課)