建築の“デザイン力”を社会に生かす
幸田 進之介さん(理工学研究科博士課程前期課程1回生)
今回は、建築を学ぶ大学生の日本最大級の卒業設計コンテストである「せんだいデザインリーグ2015 卒業設計日本一決定戦」において、約520の作品の中から最優秀賞である「日本一」に輝いた幸田進之介さんにお話を聞きました。
今回私は、「都市の瘡蓋と命の記憶 -市営基町高層アパート減築計画-」という作品を作りました。タイトル通り、広島市に実在する市営アパートを「減築」していき、最終的には居住空間をなくしてしまうというものです。

市営基町高層アパートは戦後、スラムを解消する目的で建てられました。しかし高齢化などにより居住者は減り、今度はこのアパート自体が高層スラム化しています。
僕は広島の出身で、このアパートを小さなときから間近で見ていました。調べていくうちに、プレキャスト工法(コンクリートのパーツを作って組み立てる方法)が使われているのがわかりました。この工法だと建物全体を解体しなくても、パーツに分けて減らしていくことが可能です。基町高層アパートは、人口の減少を予測して作られたのではと私は感じました。
このような建築が、都市の邪魔者扱いを受けているのは納得できない、というのが制作の原動力です。基町高層アパートの図面や地域の地図など多くの文献や資料を読み、デザインを考えました。
居住空間をなくしてしまう前の段階として、居住空間を減らし、空いた部分に木を植えたり畑を作ったりコミュニティスペースを作ったりというデザインも考えましたが、最終案では居住空間を完全になくし、屋上庭園などが残るのみにしました。もともと広島平和公園の一角に、スラム解消のためやむなく建てられたアパート。そのアパートに居住空間がなくなることが、広島が原爆から真の復興を遂げたと言えるのではないか、と考えたからです。

撮影:越後谷 出
「日本一」を受賞できたのは、資料に基づいて精巧なCGを作ったこと、コンセプトがしっかり練れていたこと、そして最終審査のプレゼンテーションでは、審査員の先生からの鋭い質問にもしっかり応答できたことなどが評価していただけたからだと思います。
建築のおもしろいところは、たとえば駅舎のデザインなど、気付かないうちに多くの人に影響を与えられるところだと思います。4月からは立命館大学のスタジオデザインプログラムの大学院課程に進みました。日本でも指折りの先生方や海外の著名な先生方から多くを学び、震災復興など、建築デザインの力でマイナスのものをゼロやプラスに変えていくことができればと思っています。

撮影:越後谷 出
今回私は、「都市の瘡蓋と命の記憶 -市営基町高層アパート減築計画-」という作品を作りました。タイトル通り、広島市に実在する市営アパートを「減築」していき、最終的には居住空間をなくしてしまうというものです。
市営基町高層アパートは戦後、スラムを解消する目的で建てられました。しかし高齢化などにより居住者は減り、今度はこのアパート自体が高層スラム化しています。
僕は広島の出身で、このアパートを小さなときから間近で見ていました。調べていくうちに、プレキャスト工法(コンクリートのパーツを作って組み立てる方法)が使われているのがわかりました。この工法だと建物全体を解体しなくても、パーツに分けて減らしていくことが可能です。基町高層アパートは、人口の減少を予測して作られたのではと私は感じました。
このような建築が、都市の邪魔者扱いを受けているのは納得できない、というのが制作の原動力です。基町高層アパートの図面や地域の地図など多くの文献や資料を読み、デザインを考えました。
居住空間をなくしてしまう前の段階として、居住空間を減らし、空いた部分に木を植えたり畑を作ったりコミュニティスペースを作ったりというデザインも考えましたが、最終案では居住空間を完全になくし、屋上庭園などが残るのみにしました。もともと広島平和公園の一角に、スラム解消のためやむなく建てられたアパート。そのアパートに居住空間がなくなることが、広島が原爆から真の復興を遂げたと言えるのではないか、と考えたからです。
撮影:越後谷 出
「日本一」を受賞できたのは、資料に基づいて精巧なCGを作ったこと、コンセプトがしっかり練れていたこと、そして最終審査のプレゼンテーションでは、審査員の先生からの鋭い質問にもしっかり応答できたことなどが評価していただけたからだと思います。
建築のおもしろいところは、たとえば駅舎のデザインなど、気付かないうちに多くの人に影響を与えられるところだと思います。4月からは立命館大学のスタジオデザインプログラムの大学院課程に進みました。日本でも指折りの先生方や海外の著名な先生方から多くを学び、震災復興など、建築デザインの力でマイナスのものをゼロやプラスに変えていくことができればと思っています。
撮影:越後谷 出