10日間の体験が、一生の学びになる。
経済学部 藤岡 惇 教授
国際平和交流セミナー「広島・長崎プログラム」を20年間引率
国際平和交流セミナーのひとつである「広島・長崎プログラム」は今年で20回目、20周年を迎えます。このプログラムは、アメリカン大学で被爆2世の日本人学生とピー
ター・カズニック准教授が「広島学習の夏期講座」を実施し、知人である藤岡先生が日本側の受け入れに協力したことをきっかけにはじまりました。立命館大学
では1997年から正規のプログラムとなりました。20年間、中心となってプログラムを引率してこられた藤岡先生にお話を伺いました。
私の専門は平和経済学です。平和と経済がどうつながるのか、と感じる人もいるかもしれませんが、「平和」とは、社会関係や経済関係が健康な状態のこと。経済がどういう状態のときに戦争を介さずとも紛争が解決できるのか、といったことを研究しています。
「広島・長崎プログラム」は約10日間のプログラムで、8月上旬に立命館大学、アメリカン大学、APUなどの学生が一緒に京都・広島・長崎を訪れます。たとえば広島ではジョン・ハーシー著『ヒロシマ』に書かれた場所を、本にも登場する近藤紘子さんの案内で実際に訪問します。被爆者の体験を追体験することで、 「原爆は何をもたらしたのか」を考えてもらいたいと思っています。

2011年 広島 『はだしのゲン』作者の中沢啓治ご夫妻と
また、プログラムは民主主義を実践する場でもあります。プログラムの開会式では私たち独自の憲法をみんなで採択し、平等に拠出した共通基金を学生の代表者が管理します。コミュニティーを下から民主的につくりあげていくという体験をしてもらうのです。
立命館大学の学生は、英会話の練習のため、という目的で参加する人もいるのですが、プログラムを通して核の時代とは?核の問題をどう克服すればいいのか?と いうことを自分の問題として考えるようになった、という感想が聞かれます。アメリカン大学の学生は原爆を飛行機の上からの視点で捉えがちですが、地上からの視点で見られるようになり、核兵器の恐ろしさを実感するようになります。APUの学生はアジアからの視点を提供してくれています。

2013年 オリバー・ストーン監督(写真中央)
日本の学生と外国の学生が共通の体験をし、コミュニケーションをとることで、机上の学問では得られない深い学びがあると思います。普段の生活では会えないようなオーラのある人と会い、体験を聞く。異なった視点を持つ人の意見をたくさん聞き、意見交換する。人生をかけないと答えられないような問題と向き合い、自分は何ができるのかを考える。プログラムは10日間で終わりではありません。問題と向き合っていく限り、その人の中で続いていくのだと思います。
私自身、始めたときは2、3年しか続かないのではないかと思っていました。しかし続けていくうちに核の問題は人間にとって生きていくために重要なテーマだとわかり、私の研究テーマも、アメリカ経済から平和学の方面に変わっていきました。協働者のカズニック教授のほかに、昨年プログラムに同行された映画監督の オリバー・ストーンさん、カナダからの参加者を引率されている乗松聡子さんなど、魅力的な人にたくさん会いましたし、慰霊・巡礼の旅という気持ちで参加しています。中心となって引率するのは今年で最後になりますが、今後も参加・協力していきたいと思っています。

2013年 長崎
私の専門は平和経済学です。平和と経済がどうつながるのか、と感じる人もいるかもしれませんが、「平和」とは、社会関係や経済関係が健康な状態のこと。経済がどういう状態のときに戦争を介さずとも紛争が解決できるのか、といったことを研究しています。
「広島・長崎プログラム」は約10日間のプログラムで、8月上旬に立命館大学、アメリカン大学、APUなどの学生が一緒に京都・広島・長崎を訪れます。たとえば広島ではジョン・ハーシー著『ヒロシマ』に書かれた場所を、本にも登場する近藤紘子さんの案内で実際に訪問します。被爆者の体験を追体験することで、 「原爆は何をもたらしたのか」を考えてもらいたいと思っています。
2011年 広島 『はだしのゲン』作者の中沢啓治ご夫妻と
また、プログラムは民主主義を実践する場でもあります。プログラムの開会式では私たち独自の憲法をみんなで採択し、平等に拠出した共通基金を学生の代表者が管理します。コミュニティーを下から民主的につくりあげていくという体験をしてもらうのです。
立命館大学の学生は、英会話の練習のため、という目的で参加する人もいるのですが、プログラムを通して核の時代とは?核の問題をどう克服すればいいのか?と いうことを自分の問題として考えるようになった、という感想が聞かれます。アメリカン大学の学生は原爆を飛行機の上からの視点で捉えがちですが、地上からの視点で見られるようになり、核兵器の恐ろしさを実感するようになります。APUの学生はアジアからの視点を提供してくれています。
2013年 オリバー・ストーン監督(写真中央)
日本の学生と外国の学生が共通の体験をし、コミュニケーションをとることで、机上の学問では得られない深い学びがあると思います。普段の生活では会えないようなオーラのある人と会い、体験を聞く。異なった視点を持つ人の意見をたくさん聞き、意見交換する。人生をかけないと答えられないような問題と向き合い、自分は何ができるのかを考える。プログラムは10日間で終わりではありません。問題と向き合っていく限り、その人の中で続いていくのだと思います。
私自身、始めたときは2、3年しか続かないのではないかと思っていました。しかし続けていくうちに核の問題は人間にとって生きていくために重要なテーマだとわかり、私の研究テーマも、アメリカ経済から平和学の方面に変わっていきました。協働者のカズニック教授のほかに、昨年プログラムに同行された映画監督の オリバー・ストーンさん、カナダからの参加者を引率されている乗松聡子さんなど、魅力的な人にたくさん会いましたし、慰霊・巡礼の旅という気持ちで参加しています。中心となって引率するのは今年で最後になりますが、今後も参加・協力していきたいと思っています。
2013年 長崎