私は昨年の秋に「防災ガール」に加入しました。「防災ガール」とは20代の女性を中心とした登録制のボランティア団体（2015年3月末一般社団法人化予定）で、今までの防災の「堅い、めんどくさい、ダサい」といったイメージを払拭するために活動しています。ゲーム感覚で行う現代版避難訓練の実施や防災グッズブランド＜SABOI＞のプロデュース、各種イベントや講演会などを行っています。

防災に興味を持つようになったきっかけは、3回生の夏休みにJICAの派遣プロジェクトでフィリピンに行ったとき、現地の学生からの東日本大震災についての質問にしっかりと説明できなかったことです。震災について自分が全然知らないということに気付きました。

そして、大学が出しているボランティアバスに乗り、被災地に行きました。2回生のとき取得したネイリストの資格を活かし、ボランティアでネイルアートをしました。はじめは恥ずかしがって断られていましたが、実際やってみると「手を洗うのがもったいない」「お父さん（旦那さん）に見せよう」と、みなさんに笑顔で喜んでもらえるようになりました。

その後も被災地を訪れてネイルアートのボランティア活動をしましたが、次第に仮設住宅に空き家が増えて復興住宅が建ち、どこまでこの活動を続ければいいのかという葛藤をもつようになりました。そんな中、自分が被災地で学んだ「防災」の大切さを伝えたいと思うようになり、防災の勉強を始めました。
　　　

はじめは図書館で過去の震災の資料を読んだり、自分の地元の避難訓練に参加したりしました。また、「防災グッズはかわいくない」と思っていたので、雑貨店でかわいい防災グッズを集め、常に持っていたいと思えるものを揃えました。そして「防災ガール」に加入し、活動の中で「防災士」という資格について知りました。

防災士とは、社会の様々な場で防災力向上のための活動が期待され、そのために十分な意識・知識・技能を有するものとして、NPO法人日本防災士機構が認定した人たちのことです。私は昨年12月に防災士試験に合格し、1月には防災士取得に必要な赤十字救命法救急員の講習も修了しました。

防災士になってから、常に防災のシミュレーションをしています。たとえば電車に乗っているときには、自分がいる車両にはお年寄りが何人、子どもは何人いて、自分が持っている食料はどれくらいで……と考えたり、街中では災害用自動販売機やコンビニの場所を確認したり、「この道は災害時も通れるか」と考えたりしています。

防災ガールの活動などを通じて尊敬できるたくさんの人に出会い、気持ちに余裕が生まれました。災害時、何もかもなくなったときに必要なのは人とのつながりです。そのためには、普段からのコミュニケーションが欠かせません。災害を完全に防ぐことはできませんが、得意の笑顔と防災知識で減災に貢献したいと思っています。