「支援」ではない「交流」を通じた「きっかけづくり」
安田健人さん(政策科学部3回生)代表:写真中央
金原 遥さん(産業社会学部3回生):写真左
松本雄介さん(政策科学部3回生):写真右
国際交流団体BEPPINE
「あくまで活動の中心は『交流』です。」そう言い切るのは、国際交流団体BEPPINE の代表である安田健人さんだ。同団体の活動の地であるフィリピンのギマラス島にある60 ほどの家族が暮らす小さな漁村シンカラン村とのつながりは、設立メンバーが、村でホームステイしたことから始まった。ホームステイをして驚いたのは、電気もなく、貧しいけれども、村の人たちがみんな笑顔で、幸せそうに見えたこと。BEPPINE は先進国から途上国の人々への支援といった目線ではなく、『交流』を通じてフィリピンの人たちから多くを学び、ともに悩み、ともに成長していく団体として2007 年に設立された。

活動は、年に2 回、5 日間ほど村にホームステイする期間に実施している。設立当初は、デイケアセンター(保育施設)の建設やお米や文具の寄付など、何かを提供することが活動の中心だったが、現在は活動の軸足をあくまでシンカラン村の人々が中心に進める事業の「きっかけを創り出すこと」へと活動内容を徐々にシフトしてきた。近年、電気もなかった村に携帯電話等の消費財が持ち込まれるようになったことで、村の人々にこれまで意識することもなかった現金収入が必要となった。今では現金を得るため、漁業をしていたお父さんたちが都会への出稼ぎに出ることを余儀なくされ、村のコミュニティが崩れはじめてきた。島の中で安定した収入を得ることができれば、出稼ぎに行く必要はなくなり島の中で豊かに暮らすことができるのではないか。そう考え彼らが目をつけたのが、島で豊富に採れ、高い品質で安く仕入れることができるマンゴーを使ったマンゴージャムの製造だった。しかし、マンゴージャムを製品し、販売するノウハウなどもちろん持ち合わせていない。そこで、日本に帰った彼らは、地元京都の和菓子製造メーカの方に話を伺い、専用の機械がなくても、製造したジャムを真空に近い状態で瓶詰めし、長期間保存できるノウハウを学び、それを村に持ち帰った。

村のおかあさんたちと協力し、マンゴージャムの製造を開始。製造して半年たったジャムを検査機関に出したところ、腐敗の原因となる細菌の増加がほとんど見られず、商品として販売できる品質管理法を確立することができた。今ではフィリピン国内の、主に富裕層向けのオーガニック製品として販売を開始し、好評を博している。日本にも、少量持ち帰ってフリーマーケットで販売したところ、すぐに売り切れるほどの人気となった。今年の夏には、フィリピンの首都マニラでさらなる販路を開拓するために営業も行なっている。なぜシンカラン村の人々のためにここまで頑張れるのか。フィリピンで営業活動を行った松本さんは「『交流』を通じて私たちをいつも温かく迎え入れてくれる村の人たちのためだからこそ活動することができます」とその理由を語ってくれた。現在も安定した生産体制など、抱える課題はまだまだ多い。しかし、マンゴージャムだけではなく、彫刻を施したビーチサンダルの製造も開始するなど、その他の事業も村の人々自身で軌道に乗せようと奮闘している。

BEPPINE のメンバーが作った小さな「きっかけ」が、村の未来を変えた大きな一歩として語られる日も、遠い未来の話ではないかもしれない。
活動は、年に2 回、5 日間ほど村にホームステイする期間に実施している。設立当初は、デイケアセンター(保育施設)の建設やお米や文具の寄付など、何かを提供することが活動の中心だったが、現在は活動の軸足をあくまでシンカラン村の人々が中心に進める事業の「きっかけを創り出すこと」へと活動内容を徐々にシフトしてきた。近年、電気もなかった村に携帯電話等の消費財が持ち込まれるようになったことで、村の人々にこれまで意識することもなかった現金収入が必要となった。今では現金を得るため、漁業をしていたお父さんたちが都会への出稼ぎに出ることを余儀なくされ、村のコミュニティが崩れはじめてきた。島の中で安定した収入を得ることができれば、出稼ぎに行く必要はなくなり島の中で豊かに暮らすことができるのではないか。そう考え彼らが目をつけたのが、島で豊富に採れ、高い品質で安く仕入れることができるマンゴーを使ったマンゴージャムの製造だった。しかし、マンゴージャムを製品し、販売するノウハウなどもちろん持ち合わせていない。そこで、日本に帰った彼らは、地元京都の和菓子製造メーカの方に話を伺い、専用の機械がなくても、製造したジャムを真空に近い状態で瓶詰めし、長期間保存できるノウハウを学び、それを村に持ち帰った。
村のおかあさんたちと協力し、マンゴージャムの製造を開始。製造して半年たったジャムを検査機関に出したところ、腐敗の原因となる細菌の増加がほとんど見られず、商品として販売できる品質管理法を確立することができた。今ではフィリピン国内の、主に富裕層向けのオーガニック製品として販売を開始し、好評を博している。日本にも、少量持ち帰ってフリーマーケットで販売したところ、すぐに売り切れるほどの人気となった。今年の夏には、フィリピンの首都マニラでさらなる販路を開拓するために営業も行なっている。なぜシンカラン村の人々のためにここまで頑張れるのか。フィリピンで営業活動を行った松本さんは「『交流』を通じて私たちをいつも温かく迎え入れてくれる村の人たちのためだからこそ活動することができます」とその理由を語ってくれた。現在も安定した生産体制など、抱える課題はまだまだ多い。しかし、マンゴージャムだけではなく、彫刻を施したビーチサンダルの製造も開始するなど、その他の事業も村の人々自身で軌道に乗せようと奮闘している。
BEPPINE のメンバーが作った小さな「きっかけ」が、村の未来を変えた大きな一歩として語られる日も、遠い未来の話ではないかもしれない。